【地震に強い家】条件,耐震,免震,制振について

【地震に強い家】条件,耐震,免震,制振について

地震大国である日本では住宅の耐震性能が求められます。特にここ三重県を含む東海地方は、30年以内にマグネチュード8〜9の南海トラフ巨大地震が70%の確率で発生すると内閣府から発表されています。さらに住宅全壊予測戸数も、約238.6万棟と、東日本大震災の20倍と想定されています。そのため、これから注文住宅を建築される方は地震に強い家の購入を検討すべきでしょう。とはいえ、地震に強い家の基準がわからないという方も多いのではないでしょうか。何も知らずに住宅を建築してしまうと、大きな地震に耐えられない家となってしまうため、あらかじめ地震に対する住宅の基準を理解しておきましょう。本記事では地震に強い家の条件と、「耐震・免震・制震」について紹介します。これから注文住宅の建築や購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

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【地震に強い家】条件

 


地震に強い家にはさまざまな要素が挙げられます。実際も地震が発生してからではないと分からない部分ではありますが、どのような家が強いと判断できるのでしょうか。ここでは地震に強い家の特徴について紹介します。

建物の形状や構造がシンプル

建物は正方形や長方形など、シンプルな構造の方が地震に強いとされています。シンプルな形状であると、地震のエネルギーを上手く分散でき、倒壊リスクを抑えることが可能です。一方、凹凸が目立つ住宅や、一か所だけ出っ張っている住宅など、複雑な形になるほどエネルギーが一点集中してしまい、地震の影響を大きく受けてしまいます。近年ではL型の住宅やコの字の住宅など、おしゃれなデザインのものが増えて来ましたが、シンプルな形状より地震の影響を受けやすくなります。もちろん施工会社の能力も年々向上していることから、倒壊リスクは軽減されつつありますが、エネルギーの分散能力は正方形などの方が高い傾向にあります。

地盤が固い

多くの方は地盤が固い方が良いとイメージできるのではないでしょうか。地盤が軟弱な場合、地震の影響により液状化現象が発生する可能性も高まります。液状化になると、建物は傾いてしまい、最悪の場合は倒壊してしまいます。そのため、地盤の強い土地に家を建築することで、地震に強い家ともなります。土地を購入して住宅を建築する方は、地盤調査で強度を確認しておくのもよいでしょう。

階層が低い

マンションや高層ビルなどは、上の階になるほど大きな揺れとなります。住宅でも同じように、1階より2階、2階より3階の方が揺れやすくなります。そのため平屋の住宅が最も地震に強いとされているのです。ただし、建築する地盤の強度や建物の構造によって変わるため、一概に高さだけで判断しないようにしましょう。

質量が小さい

地震の揺れは建物の質量に比例するため、建材などによって大きく変化します。質量が小さければ伝わるエネルギーも小さくなるため、揺れを抑えることができ、地震に強い家と判断することができます。住宅においては木造が最も小さく、鉄骨造、コンクリート造と続いて重くなっていきます。そのため、木造住宅が最も地震に強い工法ともいえるでしょう。ただし、軟弱地盤や建物の形状が複雑であると、地震に弱くなるため、木造住宅であればよいと勘違いしないように注意して下さい。

地震に強い構造にしている

地震に強い条件でもっとも重要なのは地震に強い構造にしていることです。地震に強い構造とは、耐震性・免震性・制震性を考慮した構造です。耐震性は地震に耐える性能、免震性は地震の揺れから逃れる性能、制震性は地震の揺れをおさえる性能です。次の項で詳しく解説します。

【地震に強い家】耐震について

ここでは地震に強い家である耐震について紹介します。

耐震とは

耐震とは、名前の通り地震の揺れに耐え、建物の倒壊を防ぐ能力のことを指します。住宅においては建物の構造体の強度のことです。一般的に木造住宅の耐震性能を向上させるためには、「柱を太くすれば良い」と思われがちです。しかし、実際は建物を囲っている壁(耐力壁)の強さで決まります。強靭な耐力壁にすることで、ある一定の地震では倒壊しないという基準が設けられています。その基準は次の項の通りです。

耐震基準とは

建物の耐震は以下の3つに分かれます。

耐震等級 耐震の性能
耐震等級1 震度6~7程度ではすぐに倒壊しないほどの住宅
耐震等級2 耐震等級1の1.25倍の耐震力を有する住宅。学校や病院など求められるランク
耐震等級3 耐震等級1の1.5倍。警察署や消防署などに求められるランク

耐震等級の数字が大きいほど、耐震力が高いことを指しています。一般的な住宅は耐震等級1または2を取得しておりますが、近年では耐震等級3を取得する住宅も増えてきました。

耐震等級は建築会社の工法によって異なります。一般的には耐震等級2を標準としている会社も多いですが、3を取得している会社も存在します。もちろん等級が高くなるほど、建築コストが高くなるため、一概に等級3が良いとは言い切れません。また耐震等級2を取得することで、長期優良住宅の認定を受けられる一つの条件をクリアします。そのため耐震性が高い住宅を建築する際は、重ねて長期優良住宅の検討もしてみるのも良いでしょう。

旧耐震基準と新耐震基準について

耐震等級について解説しましたが、以前は等級などはありませんでした。現在では新築住宅を建築する場合、全て新耐震基準に設定されています。しかし中古住宅を購入する予定の方は、旧耐震基準の建物ではないかを確認しなければいけません。旧耐震基準は昭和56年以前に建築された建物を指し、大きな地震に耐えられない構造となっています。1978年に発生した宮城県沖地震では、震度5だったものの、旧耐震基準であったために約7,000戸以上の家屋が倒壊しました。その結果1981年に耐震基準が見直しされ、新耐震基準が改正されるようになったわけです。新耐震基準では震度6〜7までの地震に耐えられる構造という震度基準ガイドラインが設定されました。とはいえ、阪神淡路大震災や東日本大震災で倒壊した住宅もあります。そのため新耐震基準を満たしているから大丈夫とはいえず、耐震等級の高い建物が求められるようになりました。

耐震構造のメリット・デメリット

耐震構造には以下のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット デメリット
● 地震だけでなく暴風などにも強い
● 設置コストが低く標準化している
● 施行事例が多いため、どの建築会社でも対応可能
● 地震に耐えられる建物であり、建物内の家具倒壊は避けられない
● 大地震などが発生すると耐力壁に亀裂が入る可能性も高い

耐震構造は今やどの建築会社でも標準となっています。とはいえ耐震等級を取得するかは会社によって異なるため、事前にホームページなどで確認しておきましょう。また耐震構造はあくまで、地震に耐えられる家を目指したものです。そのため家の中の家具や食器などの倒壊リスクはあると認識しておくことをおすすめします。

【地震に強い家】免震について

ここでは地震に強い家の一つのポイントでもある免震について紹介します。

免震とは

免震とは、地震の揺れを免れることを指します。耐震は地震に耐える構造でしたが、そもそも地震は地盤と接している基礎を経由して建物が揺れます。つまり基礎の構造を免震構造にすることで、地震の揺れを最大限抑えることが可能となります。もちろん建物が宙に浮いていない限り、揺れを感じないということにはなりません。ではどのような仕組みなのでしょうか。次の項で詳しく解説します。

免震構造について

免震構造は建物と基礎の間に積層ゴム等の免震装置を設ける仕組みになります。以下の図を参考にしてください。
この結果地震の揺れが発生しても、ゴムのところで吸収され、建物に直接揺れが伝わらないようにしています。特にマンションや高層ビルなどには必ず導入されているほどです。近年では免震構造を標準設定している建築会社も少なからずあり、注文住宅にも採用されてきています。ただしコストが割高になるデメリットが挙げられるため、次の項では免震構造のメリット・デメリットを紹介します。

免震構造のメリット・デメリット

免震構造には以下のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット デメリット
● 地震が発生しても建物内は大きく揺れない
● 建物の倒壊リスクを抑えることが可能となる
● 家具などが倒壊しにくいうえ、二次災害の抑制につながる
● 設置費用が高い(200万円~500万円前後)
● 万が一の破損に備え、定期点検は必要である
● 施工できる業者に限りがある
● 地下室は作れなくなる

免震構造は地震の揺れを最小限に圧縮することが可能となります。そのため建物の中に居ても大きな揺れを感じることもなければ、家具などの倒壊を防げることにつながります。一方で設置費用が高く、万が一免震構造が破損した時は地震に対して効力がなくなるため、専門業者による定期点検が必要となります。また免震構造はマンションや商業施設に採用されることが多く、住宅に対しては施行できる業者も多くはありません。そのため免震構造を取り入れたい方は、施工できる建築会社であるかも確認する必要があります。

【地震に強い家】制振について

最後に制震について紹介していきます。

制震とは

制震とは地震の揺れを抑制する方法です。先ほど紹介した耐震は地震に耐えることであり、免震は揺れを免れることでした。制震は地震や台風などの揺れるエネルギーを、制震装置によって抑制し、揺れを軽減させることを指します。とはいえ免震構造と比較した場合、揺れを抑える能力は大きくありません。しかし近年の住宅は建物だけでなく、地盤改良や基礎工事の性能も高いため、もともとの地震に耐えられるケースが多いです。そのため免震構造ではなく、制震装置を導入している住宅も増えつつあります。

制震構造について

制震構造は、建物の構造に錘やダンパー等の振動軽減装置を設置する方法です。これにより揺れのエネルギーを吸収することができ、建物の揺れを最小限にすることが可能となります。さらに建物の柱や梁への損傷を抑えることもできることから、家を長持ちさせることにもつながります。近年では階層が高いビルや建築物にも採用されています。上の階に居ても最小限の揺れにすることができるからです。もちろん住宅にも取り入れることはでき、家の中の物が倒壊するリスクを抑えることにつながります。

制震構造のメリット・デメリット

制震構造には以下のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット デメリット
● 建物の倒壊・損傷リスクを軽減できる
● 耐震構造より地震に対する性能が高い
● 既存住宅にも設置可能
● メンテナンスも大きくかからない
● 免震構造より揺れは感じる
● 軟弱地盤では効果が薄い
● 建材によっては相性が悪いこともある

制震構造は耐震構造より地震に強く、免震構造より弱いというイメージです。とはいえ、建物の損傷や倒壊リスクを軽減することが可能です。また既存住宅にも工事をすれば設置可能なため、中古住宅を購入してから制震構造にしている方もいらっしゃいます。とはいえ、建材との相性もあるため、事前に建築士などの専門家に建物をチェックしてもらってからが良いでしょう。

【地震に強い家】まとめ

今回は、地震に強い家の条件と「耐震・免震・制震」について解説しました。昨今では日本各地で大地震が発生しており、今後も発生することが懸念されています。そのため災害リスクを少しでも軽減するためにも、地震に強い家が求められるようになりました。地震に強い家はさまざまな要素があげられるものの、耐震構造や免震構造、制震構造を考慮した住宅が望ましいです。しかし全て取り入れてしまうと、大きな建築費にもなりかねないため、地盤の強度や建物の構造などと上手くバランスを取りながら検討することが望ましいでしょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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