リビング畳とは?メリット・デメリットや失敗/後悔しない間取りや設置方法

リビング畳とは?メリット・デメリットや失敗/後悔しない間取りや設置方法

近年の住宅の床はほとんどフローリングが用いられています。しかし畳のある空間が欲しいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。和室を設けられるほどのスペースや予算があれば良いですが、敷地の面積や住宅ローンの兼ね合いで和室分の部屋を作ることができない方も多いです。その際用いられるのが、リビング畳です。名前の通りリビングに畳を設けるタイプの間取りです。本記事ではリビング畳の概要とメリット・デメリット、後悔しない設置方法を紹介します。これから住宅を建築する方や畳の空間を取り入れるか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

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リビング畳とは?

「リビング畳」と名前を聞くと、リビングにある畳をイメージすることができるでしょう。
もちろんその通りなのですが、ここでは改めてリビング畳の概要を紹介します。

リビング畳とは

リビング畳とはリビングの「中央」また「一角」に畳スペースを設けるタイプの間取りを指します。部屋全体に畳を設置すると、和室のようになりますが、リビング畳はフローリングと畳の箇所がある空間を指します。リビング畳は「和室を設けることができるスペースがない。けど畳の空間は欲しい」という方が取り入れていることが多いです。近年ではフローリングの床材が主流となりつつありますが、日本人には未だ畳の需要が高いことから、人気がある間取りとなっています。

リビング畳の設置場所

リビング畳の設置場所はリビングの中央に設けるタイプと、角に設置して「畳スペース」として利用するタイプがあります。中央に設置するとフローリングの部分は減りますが、角に設置すると、フローリングの部分と畳の部分を分けることができ、来客者の宿泊場所として使用することも可能です。リビング畳には明確な定義がないため、リビングにある畳のことを指すケースが多いです。

リビング畳のタイプ

畳コーナーは以下の4つのタイプに分かれます。
● フラットタイプ・・・畳の場所が他の床と段差がないタイプ
● 置畳タイプ・・・その場に置くだけで簡単に畳スペースを作るタイプ
● 小上がりタイプ・・・畳の場所が他の床と段差があるタイプ
● 小上がりタイプ(収納スペースあり)・・・畳の場所が他の床と段差があり、なおかつ収納スペースを設けることができるタイプ

一般的に中央に設置する際は「フラットタイプ」が採用されることが多いです。リビングは家族が集まる場所であるため、行き来する際に段差があると転倒してしまう可能性もあるからです。一方で角に畳スペースを設ける場合は「小上がりタイプ(収納スペースあり)」が多いです。来客用の布団や座布団などを収納しておくスペースが必要となるためです。もちろん必ず決まっているわけではないため、リビング畳を取り入れる方はどのタイプにするか検討しておきましょう。

畳のタイプ

リビング畳に使用する畳は「国産品」「中国産」「化学製品の畳」の3種類に分かれます。国産品は価格が最も高いですが、色合いや光沢などが最上級であり、弾力性や耐久性に優れている特徴があります。中国産は国産品と比べて安価ですが、品質は劣ります。しかし日本の畳の約80%は中国産と言われています。近年人気が出てきたのが化学製品の畳です。ポリプロピレンなどを使用し、着色できる点が大きな特徴です。リビングの内装に合わせたデザインにすることができるため、グレーや黒、ブルーなどの色合いに変えることができます。ただしい草は使用していないため、畳ならではの香りはありません。

リビング畳のメリット

リビング畳を採用するメリットは、主に以下の項目が挙げられます。リビング畳を採用するか悩んでいる方は、初めにメリットを理解しておきましょう。

子どもが転んでもケガがしにくい

畳はフローリングと比べて弾力性に優れているため、子どもが転んでもけがをする可能性は低くなります。子どもが小さいうちは、家の中を走り回ったり、遊んでいる最中に転んだりすることが多いでしょう。万が一転び方が悪く、頭などをぶつけてしまうと大事故にもつながりかねません。しかし畳であれば、ある程度ケガに繋がる可能性を抑えることも可能です。もちろん子どもの遊び方次第でもあるので、一概には言えませんが、畳スペースを子どもの遊び場として利用している家庭も多いです。

衝撃に強い

フローリングに物を落とすと床に傷をつけてしまうかもしれませんが、畳はクッション性があるため、傷がつく可能性が低くなります。もちろん落とす物の重さによりますが、お皿やグラスなど、割れ物を落としても割れない可能性もあるでしょう。

床の補修箇所が少ない

フローリングの上に家具を配置すると、床に傷がついてしまい、補修や交換が必要となります。床材によっては傷がついた一部分だけでなく、全体的に交換が求められるケースがあります。一方畳であれば、傷がついた部分だけ交換すれば良いので、交換費用を抑えることが可能です。

い草の香りでリラックス効果

い草の香りにはリラックス効果があるといわれているため、リビング畳を設けることで癒されるという意見も多いです。もちろん国産品や中国産の商品でなければ香りはしません。おしゃれを優先して化学製品の畳を使用してもい草の香りはしないため注意が必要です。香りがよく、クッション性が高いことからお昼寝するスペースとして利用している方も多いです。

リフォームしやすい

リビング畳の施工方法にもよりますが、後ほどフローリングへリフォームする場合、工事が行いやすいメリットがあります。畳を取り入れたものの、将来的に使わなくなったという方もいらっしゃいます。その際、畳部分をフローリングへ張り替える工事だけで済むメリットがあります。リビング畳は部屋の一部を畳にした空間です。全部畳にするより張り替える箇所が減るため、工事しやすく、リフォーム費用を抑えることにもつながります。

調湿効果がある

畳は、い草によって吸水効果があり、なおかつ放出効果もあります。湿度が高い梅雨の時期は、水分を吸収し、冬場などの乾燥の時期は水分を放出すると言われています。家の中の湿度を調整してくれる役割を持ち合わせています。

断熱効果も高い

フローリングと比べて、い草には空気が含まれているため、熱伝導率を低くすることができ、断熱効果が高いとされています。地中からの冷気を防ぐことができるため、冬場でも暖かい空間にすることが可能です。近年では性能の高い断熱材が多いため、畳の断熱効果はフォーカスされにくいですが、より暖かい部屋を作りたい方にはおすすめです。

遮音効果も見込める

断熱効果同様、い草には空気が含まれており、クッション性が高いため、遮音効果もあります。スプーンや食器などを落とした時はもちろん、足音などの音を抑えることができます。子どもが小さいうちは走り回ったりするため、マンションだけでなく戸建て住宅にも人気がある理由の一つです。

和を感じることができる

高級旅館のように、畳があることで、「和」を感じさせてくれます。間接照明などとの相性も良く、落ち着かせる雰囲気を作ることも可能です。もちろん家のインテリアにも関係しますが、日本人ならではの和を感じたい方には畳が必須と言えるでしょう。

リビング畳のデメリット

リビング畳のメリットを紹介しましたが、デメリットもあります。ここでは9つ紹介します。

将来的に使用しない家庭もある

畳を取り入れたものの、将来的に使用しなくなる家庭も多いです。畳の主な使用用途は「横になるスペース」「子どもが遊ぶスペース」として利用します。しかしソファーでお昼寝する方や子どもが大きくなった家庭では、畳を使用する方が減ってきます。リビング畳を中央に設置した場合は、家族が集まる場所であるため長く使用しますが、角に設置する畳スペースの場合は、使用しなくなったというケースも多いです。

日あたりがないとカビやダニが発生しやすい

吸水性の高い畳は、水分を放出しないとカビやダニの発生につながります。湿度の高い地域には不向きです。そのため、「日当たりの良い場所に畳を設置する」ことがベストと言われています。畳を設置している住宅のほとんどは、南側に畳を設置
しているため、リビング畳を考慮する際は日あたりを意識しておきましょう。

家具の荷重で畳が凹む

クッション性のある畳である以上、家具などを配置すると畳が凹んでしまう可能性が高いです。もちろん家具の重さにもよりますが、テーブルの足部分の跡が畳に残ってしまうことも多いです。後でテーブルを交換する際、足の跡が気になる方もいらっしゃるでしょう。テーブルを配置する際は、事前に畳にかぶらないようなデザインを決めておく費用があります。そのため建築会社の方と畳のレイアウトを考慮する際、配置するテーブルを伝えておくケースが多いです。

交換が必要となる

畳の寿命は10年〜20年とされています。裏返して使用することも可能ですが、一般的に5年前後が目安とされています。もちろん日あたりや湿度によって劣化具合が異なるため一概には言えないものの、ある程度の年数が経った段階で交換が必要です。一方フローリングは一般的に張替えなどを行いません。カーペットを敷けば床が傷んでいても使用できる状態であるためです。将来的に交換費用が必要となる点は一つのデメリットと言えるでしょう。

ペットを飼っている家庭には向いていない

特に猫を飼っている家庭にはリビング畳は不向きです。猫の爪とぎ場所となってしまうケースが多く、すぐに畳がボロボロになってしまいます。またい草は臭いを吸収しやすいため、ペットの臭いが付きやすくなるデメリットがあります。

汚れが付きやすい

フローリングと違ってい草は植物であるため、液体などをこぼすとすぐに吸い込んでしまい、シミが目立ってしまいます。特にケチャップや醤油などの色が目立つ調味料は、染み込みも強いため、なかなか取れることはありません。さらに吸収力が高いため、カビの発生原因にもなる可能性が高いです。畳のある場所では飲食しない方が良いとされています。

掃除の手間がかかる

フローリングであれば簡単に掃除ができますが、畳はごみが溜まりやすいうえに掃除が困難というデメリットがあります。畳は原則「乾拭き」か「掃除機」を使って掃除します。しかし先ほどもお伝えしたとおり、液体などをこぼすと拭き掃除が大変です。水分を吸収しやすいため、水拭きは行わない方がよいですが、一方でい草の細かな目に入ったごみは取ることが難しいです。

床暖房には不向き

リビング畳は基本的に床暖房を設置することはできません。熱が畳に行き届くと火事になる可能性もあるためです。とはいえ、床暖房専用の薄い畳も存在します。畳を設置して床暖房を使用したい方は、建築会社の方へ相談しましょう。

コストが割高になることも

リビング畳を取り入れる場合、建築会社によってはオプション工事となるケースがあります。もちろんリビング畳の施工内容によって異なるため一概には言えないものの、一般的に畳は受注発注です。注文を頂いてから畳の会社へ発注し、仕入れを行います。そのため建築費が多少高くなる可能性もある点は一つのデメリットと言えるでしょう。

リビング畳で失敗/後悔しない間取りや設置方法

ここではリビング畳を取り入れる際、後悔しない間取りの設置方法や注意点を紹介します。

横になってテレビが見られるレイアウトを考慮する

畳の上で横になってテレビを見たいという方も多いのではないでしょうか。その場合は、テレビから畳を設置する位置がポイントとなります。一般的にはテレビとソファーの間に畳を設置します。しかしテーブルなどを設置している方も多いため、レイアウトを考慮して配置することが大切です。「横になったけどテーブルでテレビが見られない」「テレビが高い位置にあるため横になって見えにくい」などの例もあるため、レイアウトはしっかり検討しましょう。

小上がりにして作業スペースとして利用

畳のあるスペースを小上がりにして、台を取り付けることで作業スペースとして利用できます。近年では在宅ワークやフリーランスが増えてきたこともあり、パソコンを使って作業するスペースに畳の使用が人気です。疲れた時にすぐに横になれる空間であり、い草の香りで癒されます。

掘りごたつタイプの畳スペース

リビングを掘りごたつタイプにし、座る場所を畳にした施工例です。掘りごたつであるため、こたつとの相性も高く寒い地域にはおすすめです。通常の椅子と異なり、掘りごたつに着席した後、寝転ぶことも可能です。ダイニングテーブルとしても利用できるため、食事を食べるテーブルとリビングのテーブルを用意する必要もないことから、空間を広く利用することができます。

内装デザインに合わせた化学製品の畳でおしゃれに

従来の畳はい草を使用していたため、薄緑一色でしたが、近年では化学製品の畳によってカラーバリエーションが豊富です。国産品と比べると、性能は落ちてしまいますが、見栄えを重視する方は、家の内装デザインに合わせた畳を使用しましょう。畳は和をイメージさせるものですが、ワンポイントアクセントにもなります。海外のような住宅であってもデザイン次第ではおしゃれに見せることが可能です。

数多くの施工例を見る

リビング畳で失敗しないためには、数多くの施工例を見て、気に入ったデザインを確認しておくことが大切です。畳である以上「和」のイメージは残ります。しかしながら近年の住宅はモダンやシックなデザインも多く、内装と似合う畳であるかは慎重に決めなければいけません。そのため数多くの施工例を見て参考にしましょう。

取り外しができるタイプを使用する

先ほどもお伝えしましたが、将来的に畳スペースを使用しなくなる家庭も多いです。そのため、置畳タイプを採用して、取り外しできるようにしておくのも一つの方法です。置畳タイプであれば、使用するタイミングに合わせて設置することが可能です。子どもが小さいうちは設置しておき、大人になって使用しなくなった際に外すことができます。畳を置くだけなので、リフォームなどをする必要がありません。また、ホームセンターなどでも簡単に購入でき、価格も安価です。畳スペースの設置で迷っている方にはおすすめです。また畳の置き場に迷わないためにも、畳をしまっておく収納スペースを設けることがポイントです。

使用用途を考えてから決める

リビング畳を取り入れる際は、どのような使用用途があるか検討してから取り入れましょう。「横になるスペース」や「キッズスペース」として使用するような目的が明確であれば問題ありませんが、「建築会社の方に進められた」「とりあえずあれば良いかなと思った」などの理由であれば、取り入れて後悔する方もいらっしゃいます。必ず何のために畳を設けるか決めてから取り入れましょう。

リビング畳 まとめ

今回はリビング畳の概要とメリット・デメリット、後悔しない設置方法を紹介してきました。リビングの中央、または角に設置する畳スペースをリビング畳と呼び、フローリングの代わりに施工する方が多いです。リビング畳は住宅の工事と同時に施工するものもあれば、取り外しができる置畳も有効です。とはいえ置畳の場合は化学製品の畳の商品が多いため、い草の香りはしないケースが多いです。またフローリングと比べてメンテナンスや交換費用が発生するため、将来的にも使用するかを考慮して配置を検討しましょう。とはいえ畳を取り入れた住宅に住んだこともない方も多いでしょう。そのため建築会社の方へ相談し、プロの意見を参考にするようにしましょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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