近年の住宅では多く取り入れられているパントリー。以前は高級マンションなどに採用されていましたが、ここ数年主婦(夫)の方から高い指示を得ているため数多くの住宅で設置されています。しかしパントリーと聞いてもどのような間取りにすればよいか分からない方も多いのではないでしょうか。さらにどのような用途があるのか疑問に思う方もいらっしゃいます。そこで本記事ではパントリーのメリット・デメリットを紹介し、必要な広さや収納アイデアなども重ねて紹介します。これからマイホームを建築する方はぜひ参考にしてください。
本当に使いやすい?パントリーのメリットとは?
パントリーにはどのようなメリットが挙げられるのでしょうか。ここでは3つのメリットを紹介します。
キッチン周辺がスッキリする
パントリーは食糧庫として利用されることが多いため、キッチン周辺に食材を置かなくなるためスッキリした空間にすることができます。そもそもパントリーは中世のヨーロッパで、貴族のお城や館に食料品を保管する部屋として利用されていました。その名残で食材などを収納する場所として利用されます。さらに普段使用しない家電やサイズが大きい米袋などをしまうことができるため、キッチン周りに物を置かなくて済むようになるメリットがあります。
キッチンのスペースが拡大する
「キッチンスペースが広くなる」もしくは「ダイニングやリビングを広くすることが可能」になります。もちろんパントリーのスペースを設けなければいけませんが、ある程度間取りを工夫すればキッチンスペースを拡大することができます。
勝手口からすぐに収納できる
パントリーに勝手口を設けることで買い物から帰ってすぐに荷物をしまうことが可能です。来客などがあった際、できれば買い物袋などは見せたくないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。勝手口を設けておけばお客様に見られることがないうえ、さらにパントリーとつなげておけば即座に物をしまうことが可能です。
パントリーのデメリットは?
パントリーを設置することでデメリットも生じます。ここでは2つのデメリットを紹介します。
スペースが必要
パントリーを設けるということは、ある程度スペースが必要となります。一般的な大きさは後ほど紹介しますが、「パントリー分の施工面積を増やす」もしくは「建物全体の大きさを変えず、部屋の一部を小さくしてパントリーを設ける」の2パターンとなります。施工面積を増やすとなると建築費が割高になり、部屋の一部を小さくすると使い勝手の悪い部屋となるでしょう。コストを優先するか、部屋の使いやすさを優先するかを選択することになりますが、どちらにせよスペースが必要となるデメリットがあります。
間取りの工夫が必要
建物の規模を変えずにパントリーを設ける場合、間取りの工夫が必要です。ただ設置するだけでなく、「どの部屋を縮小するのか」「そもそも部屋を小さくせずに設置できないのか」を検討しなければいけません。とはいえ構造躯体なども関係してくるため、設計士に相談しましょう。自身では「ここを変えればできるのでは」と思っていても法規上難しい場合もあるため、専門家の意見を参考に間取りを工夫する必要があります。
使いやすいパントリーの間取りは?
パントリーを設計する際はどのような間取りにすればよいのでしょうか。一般的には建築会社が間取りの提案を行ってくれます。しかしどのような間取りのタイプがあるのか事前に把握しておくことは大切です。プロであるためベストな間取りを提案してくれるはずですが、最終的な決断はお客様です。そのためここではどのような間取りのパントリーが良いか紹介します。
パントリーのタイプ
パントリーは3つのデザインに分かれます。それぞれ特徴を紹介するため、自身に合う間取りを決めておきましょう。
● ウォークインタイプ
人がパントリー内で歩けるほどのスペースがあるタイプの間取りです。収納力が高く、扉をつければキッチンから見えなくすることが可能です。一方でサイズが大きいため、建築費用が高額となってしまう可能性も高いです。
● ウォークスルータイプ
ウォークインスルータイプは収納兼動線を兼ねており、キッチンの横だけに限定的に配置されることはなく、家の中を回れるように配置するため回遊動線とも呼ばれています。玄関からパントリーへ行ける動線にしたり、「キッチン・パントリー・洗面所」などの動線も可能です。ウォークインインタイプは出入り口が一つですが、ウォークスルータイプは2つの出入り口となるため、より家事効率の向上につなげることが可能です。
● 壁面収納タイプ
壁面収納タイプは可動棚のような収納タイプです。上記2つと比較するとコンパクトであるため、大きな収納ができません。一方でそれほど多くの食材を保管する必要がない家族人数であれば、壁面収納タイプでも十分でしょう。広さもほとんどないため、コストも大きくかからない点がメリットとして挙げられます。
↑ウォークスルー型パントリー
パントリーの設置場所
パントリーの設置場所は各家庭によって異なりますが、一般的に以下の3か所が挙げられます。それぞれの特徴について紹介します。
1. 玄関からパントリーへ直通できる場所
買い物から帰ってきた際、そのまま食料や日用品を収納することができます。重い荷物を運ぶ距離をできるだけ短くするため、玄関と直通できる場所に設置する方もいらっしゃいます。
2. 洗面所に隣接
洗面所の横に設置するパントリーは食料品より日用品や生活用品、タオルなどを収納する目的の方が多いです。さらにキッチンとも隣接することでより家事効率が向上します。
3. キッチン横
パントリーの設置場所として最もオーソドックスで、人気の高い場所はキッチン横です。キッチン横に設置することで料理効率の向上と、キッチン周辺の見栄えが向上します。
4. 勝手口
キッチン横に似ていますが、勝手口にパントリーを設置する方もいらっしゃいます。先ほども紹介しましたが、「ウォークインスルー型」のタイプです。買い物から帰ってきた際、玄関ではなく勝手口から家の中に入ることができ、そのまま食材などを仕分けすることができます。さらに来客がある場合などは玄関から入りにくいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。買い物袋を見られたくないという方は、勝手口があるウォークインスルー型がおすすめです。
使いやすいパントリーに必要な広さは?
ではパントリーの広さはどれくらいがベストなのでしょうか。ここでは広さに着目して紹介します。
大きさは0.3畳~3畳ほど
一般的なパントリーは0.3畳から3畳ほどと言われています。とはいえこれほど大きさに幅があるのは家族の人数によって異なるためです。3人家族などであれば、食料もそれほど多くないため、広いパントリーは不要という意見もあります。一方5人や6人などの家族であれば3畳は欲しいという方もいらっしゃいます。
タイプによって理想的な広さが異なる
パントリーの広さは先ほど紹介した3つのタイプによっても広さが異なります。ウォークインタイプやウォークインスルータイプのパントリーであれば、1畳から2畳ほどとなります。一方壁面収納タイプであれば、幅が90センチ〜、奥行きが45センチからとなるため0.5畳ほどの大きさです。もちろん大きめの壁面収納タイプにすることも可能です。とはいえ名前の通りウォークイン(人が歩ける)サイズの方が大きい傾向にあるため、どのタイプにするかによって広さも異なると理解しておきましょう。
何をどれくらい収納するかを決めておく
パントリーの広さを決める際は、何をどれくらい収納するかを決めておくことが大切です。食料品だけでなく、普段使用しない家電や日用品、生活用品など家の物をすべてしまうとなると、ある程度の広さが必要です。とはいえどれくらいの広さが必要となるかわからない方も多いです。そのため今住んでいる住宅の収納スペースを参考にしてみましょう。現状の収納で足りない分は、パントリーを含めて2倍や3倍の収納スペースなどにしておくとある程度余裕が生まれます。あとで収納スペースを追加するということは難しいため、事前に何を収納するのかを決め、見合ったサイズにするようにしておきましょう。
使いやすいパントリーにする収納方法・アイデア
最後に使いやすいパントリーにするための収納方法やアイデアを紹介します。
棚ごとに置くものを決めておく
パントリーに可動棚を設ける際、棚の列ごとに何を収納するかを決めておくことがおすすめです。特に広いパントリーは物を多く収納できる反面、どこにしまったのか分からなくなる方も多いです。そのため棚ごとに収納するものを分けている方も多くいらっしゃいます。
高さ調整と奥行き調整
特に女性であれば高いところの物は取りにくく、さらに奥行きがあると手が届かないというケースが考えられます。そのため普段使用しないものを高い位置に置いたりするなどの工夫が必要です。とはいえ高すぎて手が届かないことも考えられるため、高さ調整できる可動棚にしておきましょう。また奥行きがあると、奥にしまったものをわすれがちです。多く収納できるメリットがあるものの、「奥に合って気が付かなかった」「賞味期限が切れていた」とうことにもなりかねないため調整できるようにしておきましょう。
サティスホームでは
サティスホームでは、打合せ時に「何を置く予定?」→「幅は何センチにする?」「可動棚?固定棚?」「コンセントは必要?」など、詳しくヒアリングをさせてもらいながらパントリーの収納方法を決めていきます。「ストックをたくさん置くタイプ!」「ペットの食事などのスペースが欲しい」「ウォーターサーバーを使っている」「冷蔵庫の他にサブ冷凍庫がある」など…、お客様の暮らしに合わせて最適な空間をご提案します♪
荷物の重さによって収納場所を変える
特に棚に関しては重いものを置くと曲がってしまう可能性が高いため、以下のように高さ別に収納するものをおきましょう。
収納場所 | 収納したいモノ |
上段 | ● 軽いもの ● 普段使用しないもの ● 賞味期限がないもの |
中段 | ● よく使うもの ● 家電(電子レンジ・トースターなど) |
下段 | ● 重いもの ● 大きいもの |
使いやすいパントリー:まとめ
パントリーは3つのタイプに分かれますが、それぞれ広さや使いやすさなどが異なります。家族が多い方はウォークインタイプやウォークスルータイプを設置し、少人数であれば壁面収納タイプがおすすめです。とはいえ予算や自分にとっての使いやすさも考慮しましょう。Instagramなどで「#パントリー」「#パントリー収納」と検索すれば、様々なアイデアが見られます。もちろんSNSだけの情報で決めるのではなく、専門家の意見を参考にして設計していきましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。