注文住宅の打ち合わせが完了して、いざ見積もり金額が提示された時、「思っていた予算よりオーバーしている」と体験した方は数多くいらっしゃいます。
憧れのマイホームですから、かっこよく、おしゃれな家を建築したい気持ちはわかります。とはいえ、予算内で打ち合わせをして行きたいはずです。
予算をオーバーしてしまった際は、どこかを妥協しなければならないことでしょう。何を優先して、削っていくかを決めなくては行けませんが、そもそもなぜ予算がオーバーしてしまうのでしょうか。
そこで今回、注文住宅の建築費用の予算がオーバーしてしまう原因を6つ解説します。事前に原因がわかれば、打合せする時に意識でき、予算をオーバーしなくなることにもなるでしょう。
もちろんそれでも予算がオーバーしてしまうこともあるかと思いますので、予算がオーバーした時に費用を削るコツも5つ紹介します。
これから注文住宅を検討している方や、今注文住宅の打ち合わせを進めている方は、予算内に建築費用を納めるためにもぜひ本記事を読んでみて下さい。
注文住宅によくある予算オーバーの6つの原因
注文住宅の打ち合わせを進めていく中で、予算オーバーする原因とは何があるのでしょうか。
ここでは代表的な原因を6つまとめました。
- 借入限度額を把握していない
- 注文住宅会社に予算を伝えていない
- 大きすぎる住宅面積
- 住宅設備にこだわりすぎた
- 契約後に追加費用が必要となった
- 土地代金が高すぎる
1.借入限度額を把握していない
これから注文住宅の建築を検討されている方は、自身の住宅ローン借入限度額を把握しているでしょうか。
注文住宅を建築する方の多くは、住宅ローンを利用しています。利用される方は、注文住宅会社に相談する前に、金融機関へ融資の事前審査をするのが良いでしょう。融資の事前審査が完了すれば、自身の借入限度額がわかるようになります。
しかし借入限度額を把握しないまま注文住宅会社と打合せを進めてしまい、いざ見積もりと毎月の返済額を提示された時、驚く方も多いです。
その場合、再度予算を組み直さないといけなくなり、最悪の場合、また一から打ち合わせをすることにもなりかねません。
借入限度額を把握していないことが原因で、予算がオーバーしてしまうことも考えられるでしょう。
2.注文住宅会社に予算を伝えていない
注文住宅会社のプランニングを依頼する際は、理想のマイホームイメージをお伝えしますが、予算も一緒に伝えることが大切です。予算を伝えず理想のマイホームだけの内容を伝えると、注文住宅会社も施主の要望のまま設計することでしょう。
しかし事前に予算を伝えておくことで、注文住宅会社も経験がありますから、「できるできない」の判断はプランニング前に伝えてくれるはずです。
そのため注文住宅会社に相談する際は、建築したい家のイメージより、予算を先に伝えることが大切です。
3.大きすぎる住宅面積
注文住宅は建物の面積が大きくなるほど建築予算も大きくなります。部屋数を多くしたり、リビングを大きくしたりすることで、住宅面積も増えていくことでしょう。
理想の家の大きさや部屋数にこだわりはあるかと思いますが、大きすぎると予算にも影響を及ぼします。
4.住宅設備にこだわりすぎた
キッチンやお風呂はグレードによって大きく金額が異なります。数十万円の商品から、数百万円を超える商品も多数あります。よりハイグレードの商品を選べば、おのずと建築予算も高額となってしまうことでしょう。
新型の住宅設備は魅力的ですが、予算オーバーになる原因としても多いです。
5.契約後に追加費用が必要となった
契約後に追加費用必要となる要因としては、地盤改良工事や外構工事のオプション工事、設備機器や造成工事の追加工事などが挙げられます。
内容にもよりますが、どの項目も決して安い金額ではありません。100万円を超える金額となることもあるでしょう。
当初想定していた予算より追加工事がある場合は、予算オーバーになってしまう原因の一つとなります。
6.土地代金が高すぎる
土地を所有していない方は、注文住宅の建築代金の他に、土地購入代金を用意していなければなりません。土地購入代金は、土地代金と建築代金の合計のうち、3割前後と言われています。その代金を想定して予算組をする必要があります。
高額な土地の場所を選んでしまった場合、住宅ローンの借入限度額も決まっているため、注文住宅の建築予算は小さくなることでしょう。それでも理想のマイホームを建築したいと考える方もいます。
そのため、土地と建物のバランスが取れず、予算をオーバーしてしまう原因となっているでしょう。
注文住宅の予算オーバーは後悔のもと!
注文住宅の建築予算を大きくオーバーした場合、一からプランを考え直す必要があるかもしれません。今まで何か月も注文住宅会社と打合せしてきた内容も、大きく変更する可能性もあるでしょう。
もちろん建築会社の値引きで対応できるかもしれませんが、建築会社も値引きできる可能な範囲があります。
予算をオーバーして建築すれば、毎月の返済額に圧迫され、せっかくのマイホームに住みながらも節約生活を余儀なくされる可能性も出てきます。
後悔しない為にも、比重を置く点を家なのか、予算なのかを決めていきましょう。
注文住宅で予算オーバーしない!費用を削るコツ6選
できれば注文住宅の予算はオーバーしたくないでしょう。しかし、予算がオーバーした際は再度何を削るか考えなければなりません。
そこで、下記の6つを調整することで建築費用を削ることが可能となるので検討して見てはいかがでしょうか。
- 建物形状を変更する
- 間取りの変更を行う
- 住宅設備を見直し
- オーダーメイドは控える
- クロスを変更する
- 後付けできるオプションは一旦外す
1.建物の形状を変更する
建物の形状を変更する際は以下の3点に注目して見ましょう。
シンプルなデザインにする
いわゆる凹凸のあるデザイナーズ住宅より、シンプルな住宅の方が価格は安くなります。凹凸の多い分、外壁材や補強材が増え、建築代金は高額となります。
ライフスタイルに支障がないのであれば、建物の形状をシンプルなデザインにしてみることも検討してみましょう。
屋根の形状を変更する
屋根には12種類ほどありますが、その中でも「切妻屋根」や「片流れ屋根」などは非常にシンプルなデザインです。屋根の施工面積も少なくなるため、予算が合わない場合は屋根形状の変更を検討してみましょう。
住宅面積を減らす
住宅面積を減らせば建築予算も下がります。工務店であれば、一坪当たりの単価は50万円から60万円です。つまり住宅面積1坪(3.3㎡前後)減らすだけで、50万円から60万円と大きく建築金額を下げることが可能となります。
もちろん部屋の大きさを考慮したうえでとなりますので、最終手段として認識しておきましょう。
2.間取りの変更を行う
間取りの見直しや変更を行うことで、建築予算を圧縮することも可能です。部屋数を減らしたり、廊下を減らしたりすることで住宅面積を減らすだけでなく、建材も減ることにもなります。
また収納個所を減らすことでも建築予算を下げることも可能となります。
3.住宅設備を見直す
水回りといわれる、キッチンやお風呂、トイレなどの設備は、商品によって大きく金額が異なります。ハイグレードな商品であるほど、使い勝手が良い可能性は高いですが、そこまで便利さが必要であるかを再度検討して見ても良いのではないでしょうか。
グレードを下げることで、建築予算を大きくさげることにもつながる可能性があります。
4.オーダーメイドは控える
注文住宅を打合せしていく中で、カーテンなどのオーダーメイドを勧められる場合もあります。ちょうど良く、おしゃれなカーテンを取り付けることが可能となりますが、費用が高くなってしまうデメリットがあります。
もちろん工務店によって異なるため一概には言えませんが、家具屋などで購入した方が安い場合もあります。
5.クロスの変更をする
クロスも家全体となれば、大きな金額になります。量産品のクロスであれば、価格を安く抑えることが可能となります。
しかし、1000番台のクロスはデザインも豊富で、消臭や表面強化などの性能を持ち合わせていますが、多少金額が大きくなります。
またエコカラットなどで知られる土壁は更に金額が大きくなるため、使用している方はクロスの見直しをしても良いでしょう。
6.後付けできるオプションは一旦外す
宅配ボックスや外構のカーポート、物置などは建物が完成してからでも工事をすることが可能です。既に予算がオーバーしている場合は今一度見直ししてみても良いでしょう。
どの金額も安い商品ではありません。数十万円以上の圧縮につながることもあります。
予算オーバーだからと言って削ってはいけない費用
予算が大きくオーバーしたからと言って、削ってはいけない項目があります。住んでから後悔しないためにも、ここでは7つの項目を紹介します。
- 窓の数やグレードを下げる
- 収納スペースを小さくしない
- リビングの広さ
- 外構工事
- 外壁材
- 軟熱材
- 地盤改良工事
1.窓の数やグレードを下げる
窓は光を入れるだけでなく、断熱性能にも直結します。断熱性能が低い窓にすることで、建築予算を下げることに繋がりますが、暖房をつけても寒い空間のままになってしまいます。外の外気を防ぐためにも、窓はある程度こだわるようにしてみましょう。
2.収納スペースを小さくしない
収納スペースを小さくすることで物を置くスペースがなくなり、後悔する方も多いです。子供が増えたりすると、より収納スペースは必要となるでしょう。
しかし、部屋の大きさとのバランスを考える必要もあります。部屋が大きくなれば収納スペースは小さくなるため、バランス考慮して収納スペースの配置を検討しましょう。
3.リビングの広さ
リビングにはさまざまな家具家電を置くため、実際に住んでみると狭かったと感じる方も多いです。ソファーやテレビ、ダイニングテーブルなどを配置すると、当初イメージしていた部屋より窮屈に感じることでしょう。
また、家具を置くと扉が開かないなども考えられるため、リビングの広さは妥協しない方が良いです。
4.外構工事
外構工事をしないまま、敷地内の土をむき出していると、草が生えてきます。もちろん、庭や門扉などに興味が無い方もいらっしゃると思いますが、毎回除草するには非常に大変なので、外構工事をしておいた方がよいでしょう。
また、外構工事は家のデザインを引き立てる役割もあります。いくらおしゃれなデザイン住宅を建築しても、外構工事をしないでおくと、質素に見えてしまうことでしょう。
そのためにも外構工事は削らずに、最低限の工事を行うようにしましょう。
5.外壁材
外壁は365日雨風から家を守る役割があります。一般的な外壁材ではなく、安い素材のものにしてしまうと、後々のメンテナンス費用が掛かってしまうことでしょう。
何度もメンテナンスする回数と、後々の費用を考えると、外壁材のコストは削らない方が良いでしょう。
6.断熱材
断熱材は見えない場所だからと言って、量を減らしてはいけません。断熱材には「断熱」「保温」「吸音」効果があるため、コスト削減をしてしまうと、これから住む家に影響を及ぼしてしまいます。
「暖房をつけても寒い」「結露になりやすい」などの要因があるため、断熱材のコストダウンが必ず避けるようにしましょう。
7.地盤改良工事
地震大国である日本の軟弱地盤に注文住宅を建築する場合は、地盤改良工事が必要となります。もちろん地盤改良工事をする会社の保障は受けられるものの、おおよそ10年間までとなります。10年経過した後に大地震がきて、万が一倒壊した場合は、改良工事をした会社に責任はありません。
そのため、万が一も発生しない為にも地盤改良工事は必ず行いましょう。また地盤改良工事にもさまざまな工法があり、費用もバラバラです。安い工法を選ぶより、より頑丈な地盤補強ができる工法を選択した方が安心でしょう。
予算オーバーの原因を見つけて後悔しない範囲でコストダウンしよう!
今回注文住宅の建築費用の予算がオーバーしてしまう原因を5つと、予算がオーバーした時に費用を削る6つのコツを紹介しました。
建築予算は今後の借入返済に大きく影響するため、できれば予算を抑えたいでしょう。
しかし、妥協したくない点もあるはずです。そのため注文住宅を建築する際が、どの点に比重をおくのか、また優先順位はどれなのかを検討し、後悔しない範囲でコストダウンを検討するようにしましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。