注文住宅の契約書で失敗しない!5つの注意点とトラブル回避方法

注文住宅の契約書で失敗しない!5つの注意点とトラブル回避方法

建設業法において、注文住宅の建築を依頼する際は、工事請負契約書を取り交わすことになっています。

民法上は口頭でも契約は成立しますが、内容の相違などによりトラブルが発生する可能性が高いため、建設工事の契約の際は、重要事項と契約約款を添付した契約書を2通作成し、発注者と請負者で1つずつ保管します。

とはいえ、注文住宅を依頼する発注者は、工事請負契約書の内容を理解していないまま署名捺印をしている方が多いようです。後々トラブルにならないためにも、本記事では注文住宅の契約書で失敗しない為の5つの注意事項とトラブル回避用法を解説します。

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注文住宅の「工事請負契約書」とは?

ここでは工事請負契約の注意点を説明する前に、工事請負契約書とは何かを解説していきます。

契約書の種類 内容
建築工事請負契約書 発注者と請負者で結ぶ契約書
建築工事請負契約約款 発注者と請負者で締結する契約書を補完するもの
設計図書 契約者に添付する図面等
工事費見積書 建築会社の請負金額を詳細項目にしたもの

建築工事請負契約書

建築工事請負契約書とは、注文住宅を始め、賃貸アパート建設、マンション建設、リフォーム工事などの工事を行う際に、施工会社と締結する契約のことを指します。

契約書には、計画地や計画用途、施工範囲と施工面積などが明記されており、更に請負者の氏名、請負代金額(施工金額)、工事スケジュール、支払い条件も記載されております。

内容に同意できた場合は、発注者の欄に自身の名前と住所を記載し、捺印欄に捺印します。

また、収入印紙と契約書の表紙と裏面に、発注者と請負者が割印をして1つずつ保有し、契約完了となります。

建築工事請負契約約款

建築工事請負契約約款とは、工事請負契約により補完する契約条項になります。

「契約を履行するために発注者と請負者の双方が協力しましょう」という内容と、「万が一トラブルや解約があった際の責任所在と処理方法」が明記されています。一般的には国土交通省のガイドラインに則った契約約款を採用している建築会社が多いです。

約款と言えば難しいイメージがありますが、基本的には、発注者と請負者が協力して家を建築することを目的としています。ただし、「何かしら契約不適合があった場合、契約約款に基づいて対応してください」という内容です。

設計図書

設計図書とは、建物の配置図や平面図、仕様書などを指します。

工事請負契約書に設計図書を添付することで、工事内容の確定をさせます。つまり、どのような建物で、どのような設備を使うかを図面に記載し、契約書に添付することで、発注者と請負者で意見の相違がないかを確かめることにもつながります。

ただし、軽微な追加工事や住宅リフォームなどの小規模工事の場合、契約書に設計図書は不要となる場合があります。

工事費見積書

工事請負契約書には工事見積書の添付を建設業法により義務付けています。

見積書には建築会社が請け負う金額を記載します。注文住宅の場合、本体工事費用や付帯工事費用、外構工事費用などの項目を更に細分化した金額を添付します。その際、注文住宅建築に関わる諸費用は記載されていないため注意しておきましょう。

注文住宅の契約書で失敗しないための5つの注意点

ここからは注文住宅の契約を締結する際に注意する5つのポイントを紹介します。

  1. 図面の再確認
  2. 金額の再確認
  3. 工程スケジュールと支払いサイクルの確認
  4. 設計施工監理の重要事項説明を確認
  5. 解約条項を確認する

図面の再確認

工事請負契約書には設計図書が添付されているため、再度図面を確認しましょう。

建築会社は設計図書の図面通りに施工します。建物完成後に自身がイメージしていた間取りや仕様が異なっていたというケースもあり、修正できる箇所に関しては発注者負担で追加契約します。

言った、言わないではなく、契約書に署名捺印した段階で、双方図面に同意したと判断するのが一般的です。注文住宅では間取りや仕様に関するトラブルが非常に多いため、十分注意しましょう。

金額の再確認

建築工事請負契約書には、どのような注文住宅を建てるかなどが記載されておりますが、請負代金も確認する項目のひとつです。

建築会社によっては請負代金が明記されていない場合もありますが、それらの理由は建築会社が月内に契約が欲しいなどの都合が考えられます。そのまま契約してしまうと、当初打合せしていた金額より高い請負金額が、勝手に契約書に書かれているなどのトラブルも発生するため、必ず契約金額の記載のある契約書を確認しましょう。

工程スケジュールと支払いサイクルの確認をする

注文住宅の工事請負契約書には必ず着工日と完成日(引き渡し日)が明記されています。建築会社によっては契約日、上棟日(中間日)なども記載されている場合もあるでしょう。

工程には注文住宅に住めるようになる日(引き渡し日)が記載されており、賃貸住宅などに住んでいる方は、完成日(引き渡し日)を目処に引越し手続きを行いましょう。

注文住宅の建築代金は、一般的には、契約日、着工日、完成日に建築会社へ支払います。一括支払いではなく、着工日や完成日に、建築会社が指定する支払い割合に応じて支払う仕組みです。

一般的には契約時に建築代金の10%、着工日30%、上棟時30%、完成日30%が主流です。しかし、着工日に建築代金の全額を一括で支払ってほしいという会社もあります。過去に、入金だけもらって連絡がつかなくなった業者もあるため、必ず建物の施工割合に合わせて入金サイクルが組まれているか確認しましょう。

設計施工監理の重要事項説明を確認する

注文住宅の契約を締結する前の確認事項となります。

注文住宅の契約をする前に、設計士から設計施工監理の重要事項説明が建築士法で義務付けられています。誰の設計で、誰が現場を管理するのかを発注者も理解しておく必要があります。

万が一、建物の設計や施工でトラブルがあった場合、建築会社側の不手際を立証するのが難しくなる場合もあるため、必ず建築士免許証を提示してもらいながら重要事項説明を聞きましょう。

一般的には契約日当日に行い、説明書に署名捺印が完了した後、工事請負契約締結に移行します。

解約時の条項を確認する

万が一注文住宅を解約することになった際は、基本的には違約金が発生します。

クーリングオフという方法もありますが、契約してから8日以内という制限を始め、さまざまな条件があります。そのため、契約を白紙撤回したいといっても簡単にできることではないでしょう。

契約してから、建築会社の方で注文住宅の構造計算や建築確認申請を外注していた場合は、その費用を成果割合に応じた金額を支払う必要があります。また契約時に支払った契約金(手付金)などは、返金されない場合がほとんどですので、解約した際は大きな出費となります。

そのため、契約する際は工事請負契約約款の解約に関する条項を確認しましょう。

注文住宅の契約後によくあるトラブル事例

注文住宅の契約した後、工事が進行しますが、ここでも何かしらのトラブルもある可能性があり、100%スムーズに作業が進むとは限りません。

ではどのようなトラブルがあるのでしょうか。ここでは4つのトラブル事例を紹介します。

  1. 住宅設備の仕様が打ち合わせしたものと異なる
  2. 工期が遅れる
  3. 完成後に施工ミスが発覚した
  4. 仮契約と聞いていたが本契約だった

住宅設備の仕様が異なる

打ち合わせの段階でキッチンやお風呂などの品番を指定していたものの、注文住宅が完成してから違う商品が設置されているケースです。

契約書に添付されている設計図書の仕様書を確認しても、違う商品の品番が記載されており、取り替えてほしい旨を伝えても、発注者も署名捺印しているため、変更できない会社が多いでしょう。

それほど契約書に署名捺印するということは重要なことです。

工期が遅れる

契約書には着工日から完成日までの期日が明記されていますが、100%その通りに工程が進むとは限りません。

賃貸住宅に住んでいる方の場合、アパートの退去日を確定した後に完成日が伸びてしまうと住む家が無くなってしまいます。また、引越し業者も依頼していた場合、違約金などが発生してしまう可能性もあります。

実際、東日本大震災の際は、資材が届かないなどの要因で、多くの建築会社が工期遅れとなりました。工期が遅れるということはさまざまな方のスケジュールに影響を及ぼします。

完成後に施工ミスが発覚した

注文住宅に住み始めてから気になるところが出てくる可能性もあります。

例えば、ドアや床のキズ、クロスが一部剥がれてきている場合などがあります。要因としては職人の手抜き工事による施工ミスです。注文住宅は建築会社と契約しますが、施工するのは下請け業者がほとんどであり、現場監督の管理が行き届いていないためでしょう。

仮契約と聞いていたが本契約だった

建築会社と間取りなどの打ち合わせをしており、これ以上のプランニングは仮契約になると伝えられたが、本契約だったというケースがあります。

その後打合せしていき金額が予算と合わなかったため、解約を申し出たら既に本契約を締結していると伝えられ、違約金を請求されるという方がいます。仮契約と言われたといえ、契約書の確認を怠ったためにこのようなトラブルに繋がりました。

注文住宅の契約トラブルを回避する4つの方法

注文住宅のトラブル事例を理解した上で、次に契約トラブルを回避するための方法を4つ紹介します。

  1. 打ち合わせ記録を残す
  2. 工程スケジュールを何度も確認する
  3. 施主検査を徹底する
  4. 契約約款を見逃さない

打ち合わせ記録を残す

契約前に打ち合わせしていた内容を記憶でなく、記録として残しておきましょう。契約書に署名捺印したものの、建築会社のミスで契約内容に間違いがあるケースもあります。

発注者も契約書の確認をすることは大切ですが、ひとつひとつ確認しない方がほとんどです。そのため、注文住宅の打ち合わせをしている時は、打ち合わせ内容を記録に残しておきましょう。

記録に残す際は、複写などを用いて建築会社の担当者からサインを頂いておくことで、後で立証できる証拠となります。

工程スケジュールを何度も確認する

注文住宅の建築が始まった後は、完成まで待っているのではなく、建築会社に工程通りに建築が進んでいるかを何度も確認しましょう。

特に完成1か月前は、賃貸住宅の退去告知をするタイミングとなります。先ほどの失敗事例にならないように、スケジュール管理は徹底しておきましょう。

施主検査を徹底する

一般的に注文住宅が完成した際は、建築会社による社内検査、行政による完了検査を行った後に、発注者である施主検査を行います。

施主検査では自身の目で建物を見て、不具合がないかを確認しましょう。もし知人に建築が詳しい方が居る場合は、一緒に確認してもらう事で施主ではわからない箇所も見つけてくれるかもしれません。

契約約款を見逃さない

工事請負契約約款は建築会社の方に全て読んでもらうようにしましょう。10分程度で読み終わります。

後々トラブルにならないためにも、疑問に思った点は確認しておいた方がよいでしょう。契約約款の内容を理解していない建築会社や、質問内容をごまかすような業者は要注意です。

信頼できる建築会社を選択する

注文住宅を建築する際は、工事請負契約書や工事請負契約約款に基づいて工事をするものの、やはりなにかトラブルがあった際にしっかり対応してくれる業者を選択することが大切です。

トラブルがあった際は、建築会社から後回しにされたりして、なかなか打ち合わせや話し合いが進まない場合もあります。そのような時でも対処してくれる業者であるか見極めることも大切でしょう。

業者を見極めるときは、信頼度も高く実績もあり、評判の良い建築会社であるかを確認します。また、話をする度にメモを取る業者や連絡の返信が早い業者は、その仕事への誠意や六稜の判断材料にもなります。

「この会社なら信頼できる」という会社で契約するのが一番良いです。

注文住宅で失敗しないように契約書の内容確認は慎重に!

今回注文住宅の契約書で失敗しない為の5つの注意事項とトラブル回避用法を解説してきました。

注文住宅を契約する際のトラブル事例も紹介してきましたが、一例にすぎません。他にもさまざま失敗事例がありますが、工事請負契約書を確認していないのが原因である事が多いです。

契約書や約款と聞くと堅苦しいイメージがありますが、大きな金額の契約です。ひとつひとつを確認してから署名捺印していきましょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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