家の中で毎日使う設備のひとつは「扉」です。
本記事は、中でも換気機能のついた「ルーバー扉」について、主にデメリットや対策について紹介します。
そもそもルーバー扉とは扉の一部がスリット状になっていて、風や光を透過させる機能を持つ扉を指します。
機能的なはずのルーバーでデメリットを感じるのはどうしてなのか、確認して設置後の後悔を防ぎましょう。
デメリットに加えてメリットやメンテナンスのポイントも紹介しますので、扉のデザインや機能性について気になる方はぜひ参考にしてください。
ルーバー扉のデメリットとは?
★デメリットを感じることもあるルーバー扉
はじめに、建具にルーバー扉を設置する場合のデメリットを紹介します。
後悔を感じるのは、主に以下の6つのケースです。
- 細かな隙間が生まれるため掃除が大変
- 隙間からホコリ・虫が侵入することがある
- 扉に隙間が生まれるため防音性能が低い
- 空気が出入りするため空調が効きづらい
- 子どもがぶつかった場合など破損しやすい
- 手間がかかることから施工費用が高くなりがち
細かな隙間が生まれるため掃除が大変
最もよく聞かれるデメリットは、細かな隙間に溜まるホコリ掃除が大変なことです。
ルーバー扉は細長い素材を横方向に複数重ねた形状をしていることから、等間隔かつ薄い隙間がたくさん生まれます。
隙間にはホコリが溜まりますが、指を入れられないほどの隙間であることから、道具を入れづらく掃除が大変に感じられることがあります。
隙間からホコリ・虫が侵入することがある
ホコリが溜まりやすい隙間ですが、収納などの扉として利用する場合、ホコリや虫が隙間から収納内部へ侵入することも問題視されます。
収納内の衣類にホコリが溜まれば再度洗濯することとなり、虫が侵入すれば衣類の虫食いが発生する原因にもなります。
扉に隙間が生まれるため防音性能が低い
部屋と部屋の境目にルーバー扉を設置する場合、防音性能の低さを感じる場合もあります。
ルーバーとなっている箇所は空間がつながっていますので、テレビの音やキッチンの調理音が寝室・個室へ響く可能性も。
対策を取らなければ、就寝時や勉強中に音が響いてストレスにつながるケースもあるようです。
空気が出入りするため空調が効きづらい
★ルーバー部分から空気が出入りすることから空調が効きづらい
ルーバー扉の設置で空調が効きづらくなるケースもあります。
特にルーバー部分が固定されている扉の場合、出入りする空気の量や空間を調節できないことから、1台の空調機器で冷房・暖房する空間の体積が大きくなるでしょう。
調節する空気の体積はコンパクトな方が空調が効きやすいので、ルーバー扉の設置で暑さ・寒さを感じるかもしれません。
※最近の断熱性能の良い家であれば、そこまで心配する必要はないかもしれません。
※また、ルーバー部分が動かせるものを使用した場合は逆に、リビングのエアコンの風を隣の居室までゆるく行き渡らせることができるため、エアコン設置台数を減らせるというメリットがあります!
子どもがぶつかった場合など破損しやすい
ルーバー扉は子どもがぶつかった場合や掃除中に接触した場合など、破損しやすい点もデメリットです。
ルーバーは枠の両端部分でのみ保持されていることから、衝撃に弱い性質を持っています。
子どもが走り回ったりした場合や、掃除中に掃除用具が当たった場合など、うっかりルーバー扉を壊してしまう恐れがありますので注意が必要です。
手間がかかることから施工費用が高くなりがち
施工費用が高くなりがちな点もルーバー扉のデメリットです。
細かな板材を等間隔で並べ固定していくルーバー扉は、特に造作の場合に手間がかかりやすい仕様です。
また、既製品を使用する場合も、シンプル・平滑な扉の方が費用は抑えられますので、建築費が高くなる点を確認する必要があります。
【関連コラム:注文住宅の予算オーバー|原因とコストダウンのコツ6選】
こうした6つの事柄がルーバー扉を選ぶ場合に知っておきたいデメリットです。
ルーバー扉のメリット
デメリットがある一方で、ルーバー扉にはデメリットを補うメリットもありますので紹介します。
- デザイン性が高く内装がおしゃれになる
- 通気性が高く湿気対策になる(調節も可能)
- 採光性が高く光を取り込める
- 日差しが強い場合に日光を調節できる
- 開閉の調節で音の出入りをコントロールできる
- 圧迫感の少ない間仕切りとして利用できる
デザイン性が高く内装がおしゃれになる
★玄関とシューズクロークの間に設置されたおしゃれなルーバー扉
ルーバー扉は細かな細工が施されることもあり、導入することでデザイン性の高い内装になります。
特に造作でルーバー扉を作る場合は、ルーバー部分の高さや間隔、広さを自由に調節できますので、理想とする内装を実現するためにルーバー扉が必要な場合はぜひ取り入れましょう。
【関連コラム:【新築の内装の決め方とポイント】おしゃれな注文住宅の実例・コーディネート】
通気性が高く湿気対策になる(調節も可能)
通気性の高さもルーバー扉を選択する理由になります。
押入れやクローゼットといった収納は、梅雨の時期を中心に湿気が溜まりやすく、カビやダニに悩まされることがあります。
ルーバー扉のある住まいであれば、収納内部へと自由に風が通り抜けられますので湿気の調節が可能になります。
また、強風の日に室内の風の量を調節したい場合は、ルーバー扉の開閉度によってコントロール可能です。
採光性が高く光を取り込める
★ルーバー扉のメリット:採光性が高く光を取り込める
自然光を取り込める、採光性の高さもルーバー扉のメリットです。
南に面したリビングと、隣接する玄関の間の扉をルーバー扉にすれば、南側からの光を玄関まで届けられるかもしれません。
また、収納部分にルーバー扉を取り付ければ、自然光が当たることで湿気や虫対策にもなるでしょう。
日差しが強い場合に日光を調節できる
自然光を取り込めるメリットに加えて、日光を調節できる点も嬉しいポイントです。
朝ゆっくり寝ていたい人にとって、寝室や子ども室への朝早くからの強い光は避けたいところ。
ルーバー扉であれば、ルーバー部分の角度を調節することで取り込む日光の量を調節できます。
収納部分についても、衣類が日焼けすることを防ぎつつ、通風することも可能です。
開閉の調節で音の出入りをコントロールできる
ルーバー扉は開閉具合の調節で、音の出入りもコントロールできます。
通常の扉であれば、開ける・閉めるどちらかになりますが、ルーバー部分の開度調節により、音の入り具合を適度に調節可能です。
「扉を閉めていると耳鳴りがするほど静かで、扉を開けるとリビングのテレビの音が響きすぎる」こんな場合でも適度な音環境を作れます。
【関連コラム:吹き抜けは音対策が必要?そのデメリットと解消方法とは?】
圧迫感の少ない間仕切りとして利用できる
圧迫感が少ないこともルーバー扉のメリットです。
通常の扉は平滑であることから、特に大きな扉ほど圧迫感を感じることがあります。
しかしルーバー扉であれば、ルーバー部分を開放すれば視線が通りますので、圧迫感を緩和しながら間仕切りとしても活用できるでしょう。
また、エアコンの風を通すため、リビングのエアコンのみで隣の居室までゆるく空調を効かるという点にメリットを感じるお客様もみえます。
ルーバー扉のデメリットに対する対処法
★デメリットを感じる場合もあるルーバー扉の対処法
このように複数のメリットもあるルーバー扉。デメリットを解消しながら使えることが一番です。
そこで、ルーバー扉のデメリットに対処する方法を紹介します。
掃除道具を想定して掃除できる隙間に調節
1つ目は、ルーバー扉を掃除する道具を先に決めて、掃除用具に合わせてルーバーの間隔を決めることです。
造作でルーバー扉を設置する場合、羽根の間隔は自由に変更可能です。掃除のしやすさに配慮した仕様にしましょう。
ルーバーやブラインド専用の掃除用具も販売されていますので、住み始めてからの手間を少なくするため掃除の方法を設計の段階で検討しましょう。
ホコリが目立ちにくい色を選択する
2つ目は、ホコリが目立ちにくい色を選択することです。
通常、ルーバー扉の色味は内装の好みに合わせて選ぶでしょう。
しかし黒や濃い色味のブラウンなど、ホコリが目につきやすい色味を選ぶと、ホコリが気になりストレスに感じることも。
白や明るいブラウンなど、ホコリが目立ちにくい色を選択することもおすすめです。
造作の場合はクリア塗料を塗布する
3つ目は、造作でルーバー扉を作る場合はクリア塗料を塗布することです。
天然木でルーバーの羽根を造作する場合、無塗装だとホコリを拭き取りにくく、掃除の際にストレスを抱えるケースがあります。
クリア塗装を塗布すればホコリが取れやすくなりますので、木材の色味を感じつつ掃除もしやすいクリア塗装を塗布しましょう。
湿気が溜まりやすい箇所のみ利用する
4つ目は、湿気が溜まりやすい箇所にのみルーバー扉を利用することです。
たとえば、靴箱やクローゼットといった箇所は湿気が溜まりやすく、カビの発生が問題となります。
一方で納戸など湿気が溜まりにくい場所では、ホコリの侵入の方が問題となる場合もありますので、ルーバーの効果を求められる箇所にのみ配置することをおすすめします。
網戸付きタイプのルーバー扉にする
5つ目は、ルーバーの片側に網戸を取り付けることです。
網戸を設置することでルーバーを開放状態にしていても虫の侵入を防げますので、クローゼットに設置する場合などにおすすめです。
ただし、ルーバー部分の掃除がしづらくなる側面もありますので注意が必要です。
開度調節可能なルーバー扉にする
6つ目は、開度の調節が可能なルーバー扉にすることです。
ホコリや虫の侵入、防音・空調といった要素のデメリットは、調節によって解消できる可能性があります。
通風機能のみ求めて固定式のルーバーにすると、デメリットを感じやすくなる可能性がありますので注意しましょう。
造作を避けて既製品を購入する
7つ目は、造作ではなく既製品を購入することです。
ルーバー扉を造作する場合、職人の手間が大きくなることから施工費用が高くなりがちです。
また、ルーバー部分の耐久性についても、既製品の方が優れるケースもありますので、特殊な寸法の扉やデザイン面での希望がなければ既製品も検討することをおすすめします。
ルーバー扉の掃除方法:メンテナンスのポイント
★ルーバー・ブラインドの掃除について
記事の終わりに、後悔を感じることのあるルーバー扉の掃除方法やメンテナンスのポイントを紹介します。
定期的に掃除して汚れを固着させない
ルーバー扉を設置する場合、定期的に掃除をして汚れを固定させないことが大切です。
ルーバーの主な汚れの種類はホコリです。ホコリは付着した初期であれば軽く叩くだけでも取れます。
しかし長時間放置したり、湿気を受けてこびりついた場合は専用の掃除用具でも取りづらくなる恐れがあります。
湿気を吸い、固まる前に定期的に掃除することをおすすめします。
ルーバー扉を設置する箇所を限定する
ルーバー扉はおしゃれな内装アイテムで、またデザインを揃えるために全ての建具をルーバーにするお家もあるようです。
この場合、掃除に手間がかかり後悔につながる恐れがあります。
湿気が多くなりやすい靴箱やクローゼットなど、通風性能が求められる箇所に限定してルーバーを設置し、掃除する手間を減らしましょう。
中途半端に掃除しない
掃除する際には、中途半端に掃除せずに完全に掃除を終える意識も大切です。
ルーバーの掃除に水拭きを使用する場合、中途半端にホコリを残してしまうと水気を吸って頑固なホコリ汚れになる場合があります。
一度水気を含ませたなら、掃除中の箇所のホコリは全て取り除きましょう。
ルーバー掃除専用のブラシを用意する
ルーバー扉を掃除する場合は、ルーバー専用の掃除ブラシを用意することもおすすめです。
細かな隙間を掃除できるよう、薄く長い形状のブラシがあれば、ルーバー部分のホコリが面白いように落ちていき効率的に掃除できます。
掃除を始めることへの抵抗も薄れ、掃除の習慣化にもつながりますので、専用ブラシを探してみましょう。
まとめ:ルーバー扉のデメリットと選び方
★ルーバー扉のデメリットと選び方
ルーバー扉のデメリットと対処法を中心に解説しました。
改めて、ルーバー扉を選択する場合、以下のデメリットを感じることがあります。
- 細かな隙間が生まれるため掃除が大変
- 隙間からホコリ・虫が侵入することがある
- 扉に隙間が生まれるため防音性能が低い
- 空気が出入りするため空調が効きづらい
- 子どもがぶつかった場合など破損しやすい
- 手間がかかることから施工費用が高くなりがち
こうしたデメリットを解消しつつ、ルーバー扉の「おしゃれさ・通気性・採光性」といったメリットを受けるためには、適切な箇所への設置が重要です。
靴箱や洗濯後の衣類を収納する場所など、湿気が溜まりやすい場所、定期的に開閉する場所に設置する場合は、デメリットを感じるケースは少なくなります。
そのほか、掃除のしやすさを中心に、記事で紹介したデメリットを解消する方法も取り入れて、ルーバー扉のメリットを感じられる住まいを目指しましょう。
三重県・四日市市周辺エリアでルーバー扉のある家を建てたい方や疑問をお持ちの方は、扉の仕様にもこだわって家を建てられる「サティスホーム」まで、お気軽にご相談ください。

サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。