全館空調は、小屋裏などに設置した大きな空調機器を利用して、リビングやダイニングだけではなく、寝室や子ども室、脱衣室やトイレといった部屋も含めて家の中全体の室温を一定に保つシステムです。
部屋間を移動しても室温が変わらないことから快適な住環境を実現できる設備ですが、デメリットや後悔を感じることもあるようです。
そこで本記事では、全館空調のデメリットや後悔を感じる瞬間を紹介するとともに、対策やメリット、注意点などを広く解説します。
全館空調を検討中の方から、快適な住環境を求めている方まで広く参考になる記事ですので、これから家を建てる方はぜひ参考にしてください。
全館空調のデメリットとその理由
宅内の室温を均一に整えられる全館空調。導入することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
はじめに11のデメリットを、理由とともに紹介します。
導入時に比較的高額な初期費用がかかる
★デメリット:全館空調は設置費用が高額になりがち
全館空調は、導入する際の初期費用についてデメリットを感じる場合があります。
通常のエアコンを各室に取り付ける場合、リビングダイニングに大型のものを1台、寝室と2つの子ども部屋に1台ずつ取り付けた場合でも、30万円ほどに収まります。
一方で全館空調を導入する場合は、全館空調の方式やメーカーによって変わりますが、100~130万円ほどの費用が必要になります。
土地・建物に加えて、全館空調に予算を割くのは難しいケースがあります。
メンテナンスに一定の費用がかかる
全館空調は取り付けてからも費用が必要です。
具体的には、設備本体のメンテナンスや、故障時の部品交換といった支出が挙げられます。
一般的な壁掛けのエアコンとは異なり、特殊な部品を使用していることもありますので、清掃・修理にかかる費用も金額が大きくなることが予想されます。
10~20年後の交換時に高額な費用が必要
メンテナンス・修理といった短期的なランニングコストに加えて、全館空調では設備の交換時も高額な費用が必要となります。
空調機器本体に加えて室外機、さらに各部屋につながっているダクトを撤去し、全てを新しいものに交換するため再度100~130万円ほどの費用がかかる可能性があります。
仕様によっては電気代が高額になることも
★デメリット:交換時に高額な費用が必要
断熱性・気密性など建物の仕様によっては電気代が高額になる点も忘れてはいけません。
全館空調を行い各部屋の室温が一定に保たれると、家全体から熱が外部に漏れたり、夏場は外の暑い空気が伝わってしまいます。
十分な性能を持った家であれば問題ありませんが、断熱性や気密性が低ければ家の各所から熱が逃げ出し、全館空調の稼働効率が下がってしまうでしょう。
間取りの一部として空調室を設ける必要がある
通常の壁掛けエアコンであれば、壁面に取り付けることから特別に部屋を作る必要はありません。
しかし全館空調に使用する設備は大きく、壁に掛けることはできません。
小屋裏など目立たない場所に空調室を設けることとなるため、部屋を作る費用を要するとともに本来は収納などとして利用できたはずの空間が使えなくなる恐れがあります。
季節によっては部屋の空気が乾燥する
全館空調は季節によっては部屋の空気が乾燥してしまうこともデメリットに挙げられます。
石油ストーブなど、燃焼によって暖を取る暖房器具は熱とともに湿度も供給します。
一方で、全館空調で室温を上げる場合、空気が膨張する関係で室内の湿度が低下し、喉や肌の荒れを感じる可能性があります。
キッチンなどの匂いが建物に行き渡る
★デメリット:キッチンなどの匂いが建物に行き渡る
全館空調を導入する場合、一度全館空調の設備本体に室内の空気を集めた上で、各部屋に温度を調節した空気を送ります。
この場合、キッチンなど強い匂いを発する部屋の空気が住まいの各所に送られることになりますので、たとえば魚を焼いた場合に建物の各所に匂いが伝わるかもしれません。
部屋ごと・空間ごとの個別温度管理が難しい
住まいの各部屋の温度を一定にできることが全館空調のメリットですが、部屋・空間ごとに個別に温度管理しづらい点はデメリットといえます。
一般的な壁掛けエアコンであれば部屋ごとに温度や風量を調節できます。
しかし全館空調は吹き出す風の温度が均一で、給気口・排気口の位置も変えられませんので風向きを変更することもできません。
故障した場合に修理までに時間を要する
★デメリット:空調室からの音が気になる
万が一故障した場合に、修理するまでに時間がかかる点も気になるところです。
一般的な壁掛けエアコンであれば多くの電気店が修理に対応しています。また、ストーブなど置き型の暖房器具であれば買い替えも容易に可能です。
全館空調では修理できる業者が限られている上に、特殊な部品が破損した場合取り寄せにさらに時間がかかる恐れがあります。
間取りによっては空調室からの音が気になる
全館空調は間取りによっては、空調室からの音が気になる場合もあります。
住まいの各所に冷風・温風を送るために全館空調の主要設備は一般的なエアコンなどと比べて大型です。
このため稼働中の音も大きくなることが一般的で、たとえば寝室が真横にある場合には、低周波音が気になるケースもあるようです。
換気のために常に稼働させる必要がある
全館空調の住まいでは、室内の換気のために常に電源を入れ続ける必要があります。
その理由は、全館空調が稼働していることを前提として換気計画を立てているからです。
全館空調を停止させてしまうと、適切に換気できずにシックハウス症候群の原因物質が残ったり、湿気や匂いが室内にこもる可能性があります。
こうした様々なデメリットがありますので、住宅に全館空調を導入する場合はデメリットへの対策を講じる必要があるのです。
全館空調のメリットは?
デメリットがある一方で、全館空調の家では様々なメリットを感じながら暮らすことができます。
メリットについても把握して、全館空調を導入するべきか検討しましょう。
家の中が一定の室温になり快適に過ごせる
全館空調を導入する最大のメリットは、家の中どこにいても同じ室温で暮らせることです。
一般的な住まいでは、加温してリビングやダイニングが温かくても、廊下や階段、トイレや洗面所といった間取りまでは暖かくなりづらいものです。
全館空調の家では、導入するシステムによって仕組みは違うものの、ダクトから床下に温かい空気が供給され足元から温風が吹き出します。
温風はリビングやダイニングに加えて、洗面所やトイレなど一般的に寒さを感じやすい場所へも届きます。
また、寝室や子ども室にも温風は供給されますので、就寝前にエアコンの効いたリビングから冷たい寝室に向かうこともなくなります。
このように、全館空調の導入で非常に優れた温熱環境の住まいを手に入れられるでしょう。
ヒートショック対策になり健康に効果的
全館空調を導入することで、ヒートショック対策にもなります。
ヒートショックとは、暖房の効いたリビングから、加温されていない廊下に移動した瞬間に体感温度が大きく変わることで、血圧の急な増減が生じて体調不良を引き起こす現象です。
全館空調を導入した家であれば、リビングやダイニングは当然のこと、廊下や洗面所、寝室やトイレなど各所の温度が均一になりますので、ヒートショックによる体調不良を防ぐことができます。
納戸なども換気の対象にできる
全館空調を導入する際に吹き出し口を設けることで、納戸などの空調しづらい間取りも換気できます。
納戸のように季節用品を収納したり日用品のストックを収納したりする場所は、収納を重視するために窓が設けられないなど換気性能が不足する場合があります。
換気が行われなければ湿気が溜まり、カビやダニなどの温床となることもあるでしょう。
納戸にも吸気口や排気口を設けることで換気経路に入り、適切な換気を期待できます。
フィルターの利用で室内の空気を綺麗にできる
全館空調は、機種によっては外気を取り込み温度を整えた上で各部屋に送風するものがあります。
こうした機種の場合は、吸込口にフィルターを設置することで綺麗な空気を取り込むことができます。
たとえば花粉や黄砂、PM2.5などアレルギーの原因となる物質を除去した空気を各部屋に送れますので、花粉症やハウスダストアレルギーを持つ方にもおすすめです。
吹き抜け・勾配天井などの間取りを作りやすい
床下から吹き出すタイプの全館空調を選択する場合、吹き抜けや勾配天井といった温熱環境の調節が難しい間取りでも快適に暮らせます。
吹き抜け・勾配天井といった天井高が高い間取りは温かい空気に上昇する性質があることから、気密性や断熱性が低い住まいの場合に足元からの寒さを感じる場合があります。
全館空調を導入することで温かい空気を任意の場所から送ることができますので、吹き抜けや勾配天井のある間取りの家でも快適に生活できるでしょう。
【関連コラム:吹き抜けの寒さ対策|寒い理由と暖かくする方法|吹き抜けリビングで後悔しない】
室内機の個数を減らせる
全館空調は、基本的には1台の設備で温度を調節して家中の各室に送るシステムです。
このため、室内に配置する空調機器の台数を減らせる点は大きなメリットです。
通常は各室の壁面にエアコンが配置され存在感を放ってしまうところ、全館空調であれば給気口・排気口が見えるだけでスタイリッシュな内装を実現できるでしょう。
室外機の個数を減らせる
室内機に加えて室外機の個数を減らせる点も大きなメリットです。
通常は、特殊なエアコンを使用していない限りは1台のエアコンにつき1台の室外機が必要です。
室外機は思っているより大きく存在感を放ちます。外観デザインも悪くなってしまいますので、外観・内装にこだわりがあり生活感を消したい方にも室外機を減らせる全館空調はおすすめです。
個別の置き暖房器具が不要になる
★床を占用する置き型の暖房機器
エアコンに加えて、各部屋・各箇所に設置する暖房器具が不要になる点は大きなメリットです。
エアコンで温熱環境の調節をしづらい場合、石油ストーブや蓄熱式暖房などの暖房器具を別途置き場所を考えつつ設置することになります。
全館空調の部屋であれば、こうした置き型の暖房器具を極力避けられるでしょう。
置き場所の確保やコンセントの準備も不要になり、広くスッキリした室内空間を実現できます。
メンテナンスをするべき機器の数を減らせる
このように室外機・室内機、および個別の暖房器具を減らせるということは、メンテナンスや買い替えといった手間を省くことにもつながります。
季節用品であるストーブや扇風機などは適切な収納場所を確保する必要もありますので、全館空調の導入で必要となる収納の量を減らすことができ、建築費用を節約できる可能性もあります。
子どもやペットの留守番のときも安心
全館空調は暑さ・寒さを感じた場合にスイッチを入れる訳ではなく、換気機能も持つことから基本的には24時間つけっぱなしにします。
常に室内の温度が一定に保てることから、子ども・ペットが留守番するときも室内を安全・快適な環境に整えられます。
夏場の熱中症が問題になる昨今、全館空調があれば子ども・ペットの安全も守ることができます。
全館空調を導入して後悔しないためのポイント
メリットだけでなくデメリットもある全館空調の家。
後悔しないためには、以下の5つのポイントを抑えておくことが大切です。
全館空調の必要性を確認する
1つ目は、どうして全館空調を導入するのか必要性や目的を確認することです。
全館空調は非常に快適な住環境を実現できる設備ですが、費用を始めとしてデメリットがあることも確かです。
実は全館空調でなくても、一体的な間取りにして大型のエアコンを取り付けるなど、目的とする生活を実現するためには他の方法の方が適している場合もあります。
どんな生活を送りたいのか目的とする住環境を想定した上で、全館空調・エアコン・ストーブなど複数の方法を比較・検討してから全館空調の導入を決めましょう。
【関連コラム:全館空調はやめたほうがいい?メリット・デメリットと後悔しないための家づくりの注意点】
太陽光発電・蓄電池の導入を検討する
★全館空調を導入する際のポイント:太陽光発電・蓄電池の導入を検討する
2つ目は、全館空調とともに太陽光発電システムや蓄電池の導入を検討することです。
設置費用に加えて電気代が高くなることも心配される全館空調の家。電気代の心配をなくすためには、自宅で電気を作って自家消費することが効果的です。
太陽光発電システム単体だと夜間の稼働分に電気代がかかりますので、蓄電池を導入して夜間や天気の悪いときも自宅で作った電気を使えるよう検討しましょう。
電気事業者の見直しを考慮する
3つ目は、電気事業者の見直しを検討することです。
太陽光発電や蓄電池を導入しても、梅雨時期など長期に渡って電気を作れない場合もあります。
こうした場合に備えて、電気事業者から電気を購入する場合でも単価を安く抑えられるよう、電気の単価が安い電気事業者を探すことをおすすめします。
全館空調を利用した経験のある工務店・ハウスメーカーに依頼する
4つ目は、全館空調の家を施工した経験のある工務店・ハウスメーカーに依頼することです。
メーカーや製品にもよりますが、全館空調を採用する場合、床下や天井に給排気用のダクトを這わせたり、空調設備本体を設置する場所を確保したりする必要があります。
機器に合わせた適切な空間を確保しながら、人が快適に居住するためのスペースを確保する必要もありますので、設計・施工にはコツや経験が必要です。
気になる工務店やハウスメーカーに問い合わせて、施工事例の有無や施工の可否を確認してみましょう。
アフターサービスに優れた会社に依頼する
5つ目は、アフターサービスが優れた会社に依頼することです。
全館空調は設備本体やダクトの配置、吸気用フィルターなど複数の部品で構成されます。
このため丁寧に施工した場合でも、不具合が出る可能性をゼロにできる訳ではありません。
万が一不具合が生じたとき、迅速に対応してもらえるレスポンスのよさが、全館空調の住まいを建てる際には重要になります。
全館空調の知っておくべき注意点
ここからは全館空調を導入する場合に、知っておいた方がよい注意点を紹介します。
気密性・断熱性によっては効果を感じられない
★全館空調を導入する際の注意点:住まいの断熱性・気密性を重視する
1つ目の注意点は、住宅の気密性や断熱性が低い場合は全館空調のメリットを感じづらい点です。
全館空調は室内各所の温度を一定に保つ働きを持ちますが、気密性が低く温めた空気が外に逃げていってしまう建物では効果を発揮しづらいでしょう。
また、断熱性能が低い場合には壁や窓からも熱が外に逃げてしまい、快適な温度を保つのが難しくなります。
全館空調の住まいを建てる場合は、気密性・断熱性が高く熱が外に逃げ出さない、外から熱が伝わらない住まいを目指しましょう。
導入する場合は設計の初期段階から検討する
2つ目の注意点は、全館空調を導入する場合は計画の初期段階から工務店・ハウスメーカーの担当者に伝えることです。
全館空調はダクトや設備本体を配置するために、専用の空間を設ける必要があります。
このため設計の途中から全館空調の導入を検討する場合は、間取りの変更など手間や費用が追加される恐れがあります。
冬でも薄着で生活したいなど、温熱環境についての希望がある場合は、家づくりの初めから要望を出しましょう。
好みの全館空調システムを取り付けられない場合がある
3つ目の注意点は、好みの全館空調システムを取り付けられない場合があることです。
全館空調システムは各社から発売されていて、製品によって特徴が大きく変わります。
工務店やハウスメーカーによって導入している全館空調システムに違いがありますので、どの会社、どの商品を使用しているのか確認することが大切です。
15年前後で交換が必要になる
4つ目の注意点は、15年前後で設備の交換が必要になる可能性があることです。
全館空調システムは一般的なエアコンと同様の仕組みを使って温風・冷風を作ることから、使用し続けられる期間も同等と考えられます。
多くの機器は10~15年ほどで交換時期を迎えますので、全館空調を更新する費用や交換の手間も考えて設置計画を立てましょう。
全館空調のデメリットへの対策
記事の終わりに、全館空調でデメリットを感じる場合にどういった対策を取ればよいのか紹介します。
初期段階から資金計画に全館空調の導入を反映する
★全館空調のデメリットへの対策:資金計画に全館空調の導入を反映する
全館空調について初期費用の面での後悔を防ぐためには、資金計画など家づくりの初期段階から全館空調の費用を見積もっておくことが重要です。
はじめから費用を見積もることで予算オーバーが早めに分かり、床面積の減やキッチン・ユニットバスのグレードダウンなど、全館空調を導入するための予算調整が可能になります。
【関連コラム:【マイホームの資金計画】住宅購入時のポイントは?】
初期段階から間取りに全館空調の導入を反映する
資金面に加えて間取りの観点からも、全館空調を利用する場合は計画の初期段階から希望を伝えることをおすすめします。
全館空調を利用する場合、空調機器を設置するスペースを2階や小屋裏などに準備しなければいけません。また、各室に空気を送るためのダクトを配置するため、ダクトを通すスペースも必要です。
こうしたスペースを適切な位置に配置するため、全館空調を希望する場合は計画の初期段階から設計者に伝えましょう。
メンテナンス費用・交換費用を積み立てておく
費用の面では、メンテナンス費用や交換費用を想定して積み立てる計画性も重要です。
メンテナンスや交換にかかる費用は、採用する全館空調のメーカーによって変わりますが、特に交換費用は100万円ほどもかかる場合もあります。
機器が故障してから交換費用を捻出するのは困難ですので、屋根や外壁の塗装費用などとともに全館空調のメンテナンス・交換費用も積み立てておきましょう。
電気代を節約する工夫を考えておく
★全館空調のデメリットへの対策:電気代を節約する工夫を考えておく
基本的に24時間稼働を続ける全館空調は、電気代の中で占める割合が大きくなりがちです。
このため電気事業者の変更や太陽光発電システムの導入など、電気代を削減する工夫を考えることが大切です。
また、窓や断熱材の性能を高めるなど、住宅の基本性能を高めて全館空調が効きやすい家にすることも大切です。
乾燥に備えて加湿器の設置を検討する
室内が乾燥することに対しては、加湿器を配置することを検討しましょう。
冬場は冷たい外気と比較して室温が高まるため空気の乾燥は避けられません。加湿器を利用して適切な湿度に保ちましょう。
なお、ダクトを通じて家中の空気がつながっている全館空調では、大型の加湿器を導入することをおすすめします。
合わせて加湿器を置く場所に洗濯などの動線が重ならない工夫や、適切な位置へのコンセント配置なども検討しなければいけません。
換気に優れたキッチン計画を立てる
全館空調でキッチンなどの匂いが拡散される問題については、換気性能に優れたキッチンづくりを意識しましょう。
主にキッチンで匂いが発生するのはコンロ部分ですが、コンロに付属するレンジフードを壁付けにしたり、換気機能の強い製品を使用するなどして、調理中の匂いを効率的に排出できるキッチンを実現できます。
また、全館空調設備の吸気口とキッチンとの距離を開けるなど、キッチンの空気を吸い込まないようにする工夫も効果的です。
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衣類などで調節・個別にヒーターを利用
★全館空調のデメリットへの対策:衣類などで調節・個別にヒーターを利用
家族ごとに最適な室温が異なる点については、衣類での調節やヒーターなど局所暖房が効果的です。
家中の室温が統一される全館空調では、家族それぞれに最適な室温に調節するのは困難です。
家族全員にとって平均的に心地よい温度設定にした上で、衣類での調節やヒーターによる局所的な加温で居心地のよい住環境を実現しましょう。
空調室と他の部屋の間に納戸などを配置する
全館空調の機器から生じる音の問題については、機器を設置する空調室と他の部屋の間に廊下や納戸など他の部屋や空間を設けることが効果的です。
基本的には24時間稼働し続ける全館空調。音の問題を解決するためには、全館空調の設備本体と静粛性が必要な部屋とを隣接させないことが大切です。
また、吸気口や排気口から音が聞こえる可能性もありますので、ベッドの位置との調整も考えましょう。
全館空調のデメリットと後悔しない家づくりの方法
全館空調を導入する場合に感じる可能性のあるデメリットや後悔を紹介するとともに、デメリット・後悔を避ける方法について解説しました。
家中の気温を均一に保つ全館空調を導入することで、快適な住環境やヒートショックの回避など様々なメリットのある生活を送れます。
一方で費用やメンテナンス、匂いや個別の温度調節などデメリットを感じる場合があることも事実です。
そこで全館空調を導入しながらデメリットを抑えるために、以下の対策が効果的です。
● 初期段階から資金計画に全館空調の導入を反映する
● 初期段階から間取りに全館空調の導入を反映する
● メンテナンス費用・交換費用を積み立てておく
● 電気代を節約する工夫を考えておく
● 乾燥に備えて加湿器の配置を検討する
● 換気に優れたキッチン計画を立てる
● 衣類などで調節・個別にヒーターを里謡
● 空調室と他の部屋の間に納戸などを配置する
なお、こうした対策を最大限効果的に活用するためには、間取りや予算など様々な条件を詳細に検討する必要があります。
このため、全館空調のある住まいを建てる際には、入念な打合せを行える工務店やハウスメーカーに依頼することが重要ともいえるでしょう。

サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。