これから注文住宅を建築する方は、完成までの流れを理解しておきましょう。
流れを理解しないまま打合せ進めてしまうと、途中で次に何をすれば良いかわからなくなり、スムーズに進められなくなります。そのため事前に決めることや、やることを理解しておく必要があります。
注文住宅の流れは大きく分けて4つに分けることができます。下準備から始まり、設計、着工、引き渡しで完成となります。
本記事では4つの項目について解説し、注文住宅完成までの流れを理解できるようになります。
注文住宅の流れ【一覧表】
下記の表は、4つの項目別の目安期間と、決めることや内容一覧になります。
注文住宅の流れ | 目安期間 | 決めること・やること | 内容 |
---|---|---|---|
①下準備 | 1か月~2か月 |
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計画地と予算の確定 |
②設計 | 1か月~3か月 |
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住宅会社と金融機関の確定
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③着工 | 3か月~6か月 |
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地鎮祭を執り行い、工事が着手 |
④引き渡し | 1か月 |
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①注文住宅の「下準備」期間の流れ
注文住宅の下準備では、建築する基盤を固めていく作業です。
建物のデザインや間取りに意識がいきがちですが、ここでは4つの準備を行います。
- 資金計画を立てる
- 土地を見つける
- 融資の事前相談をする
- モデルハウス見学
下準備では約1か月から2か月前後の期間を要します。
資金計画を立てる
最初の下準備として、毎月の返済額を決める資金計画を立てる作業を行います。
毎月の支払い額を決めず注文住宅の計画を進めてしまうことで、大きな建築費になってしまいます。建築予算が合わなければ何度も図面を修正する必要があり、次第と打ち合わせ回数も増え、マイホームが完成するまで時間がかかるでしょう。
そのため、毎月無理のない返済額を設定し、建築予算を決めることが大切です。毎月の返済額を決められない場合は、下記の表を参考にして検討してください。
借入額 | 固定金利の場合(金利1.2%想定) | 変動金利の場合(金利1%想定) |
---|---|---|
1,500万円 | 43,755円 | 42,342円 |
2,000万円 | 58,340円 | 56,457円 |
2,500万円 | 72,925円 | 70,571円 |
3,000万円 | 87,510円 | 84,685円 |
3,500万円 | 102,095円 | 98,799円 |
4,000万円 | 116,680円 | 112,914円 |
4,500万円 | 131,266円 | 127,028円 |
5,000万円 | 145,851円 | 141,142円 |
この表は借入額別の固定金利(1.2%)と変動金利(1%)の35年ローン返済額です。おおよその毎月の返済額がわかるようになるでしょう。
土地を見つける
上記の予算を考慮し、土地を探していきましょう。
土地は立地、大きさなどを考慮し、価格を検討して見つけます。
土地を見つける方法は2種類あり、一つは自身でインターネットを利用して検索したり不動産会社に問合せする方法、また、依頼をする建築会社に探してもらう方法もあります。
もう一つは建築条件付の土地を見つける方法です。建築条件付の場合、相場より安い土地が多いですが、建築会社が決まっています。他社との比較が出来ないデメリットがありますが、自身が気に入った土地で注文住宅を建築できるメリットがあります。
土地が決まれば購入申込書を売主または不動産会社に提出します。建築条件付の場合は不要となることがありますので、建築会社に確認しておく必要があります。購入申込書では特にお金は発生しませんが、購入したいという意思表示になりますので、自身が気に入った土地が見つかった場合のみ提出しましょう。
事前相談をする
事前相談とは、住宅ローンの仮審査のことを指します。
仮審査が通らなければ、いくら土地を探しても意味がありませんので、事前に金融機関へ融資の相談をしておきましょう。融資の事前相談は土地を探す前でも、探している最中でも問題ありません。
一般的に融資の事前相談をする際は、下記の3つの書類が必要となります。
- 源泉徴収票3年分
- 借入がある場合の償還予定表
- 身分証明書
もちろん相談する金融機関によって異なりますので確認してみましょう。
モデルハウス見学
注文住宅を検討し始めた際は、実際の建物を見てどのような家を建てたいかを検討していきましょう。
住宅展示場や見学会に足を運んで実際の家を見てみることをオススメします。家を見ることで、より自分が建てたい家のイメージがわかるようになります。
②注文住宅の「設計」期間の流れ
計画する土地が決まった後は、建築会社へ設計依頼と見積もり依頼を行います。ここでは建築会社を決める作業となりますので、慎重に行いましょう。
おおよそ1か月から3か月前後期間を要します。
プランニングと見積もりを取る
建築会社にプランニングを依頼し、土地の測量も含めて建物の配置や間取りを決めていきましょう。
最初はラフフランといられる簡易図面と概算見積もりを提出してもらいます。1社だけでなく2.3社に相談し、各社比較していきますが、この際信頼できる会社であるかをも見極めていく必要があります。
単純に安いだけでなく、オプションなどの費用も入った概算見積もりなのかを確認することが大切です。後々打ち合わせを進めていく中で、見積もりが大きく増加してしまえば資金計画自体が変わってしまうためです。安さを売りにしているだけの会社ではなく、信頼度も高い会社に依頼していきましょう。
依頼する会社が決まれば、本格的に間取りと見積金額を提出してもらいます。
土地の売買契約を行う
建築会社と打合せし、おおよその間取り、金額に合意できた後は、土地の売買契約を行います。
土地の売買契約では下記の3つ費用が必要となりますので用意しておきましょう。
手付金
手付金は買付申込書に記載した金額を支払います。
一般的には売買代金の1割もしくは100万円になりますが、事前に不動産会社へ確認しておきましょう。
仲介手数料半金
仲介手数料は、(売買代金×3%+6万円)×消費税になります。売買契約時では仲介手数料の半金を支払う場合が多いです。
不動産会社によっては決済時に全額一括支払いという場合もありますので、こちらも不動産会社に確認しておきましょう。
売買契約印紙代金
売買契約印紙代金は、購入する土地の価格によって異なります。
下記の表は売買金額別の印紙代金です。軽減税率は2022年3月31日までの契約が適用となります。
売買金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
引用:国税庁
工事請負契約書を締結する
間取りや見積もりが決まった後は建築会社と工事請負契約を締結します。締結する際は、支払い額やスケジュールを確認しましょう。
また、契約の際は、印紙代金の他に契約金が必要となる場合もあります。印紙代金は売買契約同様、契約代金によって異なります。下記の表は2022年3月31日まで契約した場合の印紙代金になります。
契約金は、一般的に工事代金の10%ほどの金額が相場となっておりますので、事前に建築会社へ確認しておきましょう。
記載された契約金額 | 税額 | |
---|---|---|
10万円を超え | 50万円以下のもの | 200円 |
50万円を超え | 100万円以下のもの | 500円 |
100万円を超え | 500万円以下のもの | 1千円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 5千円 |
1,000万円を超え | 5,000万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え | 1億円以下のもの | 3万円 |
引用:国税庁
住宅ローンの申請
工事請負契約書締結した後は、住宅ローンの申請を行います。事前審査が既に通っている場合は、何かしらの要因がない限り申請は通るでしょう。
住宅ローンの申請が通ったあとは、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。銀行とお金の貸し借りをするという内容の契約です。
ここでも契約印紙代金が必要となりますので用意しておきましょう。印紙代金は借入する金額によってことなりますので、下記の表をご参考下さい。
借入金額 | 税額 | |
---|---|---|
100万円を超え | 200万円以下のもの | 200円 |
200万円を超え | 300万円以下のもの | 500円 |
300万円を超え | 500万円以下のもの | 1千円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 5千円 |
1,000万円を超え | 5,000万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え | 1億円以下のもの | 3万円 |
引用:国税庁
図面の最終確認する
着工に向けて図面や仕様の最終確認を行います。打合せ通りの間取りになっているか、要望通りの住宅設備になっているかを確認しておきましょう。
確認が出来たら、建築会社の方で建築確認申請を行います。建築確認申請は、「建築基準法に基づいた注文住宅を建築します」と、行政に申請することです。一般的には建築会社や第三者機関が申請しますので、施主は特に作業はありません。
③注文住宅の「着工」期間の流れ
建築確認申請の許可が出た後は、着工という流れになります。
着工した後は特に施主はすることがありませんが、地鎮祭を行ったり現場確認したりなどの作業がありますので説明します。
地鎮祭
地鎮祭は、注文住宅建築に関する工事の安全と、関係者の家内安全を願う式典です。地鎮祭を執り行う方もいれば、行わない方もいらっしゃいます。
一般的には、寺院にお願いし、初穂料として2万円から5万円前後奉納します。その他祭壇費用なども必要となりますが、一般的には建築会社の工事費に含まれている場合も多いので、確認しておきましょう。
本体着工
地鎮祭が完了した後は着工となります。
この際、着工時金を建築会社へ支払います。一般的には工事費用の30%の額を支払うため、金融機関に行って手続きを行いましょう。工事の入金が確認できない場合、建築会社は工事着手できないうえに、工程が大きく変動してしまいます。日数に余裕をもって支払い手続きを行うようにしてください。
入金の手続きが完了し、工事が着手した際は、現場の確認をしておきましょう。工事の内容が分からない場合や気になる点がある場合は、建築会社に確認しておくことをオススメします。
上棟
上棟式は近年減りましたが、執り行う場合もあります。
現代の注文住宅の主流になりつつある2×4工法は、棟上げという作業がないため、上棟式は行わない場合が多いです。一方在来工法は棟上げがありますので、上棟式を行う方もいらっしゃいます。
上棟式を行う際は、お神酒やご祝儀、お食事で15万円から20万円ほど必要となりますので用意しておきましょう。また、上棟時には建築会社に工事代金の30%を支払います。着工時同様金融機関に行き、支払い手続きを行うようにしましょう。
建築会社によっては、上棟時に支払いしない場合もありますので、工事請負契約書締結時に確認しておきましょう。
完成
建物が完成した後は、すぐに住めるわけではありません。完成後は、建築会社の検査を行い、行政が建築基準法通りに建物ができているかの完了検査を行います。
完了検査が通れば、施主の検査をします。この際、建物の隅々まで確認し、不具合や手直しは必要ないかを確認しましょう。手直しがあった場合、施主検査時に建築会社に伝え直してもらうようにしましょう。
④注文住宅の「引き渡し」期間の流れ
建物が完成し、引き渡しまで約1か月前後の期間を設けている建築会社が多いです。1か月間で行い作業を解説していきます。
完成検査
先ほどの検査時に手直し作業がある場合は、約1か月前後で完了します。
手直し作業が完了した後は、再度施主検査を行うようにしましょう。自身が納得いくまで手直ししてもらうようにしてください。
外構工事
建物の最終手直しをしている最中、もしくは完了後、外構工事を行いましょう。
外構工事は工事内容や時期によって異なるもの、おおよそ1か月ほどで完了するでしょう。
また、雨や冬季はコンクリートのひび割れなどに影響を及ぼすため、余裕を持った日程で調整しておきましょう。
住宅ローンの実行
住宅ローンは建物が完成してから実行となります。銀行に行って最終手続きを行うようにしましょう。
なお、手続き完了後の翌月、もしくは翌々月から支払いが開始します。
引っ越し作業
注文住宅の引き渡しを受けた後は、出来たら引っ越し作業をして行きましょう。
近隣挨拶を行い、ライフラインの開設手続きを行います。電気や水道は建築会社から施主に切り替えしてくれる場合が多いので、事前に建築会社へ確認おくことをオススメします。
ケース別:注文住宅の流れ
注文住宅を工務店に依頼するべきか、ハウスメーカーに依頼するべきか悩んでいる方にいるではないでしょうか。ここでは双方のメリット・デメリットを説明し、異なる流れを解説します。
また、土地所有の有無によっても異なりますので説明してします。
工務店の場合
工務店に注文住宅を依頼する場合、ハウスメーカーと違い施工現場も少ないため、実物が見ることができない場合があります。
そのため、イメージで打合せしていく必要がありますが、ハウスメーカーより価格が安いメリットや間取りや設備の自由度が高いメリットがあります。実物が見ることができないため、下準備の「現物を見る」作業がなくなります。
ハウスメーカーの場合
ハウスメーカーは住宅展示場や見学会で実物を見ることが可能です。そのため、自身が建てる注文住宅のイメージをしやすいでしょう。
ハウスメーカーで注文住宅を建築する場合、間取りが規格化されている場合や、構造が決まっている場合もあります。もちろん自由設計の会社もありますが、工務店より価格は高いデメリットがあるでしょう。
土地ありの場合
土地有りの場合、土地を探す作業や売買契約を締結する業務がなくなります。そのため、土地なしの方と比べて、1.2か月早く注文住宅を完成することができるでしょう。
土地無しの場合
土地なしの場合、本記事でも紹介した土地探しを行う必要があります。
土地探しは、早い方では1か月もかからず見つかる場合もありますが、1年2年もしくはそれ以上、気に入った土地が見つからない方もいらっしゃいます。
そのため、根気よく土地を探すか、ある程度妥協して土地を選ぶ必要があるでしょう。
その他の注意点や注文住宅で家を建てる時のポイント
注文住宅会社との契約の流れ
注文住宅会社との打ち合わせが進み、間取りや見積もり金額に合意できた後は、工事請負契約書を締結します。
設計士から建築士法に関する重要事項の説明を受け、工事請負契約書の支払金額やスケジュール、契約約款を確認して締結します。
土地を購入して注文住宅を建築する際、万が一融資が否認された場合、契約は白紙撤回になりますので建築会社へ契約前に確認しておきましょう。
住宅ローンの流れ
住宅ローンは、「事前相談」「住宅ローン申請(本審査)」「金銭消費貸借契約」「融資実行」という流れで進みます。事前相談が通れば問題なく進みますが、途中で他の借入をしたり、仕事を辞めたなどの理由で否認なる場合があるので注意しましょう。
また、融資実行は建物が完成してから行われ、実行されたあとは毎月返済し続けるようになります。
打ち合わせの流れ
建築会社と打合せする際は、おおまかなラフプランを作成してもらいます。本格的な図面を作成するのは、建築会社も労力と時間をついやすため、ラフプランをベースに打合せしていきます。
契約すると施主が伝えれば、本格的な図面を作成し、詳細打ち合わせに移行することになります。
費用の支払いの流れ
建築会社への工事代金の支払いは各社によって異なるものの、一般的に、「契約時10%」「着工時30%」「上棟時30%」「引き渡し時30%」が多いです。事前に建築会社へ確認しておきましょう。
しかし、先ほどもお伝えした通り、住宅ローンは建物完成後に実行されます。そのため、建築途中の代金は「つなぎ融資」や「分割融資」を用いて支払うことになるでしょう。
注文住宅の流れを把握して理想のマイホームを建てよう!
今回注文住宅を建築する場合の流れを解説してきました。
注文住宅を検討し始めてから、住み始めるまでにはさまざまな作業があり、半年で完成する方もいれば、1年2年と長期な計画になる方もたくさんいます。長期になるほど、途中で嫌になり、注文住宅を諦める方も多いでしょう。
しかし、事前にどの作業をすればよいかを理解しておくことで、スムーズに進めることが可能となります。憧れのマイホームですので、途中で投げ出さないためにも、ひとつひとつ流れを把握して進めていきましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。