「床面積を抑えつつも広々と開放的な家を建てたい」
このような希望を持つ人にとって最適な選択肢は「廊下のない家」を建てることです。
廊下をリビング・ダイニングと一体化させることで、床面積を広げることなく広々とした空間を実現することができますが、メリットがある一方でデメリットを感じる場合もあるようです。
そこで本記事では、廊下のない家を建てた場合に感じられるメリット・デメリットを紹介します。
さらに、実際にサティスホーム(三重県四日市市・津市)で建てられた、廊下のない家の間取りや施工事例写真、廊下のない家を目指す上での注意点や費用についても紹介します。
どんな間取りに対しても言えることですが、メリット・デメリットがあり、家族の暮らし方によって採用するべき間取りなのかは変化します。
特徴を正しく把握して、満足いく「廊下のない家」を実現しましょう。
廊下のない家のデメリットとは?
はじめに、廊下のない家を建てることで感じられるデメリットを紹介します。
水回りや階段など、各間取りにLDKから直接アクセスできる間取りにはどんなデメリットが隠されているのでしょうか。
音や光が漏れやすくプライベート感を取りづらい
間取りの中で廊下を無くす場合は、家族それぞれのプライベートを確保しづらいという点に留意が必要です。
廊下は本来、部屋と部屋のプライバシーを守るための緩衝帯としての役割を持ちます。
一方で廊下がない家では、生活音が響いても緩衝体となる空間がなく音や光が個室まで届きやすいことから、個々人のプライバシーを守りづらい点がデメリットにあげられます。
リビングやキッチンの音・においが寝室・子ども室に届きやすい
具体的に発生する問題として、リビングやキッチンで発生する音や匂いが寝室や子ども室といった個室に伝わる点があげられます。
例えば、夜中にリビングでテレビを見ているとしましょう。廊下があればテレビの音は廊下には響くものの個室まで届くことはないでしょう。
一方で廊下のない家であれば、リビングのテレビの音をはじめとする生活音が個室まで届く恐れがあります。
また、音に加えてキッチンから発生する匂いが個室に届くことも問題に上げられます。
カレーや焼きそばといった料理は離れていても匂いが届きやすく、長時間匂いが残る性質も持っています。
このため、廊下をなくすと個室・子ども室に匂いが届きやすくなることが問題視されます。
部屋が広くなることから大きめの冷暖房器具が必要になる
廊下がなくなると、その分リビングやダイニングといった居室の面積が広くなることになります。
部屋が広くなると、エアコンや石油ストーブといった冷暖房器具で温める部屋の広さが大きくなることから、廊下がある場合と比べて容量の大きな冷暖房器具を用意する必要があるかもしれません。
また、部屋を冷やしたり温めたりするための時間が長くかかる可能性もあり、稼働率が高くなるため光熱費が高くなることも覚悟しなければいけません。
リビング階段の場合階段を通じて2階から冷気が下りる場合も
廊下のない家の間取りでは、リビングに階段を設ける間取りを採用することもあるでしょう。
しかし、リビング階段という間取りは2階から1階へと冷たい空気を供給する場合があります。
空気は冷たい空気は下に、暖かい空気は上に移動する性質を持っています。
リビング階段を採用すると、1階と2階の温度差が原因となって暖かい空気は階段のある吹き抜けから2階に移動し冷たい空気は下りてくる、こうした作用が働きます。
十分な断熱性能が確保されていなければ、寒さを感じる可能性があります。
また冷暖房器具の稼働率が高くなることから、光熱費が高くなる可能性があります
個室に行くとき必ずリビングを通ることになる
平屋またはリビング階段の二階建ての場合、寝室や子ども室といった個室に行く場合に必ずリビングを通ることになる点もデメリットにあげられます。
廊下のある間取りであれば、子どもの友人が家に来た場合でもリビングやダイニングを通ることなく2階の子ども部屋にアクセスできるでしょう。
一方で廊下のない家であれば、必ずリビングやダイニングを通過して2階に上がる必要があるため、リビング・ダイニングの片付けに気を抜くことはできません。
頻繁に来客がある場合は自宅であっても心からくつろげなくなる可能性があります
構造次第では地震に弱くなることも
廊下のない家を作ると構造次第では地震が弱くなるケースがある点には留意が必要です。
一般的には、柱や壁は多いほど2階や屋根の重量を支える要素が多くなるため地震に強い構造になります。
廊下のない家は、柱や壁の量が減ることになるため、耐震性の面で不安を感じる場合があります。
一体感のある間取りなどで人気を博している「廊下ない家」ですが、このようにデメリットを感じるケースもありますので廊下をなくす決断をする場合には注意が必要です。
廊下のない家のメリット
ただし、廊下のない家はデメリットと同程度か超えるほどのメリットを感じられるため採用する家庭が多くなっています。
どんなメリットがあるのか確認してみましょう。
廊下をなくすことで空間を有効活用できる
廊下は移動のためだけに利用する間取りです。
だんらんの時に使うこともなく、調理の時に作業用スペースとして使うこともできません。
廊下をなくすことができれば、その分のスペースをリビングやダイニングを拡張したり新たな個室を設けて趣味のスペースとして利用する、といった使い方も考えられます。
床面積を削減することで、建築費用を減らせる
2点目は、床面積の削減で建築費用を減らせることです。
廊下をなくす場合は、その分のスペースを他の部屋に使って広くすることもできますが、単に廊下の分だけ床面積を減らすこともできます。
結果として、建築面積を小さくできることから建築費用の削減につながります。
建具を減らして各部屋への移動をスムーズに
ドアや引き戸といった建具を減らせることも、廊下のない家の大きなメリットといえるでしょう。
帰宅時に荷物を持っているとき、洗濯物を運ぶとき、建具の存在は移動の邪魔になります。
廊下のない家であれば建具の数を減らすことができ、日常動作を行う際に立ち止まってドアを開ける動作が不要になってスムーズに移動できるでしょう。
南側で取り込んだ光を北側に届けやすくなる
廊下がなくなると、南側から取り込んだ光を北側に届けやすくなる点もメリットに数えられます。
一般的に、南側にはリビングやダイニングがあり、廊下を挟んで北側にトイレや洗面所といった水回りが配置されますが、この場合廊下を挟むことから南側からの太陽光を水回りまで届けられません。
一方で廊下のない間取りであれば、南側からの太陽光を水回りに届けられ、乾燥が促進されることからカビやダニの発生を防げるでしょう。
風が通るため湿気・匂いが溜まりにくい
廊下のない家では、太陽光とともに風通しもよくなります。
結果として湿気や匂いが溜まりにくくなり、清潔な水回りを保てます。
風通しの優れた間取りでは、カビやダニの発生を防げます。喘息などの原因を除去できることから、体調がよくなることも期待できるかもしれません。
部屋間の温度差が少なくなりヒートショック対策に
廊下がなくなることで、リビングやダイニングを中心に各部屋が空間的につながります。
結果として、各部屋の温度差が小さくなりヒートショック対策になることも期待できます。
ヒートショックとは、部屋間を移動したときに急激な温度差が生じることで血圧の急激な増減が生じ、体調不良につながる現象です。
間取りを工夫して建物内の温度差が小さくなると、健康リスクを減らすこともできます。
リビングを中心に間取りが広がるため家族間のコミュニケーションが密に
家族間のコミュニケーションが促進されることも、廊下のない家のメリットに数えられます。
廊下があると家族が直接個室に向かえることから、家族の顔を見ずに生活することになりがちです。
廊下がない家であれば、一度家族がリビングに集まることから家族間の会話が生まれコミュニケーションが促進されることが期待されます。
廊下を設けないことで、こうした様々なメリットを感じられるでしょう。
一方でデメリットを感じる場合もあることから、廊下の有無が自分たち家族にどんな影響を及ぼすのか想像してから廊下の有無を決めましょう。
廊下のない家の間取り例
こうした特徴を持つ廊下のない家。具体的にはどのような間取りになるのでしょうか。
いくつか参考まどりを見てみましょう!
広々としたLDKの上部に大きな吹き抜けのある家
はじめに紹介するのは、18.3帖の広いLDKの上部に吹き抜けのある住まいです。
3帖の畳コーナーも合わせると20帖を超える面積で、吹き抜けによって視線が上に向かいさらに広さを感じられる工夫にも注目です。
玄関・ホールからすぐにLDKへアクセスでき、LDKに入ってすぐに2階に上がる階段も準備されています。日常動線に優れた住まいといえるでしょう。
キッチンの裏側には洗面・脱衣~納戸(ファミリークローゼット)~ランドリースペースの動線が確保されていて、キッチンを中心に様々な家事を行いやすい間取りになっています。
廊下をなくすことで各種動線が改善された好例といえるでしょう。
開放的で明るい暮らしを送れる2階リビングの家
次に紹介するのはリビングや水回りを2階に配置した住まいです。
2階にリビングを配置し廊下をなくすことで、帰宅後の動線を短くすることに成功しています。
帰宅後はホールを中心に、寝室・子ども室へ最短でアクセスでき、階段を上ると広々とした縦長で一体感のあるLDKが広がります。
28坪のコンパクトな間取りでも広々とした空間を実現
本事例は総床面積28.05坪と比較的コンパクトな間取りですが、廊下をなくして、洗面・脱衣所や玄関ホールに直接アクセスできるようにしたことから動線は短く、広々とした空間を実現できています。
玄関・ホールから入ると東西方向にLDKが大きく広がります。
南側には大きな掃き出し窓を2つ設けていて、それぞれ玄関側・洗面脱衣所側に向かって風が通り抜けるように設計されています。
LDKの東側には2階に上がる階段を配置し、家族が個室に上がる際には一度顔を見合わせるように配慮しています。
コミュニケーションを取りやすい一体感のある間取りも、廊下をなくしたことで得られた結果といえるでしょう。
廊下をなくした一体感のある平屋
本事例は延床約35坪でLDK23帖を叶えた平屋の住まいです。
玄関・ホールを通じて中に入ると広々としたLDKと畳コーナーが広がります。
ダイニング・リビング・畳コーナーと複数の居場所を確保して、その時々で居心地のよい居場所を選択できる点が魅力的です。
子ども室の前には大型の収納を設けていて、学用品から思い出の品まで、自由に収納できる利便性も確保しています。
また、キッチンの裏側には家族だけの動線が広がります。
洗面室・脱衣室・ランドリールームと家事を行いやすいこだわりの間取りです。
ランドリールームは4帖の広さを確保し南側に配置。光を十分に受けながら洗濯物を乾かせます。
こうした居心地のよさ、機能性を全て満たしながら約35坪に収められているのは、廊下をなくした間取りならではといえるでしょう。
ウッドデッキ・畳コーナーも含めて一体的な間取りの住まい
最後に紹介するのは、玄関を入ってすぐにLDKがあり、畳コーナーやウッドデッキも含めて一体感が素晴らしい間取りの住まいです。
畳コーナーや洗面室に向かって南側から風を取り入れることができ、採光・通風にも優れた住まいを実現しています。
キッチン西側のデスクやパントリー、土間収納といった収納も十分に確保しており、開放感から実用性まで様々な要望を叶えた間取りといえます。
このように廊下のない家を建てることで、LDKを中心に玄関や水回りにアクセスしやすく、採光・通風にも優れた住まいを実現可能です。
ただし、廊下のない家を建てる際は気にしておきたい注意点もありますので確認しましょう。
廊下のない家を建てる際の注意点
廊下のない家を建てる際に注意しておきたい事柄とは、どんなものなのでしょうか。
音や匂いが伝わらないように配慮する
1つ目は、音や匂いが伝わらないように配慮することです。
廊下のない家で指摘される問題のひとつは、音や匂いが寝室・子ども室まで伝わることです。
この問題によるストレスを軽減するために、リビング・ダイニングと寝室・子ども室の間にWIC(ウォークインクローゼット)を設けたり、キッチンとリビング・ダイニングの間に建具を設けて匂いが広がらないようにしたりと、音や匂いを伝えないようにする工夫を考えてみましょう。
トイレとLDKを隣接させない
2つ目は、トイレをLDKに隣接させないことです。
廊下をなくした際にトイレをLDKと隣接させると、水を流すときの音が気になったり、排便後の匂いが気になったりするケースがあります。
LDKから洗面所を通してトイレにアクセスするなど、トイレとLDKの間に音や匂いの緩衝帯を設けましょう。
気密性・断熱性に配慮したハウスメーカーに依頼する
3つ目は、気密性や断熱性に配慮したハウスメーカーに依頼することです。
廊下のない家を選択した場合、廊下とLDKを一体化させた分空気の体積が増えることとなり、温熱環境の面で不満を抱える可能性があります。
十分な気密性・断熱性のあるハウスメーカーに依頼できれば、空気の体積が増えても温熱環境で不満を感じることはないでしょう。
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暮らし始めてからの動きを想像する
4つ目は、暮らし始めてからの動き方や来客時の動きなどを想像することです。
廊下のある家ない家、どちらにもメリット・デメリットはありますので、どちらが優れているということはありません。
また、どちらが生活スタイルに合っているかは家族の暮らし方によって異なります。
選択を後悔することのないように、廊下のある場合とない場合、双方の暮らしを想像してみましょう。
ライフスタイルの変化に耐えられる間取りを目指す
5つ目は、ライフスタイルの変化に耐えられる間取りを作ることです。
廊下の有無を考えるとき、ライフスタイルの変化は必ず考えておきたい事柄です。
家を建てたときには夫婦2人と子ども1人であった状況が、子どもが増えたり、逆に独立して家族が減ったり、遠い将来は自宅で車いすを利用する生活が来る可能性もあります。
こうしたライフスタイルの変化も加味して間取りを考えると、家を建てたあとに後悔する可能性を減らせるでしょう。
廊下のない家の費用相場
記事の終わりに、廊下のない家を建てる際に気になりがちな費用についての話題を紹介します。
一般的には廊下がない方が安価になる
一般的に、廊下がない家の方が廊下がある家よりも建築費用は安価になります。
その理由は、柱や壁を減らすことができるからです。
より単純な構造になり、部材費や大工の手間賃を減らすことができます。
さらに、ドア・引き戸といった建具の枚数も減らせることも建築費用が減る方向に働きます。
また、建築時に加えて、将来必要になる壁紙の張替え費用や建具のメンテナンス費用も軽減できることから、長期的にかかる費用を減らせる点も魅力的です。
廊下の有無で費用は大きくは変わらない
ただし、廊下の有無で大幅に費用が変わることはありません。
柱や壁の増減や建具の増減で変わる金額は10~20万円ほどで、建築費用全体から考えると与える影響は小さいといえるでしょう。
このため、廊下の有無を考える際は、「建築費用が浮くから」と費用面で考えずに「自分たち家族のライフスタイルを考慮すると廊下があった方がよいか」といった視点で考えることが大切です。
注文住宅の平均的な建築費用
なお、それでも気になるのは、注文住宅を建てる際にどの程度の費用を要するのかということです。
住宅金融支援機構では毎年、住宅の取得価格などに関する調査を行っています。
調査によると、注文住宅を建てる際の土地取得費用の全国平均は「1,499.5万円」、建設費は「3,194.6万円」でした。
なお、三重県においては土地取得費用が「913.8万円」、建設費が「3,373.8万円」です。
以上のことから、建築するエリアやハウスメーカーによって建築総額は大きく異なることが分かります。
同じ三重県の中でも、駅に近いエリアと郊外とでは土地にかかる費用も大幅に異なりますので、条件を具体的に定めてハウスメーカーに相談することが、費用を算定する最も確実な手段といえるでしょう。
サティスホームでは…?
サティスホームの建設費(建物本体価格※付帯工事や諸経費を除く)は「坪単価(税込):58万円~」で、2000万円~3000万円になる方が多いです!
まとめ:廊下のない家で後悔しない!デメリットを要確認
「廊下のない家」を建てるに当たって感じやすいメリット・デメリットや注意点、費用や施工事例などを全般的に解説しました。
廊下をなくしてリビングやダイニングと一体化させると、全体の床面積を増やすことなくリビング・ダイニングの床面積を増やすことができ、廊下のある家と比べて広々とした暮らしを送ることができます。
一方で廊下という緩衝帯がなくなることで、水回りの音がLDKまで響いたりキッチンから発生する調理の匂いが寝室・子ども室まで届いたりと、デメリットを感じるケースがあることも確かです。
ただし、本記事で紹介したデメリットはいずれも対処可能な問題で、設計段階で工夫を施せばデメリットを感じずに廊下のない家のメリットを享受することは可能です。
大切なのは、廊下のない家の建築経験が豊富なハウスメーカーを探して依頼すること。
今まで建築してきたノウハウを元に、ご家族ごとに合った提案ができるからです。
廊下の有無から階段の位置、水回りとLDKとの位置関係など、細かな間取りの調整に丁寧に対応するハウスメーカーを選択しましょう。
もしも建築予定地が三重県内(または愛知県弥富市付近)であれば、弊社サティスホームまでお気軽にご相談ください。
廊下のない家、廊下のある家、どちらの建築経験もあることから、ご家族の生活スタイルに合った間取りをご提案致します。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。