平屋の固定資産税は?二階建てとの違いや安く抑える方法・メリットを解説

平屋の固定資産税は?二階建てとの違いや安く抑える方法・メリットを解説

「平屋の固定資産税は高い」
注文住宅の計画を立てる中で、こうした意見を聞いた人もいるでしょう。

手持ちの資産を住宅の頭金や家具・家電の購入費用に使い、一戸建てを建てた後は現金の残高が心もとない場合があります。
このとき、固定資産税をはじめとするランニングコストは抑えたいものです。

本記事では、平屋の固定資産税が高いとされる理由を紹介するとともに、平屋の固定資産税を安く抑える方法を解説します。

平屋は二階建てと比べて多くのメリットを感じられる建て方です。満足いく平屋の建物を建てつつ、固定資産税を節約してランニングコストを抑えましょう。

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平屋の固定資産税が高くなる理由とは?

★平屋の固定資産税が高くなる理由とは?

「平屋の固定資産税は高い」この意見は実は正しく、一般的に平屋と二階建ての一戸建てがある場合、平屋のほうが固定資産税が高くなるケースが多く見られます。
どうして平屋の方が固定資産税が高くなるのでしょうか。

そもそも固定資産税とは?

まずは固定資産税とは、どういった税金なのか確認しましょう。
総務省のホームページでは、固定資産税について以下のように記載されています。

皆さんの周りにある住宅地や田んぼなどの土地、住宅やお店などの家屋、工場の機械や会社の備品などの償却資産を総称して固定資産と呼びます。固定資産税とは、こうした固定資産にかかる税金です。
引用:総務省「固定資産税」

 

つまり、固定資産税とは「土地や家屋の所有者が資産価値に応じて支払う税金」を指します。

固定資産税が決まる仕組み

固定資産税は、市町村(東京23区では都が課税)に対して支払う税金で、固定資産税の計算の根拠となる固定資産税評価額も市町村が決定します

具体的には、土地については地価公示価格など土地価格の指標を目安に計算し、建物については新築した後に市町村の資産税課などの職員が自宅を調査し固定資産税評価額を算定します。

このとき、土地の市場価値が高かったり、建物の仕様がよく資産的な価値が高かったりすると固定資産税も高くなります。

二階建てより平屋の方が固定資産税が高くなる理由

★土地・建物の面積が大きくなりやすく固定資産税が高くなりがちな平屋

平屋が二階建てと比べて固定資産税が高いということは、土地や建物の評価が高いか、土地の面積または建物の床面積が多いということです。

具体的に、平屋のほうが固定資産税が高くなる理由は以下の2点です。

平屋の方が広い土地が必要になるから

1つ目は、屋の方が広い土地が必要になることです。
床面積30坪の家を建てようとするケースで駐車場や外構の面積が変わらない場合、平屋は二階建てと比べておおよそ1.5倍ほどの土地面積が必要になります。

土地の面積が広くなるほど固定資産税の金額も高くなることから、平屋のほうが土地にかかる固定資産税は高くなる傾向があります。

屋根・基礎の面積が広くなるから

2つ目は、屋根や基礎の面積が広くなるからです。
床面積が同じ家を平屋と二階建てで建てた場合、平屋は屋根と基礎の面積が二階建ての2倍必要になります。

住宅に使用される建材の量も固定資産税を算定するひとつの要素となりますので、屋根・基礎の面積が増えることは固定資産税が増えることにつながるのです。

こうした2つの理由で、平屋は二階建てよりも固定資産税が高くなる傾向にあります。

平屋の固定資産税を二階建てと比較

★平屋と二階建ての固定資産税の比較

では、実際に平屋と二階建てはどの程度、固定資産税に違いが生まれるのか比べてみましょう。

固定資産税評価額の目安を知る方法

実は固定資産の計算の元となる固定資産税評価額は、建物については算定根拠が公開されていません。このため、固定資産税の目安は、一般的には以下の金額を目安として算定されます。

建物:再調達原価の50%
土地:公示価格の70%

再調達原価とは、もう一度対象となる建物を建てた場合に必要となる金額を指しています。
つまり、新築においては再調達原価=建築価格と考えて問題ありません。

また、公示価格は、国土交通省が毎年1月1日に全国の標準的な地点における正常な価格を示すもので、国土交通省が運用する「標準値・基準値検索システム」を利用して1㎡あたりの価格を調べることで確認できます。
参考:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」

調べた結果を元に、建物は50%(60%とする場合もあります)、土地は70%を掛けることで固定資産税評価額の目安を算定できます。

建物・土地の固定資産税の軽減措置を考慮する

★固定資産税には、土地・建物の評価額を下げる軽減措置がある

実際に計算するときには、以下の各種軽減措置を受けられますので、固定資産税の計算を行う際には考慮する必要があります。

土地  小規模住宅用地
(200㎡以下の部分)
 評価額✕1/6
一般住宅用地
(200㎡を超える部分)
 評価額✕1/3
建物
(新築後3年間)
 120㎡以下の部分  評価額✕1/2

参考:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

参考:四日市市「新築住宅に対する減額措置について」

固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛ける

こうして求められた固定資産税評価額に、通常は1.4%の税率を掛けることで固定資産税を求めます
なお、固定資産税率は自治体が決めるもので、標準的には1.4%ですが、異なる税率を用いている自治体もありますので、正確にはお住まいの自治体の税率を調べる必要があります。

平屋の固定資産税額のシミュレーション

実際に固定資産税額の目安を求めるシミュレーションを行ってみましょう。
まずは新築平屋の固定資産税について、以下の条件を想定して算定します。

・土地面積:265㎡(およそ80坪)
・土地価格(路線価より):1,000万円
・建物面積:100㎡(およそ30坪)
・建築価格(再調達原価):3,500万円

<土地の固定資産税額>

公示価格の70% 1,000万円✕0.7=700万円
固定資産税の軽減 200㎡以下の部分 ① 700万円✕200/265✕1/6≒88万円
固定資産税の軽減 200㎡を超える部分 ② 700万円✕65/265✕1/3≒57万円
土地の固定資産税 ①+②  (88万円+57万円)✕1.4%≒2万円

<建物の固定資産税額>

再調達原価の50% 3,500万円✕50%=1,750万円
固定資産税の軽減 1,750万円✕1/2=875万円
建物の固定資産税額 875万円✕1.4%≒12万円

2万円(土地の固定資産税)+12万円(建物の固定資産税)=14万円

二階建ての固定資産税額のシミュレーション

続いて新築二階建ての固定資産税について、以下の条件を利用して算定します。

・土地面積:198㎡(およそ60坪)
・土地価格(路線価より):800万円
・建物面積:100㎡(およそ30坪)
・建築価格(再調達原価):3,000万円

<土地の固定資産税額>

公示価格の70% 800万円✕0.7=560万円
固定資産税の軽減 560万円✕1/6≒93万円
土地の固定資産税 93万円✕1.4%≒1.3万円

<建物の固定資産税額>

再調達原価の50% 3,000万円✕50%=1,500万円
固定資産税の軽減 1,500万円✕1/2≒750万円
建物の固定資産税額 750万円✕1.4%≒10.5万円

1.3万円(土地の固定資産税)+10.5万円(建物の固定資産税)=11.8万円

平屋と二階建ての固定資産税の比較

平屋と二階建ての固定資産税をシミュレーションした結果、それぞれの固定資産税額は以下の結果となりました。

平屋 二階建て
土地の固定資産税額 2万円 1.3万円
建物の固定資産税額 12万円 10.5万円
固定資産税総額 14万円 11.8万円

シミュレーションの結果、土地と建物を足して1年間に支払う固定資産税額の差額は、平屋と二階建てで約2万円となりました。

土地や建物の広さ、土地の単価など条件が変われば金額も変わりますが、二階建てと比べて平屋の方が固定資産税額が高くなる理由を計算で確認できました。

平屋の固定資産税を安く抑える方法

★重厚感を感じられる重心の低い平屋の住まい

シミュレーション上では年間におよそ2万円の差が生じる固定資産税。1回ではなく、毎年の支払いと考えると決して小さくはない金額です。
この差を埋めるために、以下の6つの対策を考えてみましょう。

・構造は「木造」を選択する
・必要以上に建物・土地を広くしない
・ロフトや小屋裏の利用で床面積を確保
・土地の単価が安価なエリアを選択する
・不要な装飾や設備を減らす
・長期優良住宅など軽減措置が長くなる仕様にする

構造は「木造」を選択する

1つ目は、建物の構造に木造を選択することです。

建物の構造には木造・鉄骨・鉄筋コンクリートという3つの方式がありますが、それぞれ固定資産税の計算に利用する金額が異なります。
一般的には鉄筋コンクリートが最も高く、鉄骨、木造と続くことから、木造を選択することで固定資産税の金額を節約できるでしょう。

参考:法務局「東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表」

必要以上に建物・土地を広くしない

2つ目は、建物や土地を必要以上に広くしないことです。

固定資産税を決める要素は複数ありますが、そのうちのひとつは土地・建物の面積です。
面積が広くなるほど固定資産税は高くなりますので、家族に合った最適な広さに留め、必要以上に広くしないことで固定資産税を節約できます。

ロフトや小屋裏の利用で床面積を確保

3つ目は、ロフト・小屋裏を利用して床面積を確保することです。
固定資産税を算定する要素のひとつは床面積ですが、住宅は床面積に加える場合と加えない場合とが規定されています。

たとえば部屋の床の高さが1.4m未満である場合、部屋を作っても床面積に加える必要はありません。
こうした制度を活用することで、床面積を絞って固定資産税を節約した上で収納や書斎といったスペースを実現することができます

参考:川口市「小屋裏物置等」

土地の単価が安価なエリアを選択する

★固定資産税を抑えたい場合は土地探しのエリアを広げる方がよい

4つ目は、土地探しのときに土地の単価が安価なエリアを選択することです。
土地の単価を下げられれば、土地の評価額を抑えて土地に対する固定資産税を節約できます。

駅の近くや大型商業施設の近くなど利便性の高いエリアに土地を求めると、購入するタイミングだけでなく住み始めてからの継続的にかかる固定資産税も高くなりますので、手元に資金を残したい方は土地探しのエリアを郊外まで広げることをおすすめします。

【関連コラム:土地を安く買う方法は?相場や値引きのコツ、税金について解説】

不要な装飾や設備を減らす

5つ目は、不要な装飾・設備を減らすこと。
固定資産税は建物の面積だけで決められる訳ではありません。使っている仕上げや設備のグレードによっても変わります。

具体的には、壁面に一般的なビニールクロスを利用するよりも漆喰や珪藻土といった塗り壁を選択する方が、固定資産税は高くなる傾向にあります。
また、キッチンやユニットバスなども、グレードの高い設備を選択する方が固定資産税は高くなります。

固定資産税を抑えたい場合は、リビングやダイニングなど生活する時間が長い空間に絞ってよい仕様を選択するなど、内装や設備の選択にメリハリをつけましょう。

長期優良住宅など軽減措置が長くなる仕様にする

6つ目は、固定資産税の軽減措置が長くなる仕様にすることです。

先ほど解説した建物への固定資産税の軽減措置は、通常は3年間という期限付きの措置です。一方で長期優良住宅の認定を受けた住宅では5年などと、期間を長くできる制度があります。

参考:国土交通省「認定長期優良住宅に関する特例措置」

こうした制度・工夫を利用することで、固定資産税の負担を軽減できるでしょう。

平屋を選ぶメリットは?

ここまで解説したとおり、平屋は二階建てと比べると固定資産税が高くなりがちで、家を建てた後に継続的に支払う費用が高くなります。
それでも平屋が勧められるのは、以下の7つのメリットがあるからです。

【関連コラム:【平屋のススメ】今人気の平屋、実際どうなの!?|平屋建てのメリット・デメリットなどをご紹介】

階段がなく子ども・高齢者も暮らしやすいバリアフリー性

★フラットな面が多くバリアフリー性に優れる平屋の住まい

平屋の最大のメリットは、階段がないことからバリアフリー性が高いことです。

階段を利用して上下方向に移動する必要がないため、足腰の弱い高齢者でも容易に移動でき、また階段を使用することに対して落下の不安を感じてしまう子どもにとっても安心です。

将来車いすで生活するようになったとき、ケガをして松葉杖での生活になったとき、こうした場合でも問題なく暮らせるバリアフリー性は平屋ならではです。

洗濯や掃除など家事をしやすい動線に

★洗濯や掃除などの家事も行いやすい平屋の住まい

階段がないことは、洗濯や掃除といった家事をしやすいという特徴にもつながります。

水を吸って重くなった洗濯物を持って階段を上下するのは重労働です。
また、階段は凹凸が多いことから掃除機をかけづらく、掃除の手間が増えることにもなります。

バリアフリー性の高い平屋は、こうした各種家事をするときにも効果を発揮します。

リビングを中心とした間取りでコミュニケーションを取りやすい

★家族間のコミュニケーションを促進できる平屋の暮らし

平屋は間取りを考える際に、リビングを中心とした間取りを作りやすく家族間のコミュニケーションを取りやすい点もメリットです。

二階建てで階段が廊下や玄関にある場合、子どもが家族の顔を見ることなく直接自室に上がってしまうことがあります。
平屋であれば、リビングやダイニングなどの主要な間取りを通って個室に行くことになりますので、家族同士がコミュニケーションを取りながら過ごせるでしょう。

上階がないことから間取りの自由度が高くなる

★平屋は二階建てと比べて間取りの自由度が高くなる

平屋は二階建てと比べて開放的な間取りを作りやすい点もメリットに挙げられます。

二階建ての場合は二階部分の重量を支えるために、柱や耐力壁(重量を支える役割を果たす壁)の位置を動かせないケースがあります。
一方で平屋は二階部分がなく、屋根の重量だけを支えればよいので、広々としたLDKなど開放的な間取りを実現しやすい特徴を持ちます。

耐震性が高く、地震・台風のときも安心

平屋は、耐震性の高さも大きなメリットです。
建物は階数が上がるほど、地震が発生したときの揺れが大きくなります。

高さを抑えられる平屋は、地震が発生したときの揺れを抑えることもでき、万が一地震を受けたときの被害を最小限にできるでしょう。
シンプルな形状になりやすい平屋は、地震の揺れのエネルギーを均等に受けられ、建物の損傷を軽減できる点も特徴的です。

【関連コラム:【地震に強い家】条件,耐震,免震,制振について】

ワンフロア生活で光熱費を抑えやすい

★平屋は冷暖房の効率に優れて光熱費を抑えられる

平屋建てはワンフロアで生活できることから、光熱費を抑えられるところも嬉しい点です。

リビングを中心に階段を設けずに各部屋が隣接する間取りを作れることから、リビングの暖気が個室にも伝わりやすくロスを少なく冷暖房を使用できます。結果として光熱費を削減しながら生活できます。

なお、平屋は屋根の面積が大きいことから太陽光パネルを設置しやすい環境といえます。
周囲の建物など立地にもよりますが、太陽光発電設備を導入することで、さらに光熱費を抑えられるかもしれません。

足場が不要でメンテナンス費用を抑えられる

二階建てと比較して高さを抑えられる平屋は、軽微なリフォームや点検程度であれば足場が不要になります。メンテナンスのたびに足場の設置・撤去をするための費用が不要になりますので、ランニングコストを抑えられます。

また、脚立があれば壁や屋根の状態を簡単に把握できますので、台風の後に損傷がある場合など二階建てと比べていち早く確認できることから、雨漏りが発生して大規模なリフォームが必要になる事態を避けられる点もメリットです。

まとめ:平屋と二階建て固定資産税の違いについて

★重厚感が感じられるデザインと使い勝手に優れる平屋の一戸建て

「二階建てよりも平屋の方が固定資産税額が高い」

こうした指摘について、理由を確認するとともにシミュレーションを交えて本当に固定資産税が高くなるのか検証を行いました。
結果としては毎年2万円ほど平屋の方が固定資産税が高くなるという結果になりましたが、条件次第で固定資産税の金額は変わります。

また、シミュレーションでも分かるとおり、生活に支障をきたすほどの金額差でない点に注目です。
平屋にはバリアフリー性能をはじめとする様々なメリットがあり、重厚感のある外観は非常に特徴的・魅力的です。

固定資産税をはじめとする各種ランニングコストを抑えたいと願うのは当然ですが、毎月1,000円前後の税金を惜しむよりも、「階段・段差のない暮らし」など理想とする暮らし方を実現して暮らしやすい住まいを実現することをおすすめします。

 

 

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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