照明器具にファンが付属する「ファン付き照明」。
おしゃれな空間になることから人気ですが、デメリットがあることをご存知でしょうか。
実はホコリが溜まりやすい点や照明との干渉など、設置した後に後悔を抱える方も少なくないようで、採用する場合は機種の選び方や設置場所など、注意が必要な設備でもあります。
本記事では、ファン付き照明のデメリットとともに、失敗や後悔を防ぐための対策についても解説します。
設置した後に感じられる効果などメリットについてもお伝えしますので、照明器具やシーリングファンについて悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
ファン付き照明のデメリットとは?
はじめに、ファン付き照明を選んだ場合、どのようなデメリットを感じる可能性があるのか、12の注意点を紹介します。
ホコリが溜まりやすく頻繁に掃除が必要に
★ファン付き照明のデメリット:ホコリが溜まりやすい
ファン付き照明で失敗・後悔を感じやすい点は、ホコリが溜まりやすく頻繁に掃除が必要になることです。
夏や冬の時期に長く動作し続けるファン付き照明は、回転部分を中心にホコリをキャッチしやすい特徴を持っています。
また、ファンと隣接する照明に対してもホコリが付着し、照明で照らされることで目立つことがあります。
頻繁に掃除が必要になることに大変さを感じる場合、失敗や後悔につながるでしょう。
定期的に掃除しないとホコリが落ちる場合も
ホコリが溜まった場合、定期的に掃除をしない場合にホコリが落ちるケースがあることもデメリットです。
特にファン付き照明はリビングなど家族が過ごす時間が長い場所に取り付けられることが多く、ホコリが落ちることはストレスにつながります。
また、間取りによってはダイニングやキッチン上部にファン付き照明を取り付ける場合もあるでしょう。
この場合は食事や調理時にホコリが落ちることもありますので、特に掃除が重要になります。
ファンと照明双方のメンテナンスが必要に
★ファン付き照明のデメリット:照明とファンのメンテナンスが必要に
日常的な掃除のほか、ファン・照明双方のメンテナンスが必要になる点もデメリットといえます。
ファンと照明を別に設置している場合、ファンが故障したときファンだけを停止、交換すれば済みます。一方で一体型の場合はファンと照明、どちらかが故障すれば、もう一方も使用を中止し修理・交換しなければいけません。
このように故障時の点検・交換の手間が増えることがあります。
想定したほど風を感じられない場合も
優しい風が吹き付けることを期待したのに、想定したほど風を感じられない場合も取り付けたことへの後悔につながります。
シーリングファンは製品によって送風能力に違いがあり、能力の低い製品を選んだ場合は十分な風を送れないケースがあります。
この場合、十分に空気のかき混ぜができないことから、夏場は階上で暑さを、冬場は階下での寒さを感じるかもしれません。
周囲に他の照明がある場合にちらつきを感じる
★ファン付き照明のデメリット:他の照明との干渉が気になる場合も
ファン付きの照明を取り付けることによって、他の照明に干渉して光のちらつきが気になる場合もあります。
明るさが不足する場合を防ぐために、ファン付き照明のほかにダウンライトやスポットライトを設置するケースは少なくありません。
しかしファン部分に近かったり、またはファンの直上に他の照明を配置してしまうと、ファンが回転するたびに点滅したようになり、居心地の悪さやストレスを感じてしまう可能性があります。
ファン付き照明だけでは暗いことがある
ちらつきと関連して、ファン付き照明だけでは暗さを感じるケースもあります。
ファン付き照明は、風を送ることが主目的であることから、照明部分のサイズをコンパクトにせざるを得ません。
また、空気をかき混ぜることでメリットが生まれるのは、吹き抜けや勾配天井のある高さのある空間の間取りが中心です。
天井の高い空間でファン付き照明を取り付けると、照明が必要なリビングなどで本やスマートフォンを見るとき、明るさが不足する可能性があります。
静かなときモーター音が響く場合がある
ファン付き照明は、静かに過ごしているときにモーター音が気になるケースもあります。
ファン部分を回転させる場合、モーターを稼働させる必要がありますが、モーター音は対策を立てづらいものです。
「ウーン」と低い音が気になるケースもありますので、本を読むなど静かに過ごす予定がある方は気をつけましょう。
本体が大きくなり圧迫感を感じる
★ファン付き照明のデメリット:大きな本体から圧迫感を感じる
ファンと照明を一体にする場合、器具本体が大きくなりがちです。
その結果、特に低い天井に取り付けた場合に、ファン部分の面積が大きくなり、視覚的に圧迫感を感じる場合があるでしょう。
特に風量が多くなる、大型のファンのついている製品を選ぶ場合は注意が必要です。
本体の重量が重く地震時など落下が怖い
ファンやモーターが付属することから重量があり、「地震時など、家が揺れたとき落下するのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。
下地がしっかりしていない場合、照明の重さに耐えきれず落下する危険性は避けられません。落下を防ぐための対策が必要です。
重くて設置できないケースがある
ファン付き照明を設置しようとしても、天井部分の仕様や下地によっては取り付けたい製品を設置できない場合もあります。
未経験の方が下地の有無などを確認することは困難ですので、特に重量の重い昇降機能のついた製品などは注意が必要です。
製品によってはファン付き照明が揺れる
★ファン付き照明のデメリット:ファン付き照明が揺れることも
ファンの動作中に、製品によっては大きく揺れることも不安視されます。
元々シーリングファンは、設計上一定度揺れることが想定されていますが、思っていた以上に揺れる場合には、「地震のとき大丈夫か」「いつか落下するのではないか」と不安に感じる場合もあるでしょう。
ファンを安全に回転させるため設置場所が限られる
ファン付き照明を設置する場所が限られる点もデメリットに数えられます。
回転翼のあるファンは安全のために、勾配天井への取り付けが禁止されていたり、壁面と一定の距離を取ることが明示されている場合があります。
本当はリビングテーブルの直上に取り付けたいと思っていたのに、こうした規定によって希望の場所に設置できない場合もあるでしょう。
ファン付き照明を取り付けるメリットと比較
★ファン付き照明の設置事例
このように、ファン付き照明のデメリットは、メンテナンスの手間や設置場所の制限など複数指摘されます。
しかし、設置場所の工夫や定期的なメンテナンスによって対処可能な問題でもあります。
一方で自然な風を感じられる点や空調効率の向上など、複数のメリットがありますので、以下の表のとおりメリット・デメリットそれぞれを正しく把握して使用することが重要です。
メリット | デメリット |
・自然な柔らかい風を感じられる ・床置きの空調機器が不要になる ・ムラの少ない温熱環境になる ・エアコンなどの電気代を抑えられる ・おしゃれさ、高級感を感じる内装に |
・ホコリが溜まりやすい ・ファンと照明双方のメンテナンスが必要 ・他の照明と干渉する場合がある ・モーター音が気になる場合がある ・地震時など落下が不安になる |
ファン付き照明の効果とは?
では、具体的にファン付き照明を利用するメリットとは、どのようなものでしょうか。
主な5つのメリットを詳しく解説します。
自然な風を感じられる
1つ目は、自然な風を感じられること。
風を送る目的で家電を検討する場合、一般的には扇風機やサーキュレーターを利用します。
しかし、こうした機器は直線的な風を送ることとなり、長く当たり続けると疲れを感じる場合があります。
一方でファン付き照明で作られる風は自然の風に近い優しいもので、体に負担がかかりにくいものです。
心地よい風を気軽に感じられる点が大きなメリットといえるでしょう。
床置き扇風機が不要な場合も
2つ目は、床置きの扇風機が不要になることです。
エアコンを使う必要はない程度の暑さのとき、活躍するのは扇風機やサーキュレーターです。
適度な気流を発生させることで暑さを和らげられますが、床に置いて場所を必要とする点がデメリットです。
一方でファン付き照明であれば、天井から適度な風が送られますので、場合によっては扇風機・サーキュレーターが不要となり、限られた床面積を有効に活用できるでしょう。
夏・冬とも快適な住環境になる
3つ目は、快適な住環境になることです。
勾配天井や吹き抜けなど、縦方向に大きな空間を作る場合、温かい空気が上昇し冷たい空気が下降する性質があることから、夏場は上階が暑く冬場は下階が冷たくなりがちです。
部屋の温度差が大きいと不快感を感じますが、ファン付き照明があれば温かい空気と冷たい空気をかき混ぜて、快適な住環境のLDKを実現できるでしょう。
内装がおしゃれ・高級に感じられる
★ファン付き照明のメリット:設置した空間がおしゃれになる
4つ目は、おしゃれな内装を実現できることです。
シーリングファンがゆったりと回転する空間は非常におしゃれで高級感を感じられます。
特に勾配天井や吹き抜けなど、高さのある空間に設置する場合は邸宅にいるようにも感じられるでしょう。
ファン付き照明にはアンティーク調などおしゃれなものも多く、内装空間が素敵なものになります。
エアコンなど空調機器の電気代を抑えられる
5つ目は、空調機器の電気代を抑えられることです。
上下方向の空気をかき混ぜる機能を持つファン付き照明は、設置することで上層の温かい空気と下層の冷たい空気の温度差をなくし、エアコンなどの空調機器が効率的に動作する手助けをしてくれます。
効率的に稼働することで空調機器への負荷が減り、高騰する電気代を抑える効果を発揮します。
ファン付き照明のデメリット対策
メリットがある一方で複数のデメリットがあるファン付き照明ですが、適切な対策を取ることでデメリットを減らすことができます。
具体的な方法を紹介しますので参考にしてください。
掃除しやすい態勢を整える
★ファン付き照明のデメリット対策:掃除態勢を整える
ファン付き照明を導入する場合、適切に掃除できる態勢を整えることが大切です。
● 脚立で手の届く範囲に設置する
● 上階からモップを伸ばせば掃除できるよう配慮する
● 昇降機能付きのファン付き照明を選択する
● 掃除を業者に依頼することを前提に資金計画を立てる
こうした対策を取ることで、ファン付き照明を設置してもホコリが溜まらない・ホコリが落ちてこない暮らしを実現できます。
適切なアフターサービスをする業者を選ぶ
デメリットでお伝えしたとおり、照明だけ、ファンだけ故障した場合でも全体を取り外して交換する必要があります。
このため照明の故障、ファン部分の故障が起きた場合に迅速に対処できる態勢も大切です。
適切なアフターサービスを提供する会社に依頼することをおすすめします。
照明の種類はLEDライトのタイプを選択する
勾配天井や吹き抜けに設置する場合、ランプの交換に大変さを感じるケースがあります。
照明灯にはLEDライトを選択することで、頻繁な交換を避けられるでしょう。
白熱球タイプのランプが取り付けられている場合でも、ランプをLEDタイプに取り替えることは可能ですので、照明本体を取り付ける前に交換しておきましょう。
送風機能の高い製品を選択する
空気をかき混ぜる機能に期待する場合は、送風機能が高い製品を選択することも大切です。
ファン付き照明の中にも、効率よく送風できるタイプとそうでないタイプがあります。
デザインだけでなく、羽根の形状や大きさなど、送風機能にもこだわった製品を選択しましょう。
ダウンライトと一定の距離を置いて配置する
ファン付き照明の他にダウンライトなどを取り付ける場合は、ダウンライトと一定の距離を置いて配置することをおすすめします。
一定の距離を置くことでちらつきを防げますので、照明のチラつきが気になる方は「ファンの端から斜め45°に伸ばした線より外側」を目安に配置しましょう。
補助照明を取り付けておく
「ファン付き照明だけでは暗くなるのでは?」こうした不安を抱えている場合は、補助照明の取り付けがおすすめです。
特に本を読んだりスマートフォンを操作したり、手元の明るさが必要なダイニングやソファを照らせるよう配慮しましょう。
照明は調光・調色タイプを選択する
照明の明るさが気になる場合は、明るさや色合いを調節できる、調光・調色タイプの照明がおすすめです。
ただし、製品によってリモコンの受信可能な範囲が異なりますので、吹き抜けなど高い位置に設置する場合は、リモコン操作の可否を確認する必要があります。
吹き抜けなど天井を高くしてモーターと距離を置く
★ファン付き照明のデメリット対策:高い位置にファンを設置する
モーター音が響くことを防ぐためには、ファン付き照明と座る場所との距離を開けることも効果的です。
吹き抜けや勾配天井の高い位置に配置すれば、ソファなどくつろぐ場所とモーターなどの音源が離れますので音の問題への対策になります。
DCモーターの製品を利用する
ファン部分のモーター音が気になる場合は、DCモーターを選択することで問題を解決できるかもしれません。
ファンモーターにはACタイプとDCタイプがあり、一般的にはDCモーターの方が動作音が小さくなる傾向があります。
製品仕様を確認して、AC・DCどちらが使われているか確認しましょう。
サーキュレータータイプと羽根つきタイプを検討する
★ファン付き照明のデメリット対策:サーキュレータータイプを選択する
ファン付き照明のデメリットを避けるためには、サーキュレータータイプのシーリングファンも検討してみましょう。
一般的にファン付き照明は羽根がむき出しになっていますが、サーキュレータータイプは枠や前面・背面にメッシュが付属していて、壁に当たったり子どもが羽根に物を当てるといった心配をせずに済みます。
また、コンパクトであることから脱衣所などへの設置も可能です。
計画段階で天井の下地を設けておく(特に昇降機能をつける場合)
設置によって天井に荷重がかかること、地震が起きたとき落下することなどに不安を覚える方は、設計・施工時にしっかりした下地を作ることをおすすめします。
特に昇降機能をつける場合は、昇降機自体の重量があること、昇降機構を天井に隠すため天井に余裕を持たせることなど、検討する事柄が増えますので注意が必要です。
シーリングファンを採用し慣れた業者に依頼する
最後に、最も重要な対策はシーリングファンを採用しなれた業者に依頼することです。
ファン付き照明は製品によって大きさや特徴が異なります。
また、昇降機能の有無や掃除のためのキャットウォークの有無など、建物本体の仕様によっても選択するべき製品が変わりますので、ファン付き照明を使用し慣れて特徴を把握している業者に依頼しましょう。
ファン付き照明のデメリットと注意点まとめ
★おしゃれ・機能的なファン付き照明
シーリングファンと照明が一体となったファン付き照明について、主にデメリットとその対策を解説しました。
ゆったりと回転するファンからの送風を受けられるファン付き照明は、温熱環境を整えおしゃれな空間を作ることに効果的です。
一方で以下のとおり、複数のデメリットを指摘されることもあります。
● ホコリが集まりやすく掃除が大変になる
● 照明との干渉でちらつきを感じることがある
● ファンのモーター音が気になることがある
● 地震のとき落下しないか心配になる
● 壁との干渉から設置場所が限られる
しかし、こうした課題は、それぞれ対策を取ることが可能です。
● 手の届く範囲に設置、昇降機能取り付けで掃除に配慮
● 照明と一定距離を置いて設置する
● DCモーターの製品を使用、高い位置に設置する
● 設計施工段階でしっかりした下地を作る
● 設計の段階でファン付き照明の製品を確定させる
このように対策を取って、ファン付き照明のメリットを最大限受けつつ、デメリットを避けられる住まいを実現しましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。