住宅を建築する際は必ず建築確認を申請し、許可を得なければ工事はできません。しかし建築確認は普段聞きなれない言葉であるため、言われてもピンとくる方も少ないのではないでしょうか。ここでは注文住宅の建築確認申請にフォーカスをあて、費用相場や注意点などを解説します。これから注文住宅の建築をする方はぜひ参考にしてください。
注文住宅の建築確認に必要な費用と相場
建築確認に必要な費用としては「150,000円~300,000円」前後となります。建築確認には、「申請手数料」と「申請書類作成費用」が必要です。建築確認申請手数料は建築する住宅の延床面積と各自治体によって金額が異なります。三重県の場合、以下の価格となります。
延床面積 | 建築確認申請手数料 |
30㎡以内 | 8,000円 |
30㎡~100㎡以内 | 19,000円 |
100㎡~200㎡以内 | 41,000円 |
200㎡~500㎡以内 | 63,000円 |
500㎡~1,000㎡以内 | 107,000円 |
例えば200㎡以内の延床面積を建築する場合、41,000円の申請手数料が必要となります。
その他、申請書類作成費用が必要となりますが、建築会社が外注するケースが多いです。また建築確認申請は工事の途中と完成したあと、申請書通りの建築物であるかチェックを行います。これを中間検査と完了検査と言います。中間検査は自治体によって不要としているケースもあるため、行政へ確認しましょう。なお三重県の場合の中間検査手数料と完了検査手数料は以下の費用です。
延床面積 | 中間検査手数料 | 完了検査手数料 |
30㎡以内 | 17,000円 | 17,000円 |
30㎡~100㎡以内 | 21,000円 | 21,000円~22,000円 |
100㎡~200㎡以内 | 33,000円 | 34,000円~36,000円 |
200㎡~500㎡以内 | 47,000円 | 49,000円~51,000円 |
500㎡~1,000㎡以内 | 62,000円 | 64,000円~67,000円 |
引用:三重県|建築基準:建築開発課所管手数料一覧 (mie.lg.jp)
そもそも建築確認申請とは?
そもそも建築確認申請とはどのような内容なのでしょうか。ここでは建築確認申請の目的と申請が不要なケースについて解説します。
目的
建築確認申請は建築する住宅が建築基準法に則ったものであるか確認するために行います。違法建築物を建てては法律違反になるだけでなく、地震や火災から居住者を守れなくなる可能性も高まります。そのため建築確認申請は人を守る安全な住宅を建築するために必要です。
建築確認申請が不要なケース
注文住宅を建築するうえで建築確認申請が不要となるケースはありません。しかし物置に関しては大きさによって申請が不要となる場合もあります。そのほかにもリフォームなども含まれます。具体的には以下のケースは建築確認申請が不要です。
● 構造部を変更しないリフォーム工事
● 床面積10㎡以下の部屋を増築する場合 ● 耐震補強工事を行う場合 ● 公共機関の建物を建築する場合 ● 災害時の応急建物を建築する場合 ● マンションの各戸内のリフォーム工事を行う場合 ● 用途変更の工事で、変更部分の延べ面積が100㎡以下の場合 ● 地面に置くだけの小型プレハブ倉庫 |
注文住宅の建築確認申請の流れ・期間
建築確認申請の流れを解説します。
建築確認申請の流れ
建築確認申請の流れは以下の通りです。
1. 必要書類の準備
2. 建築確認申請書の提出
3. 適合確認
4. 検査済の発行
● 必要書類の準備
必要書類は全て建築会社の方で用意してくれるため、お施主様の方で準備することはありません。必要書類は後ほど紹介しますが、図面や申請書類が必要となります。
● 建築確認申請書の提出
書類の準備が整ったあとは、提出します。建築する規模にもよりますが、申請してから2週間から1か月前後で認可があります。建築確認の認可が降りなければ工事の着工だけでなく、金融機関から融資を受けることもできません。必ず許可が下りてから工事を進めるようにしましょう。
● 適合確認
さきほども紹介した通り、工事の途中で中間検査、完成後の完了検査を行い、建築確認申請書通りの建物であるか確認します。中間検査は基本的に上棟前後で行います。完了検査は建物が完成前後で行い、そこから手直しして1か月前後で入居開始となります。どちらの検査もクリアしなければ建物として認められず、居住することもできません。
● 検査済の発行
完了検査をクリアすれば建築確認申請検査済証を発行してもらえます。建築確認申請書通りの建物であることを証明するのと同時に違法建築物ではない証になります。将来的に売却する際も必要となるため大切に保管しておきましょう。
注文住宅の建築確認申請に必要な書類
建築確認申請に必要な書類は建築会社の方で用意してくれます。お客様は委任状に署名捺印すれば特に作業はありませんが、ここでは必要書類を紹介します。
図面関連
申請書には以下の図面を添付しなければいけません。
付近見取図
配置図 各階平面図 床面積求積図 敷地面積求積図 2面以上の立面図 2面以上の断面図※必要事項を他図面に明示した場合は省略可 仕上表 シックハウス検討書 耐火構造等の構造詳細図(耐火リスト等) 法チェック図※採光・換気・排煙、防火区画等 |
申請書類
図面の作成が完了した後は、建築確認申請書を作成します。作成する書類は以下の通りです。
確認申請書(第二号様式)
建築計画概要書(第三号様式) 委任状※写しの添付も可 建築工事届(第四十号様式) 受付表 構造・省エネ適合判定が必要な場合は適合判定通知書の写し 建築場所に応じ、消防同意用の表紙及び同意用の副本 |
また上記の他に自治体が定める条例に適合している書類や住宅性能評価申請書類なども必要となる場合があります。詳しくは建築会社の設計士へ確認しましょう。
建築確認申請の注意点
ここでは建築確認申請の注意点を解説します。建築確認申請は建築会社の方で代行して行ってくれますが、お客様でも注意しなければいけない点が2点あります。ここでは2つの注意点を紹介します。
建築確認申請後に間取りを変更しない
建築確認申請書を提出し、認可を受けた後に図面の変更はできません。軽微な変更であれば修正可能ですが、間取りや建物の配置変更は控えましょう。万が一変更する場合は再度建築確認申請を行わなければいけません。工事が止まるのはもちろん、申請手数料や書類作成費なども必要となるため、工期面・費用面で大きな損失となります。
建築確認申請書類の進捗状況を確認しておく
建築確認申請は100%許可されるとは限りません。書類に不備があった場合は再度修正して提出する必要があります。その場合工期にも影響を及ぼしてしまうため、建築会社へ進捗状況を確認しておきましょう。万が一申請が遅れ、工期が伸びる際は建築会社と十分相談して、新たなスケジュールを組みましょう。
注文住宅の建築確認申請に関するQ&A
ここでは注文住宅の建築確認申請に関するQ&Aを紹介します。建築確認申請を行わないで建築することは可能なのでしょうか。
建築確認申請をしなかった場合どうなりますか?
結論は建築できません。建築確認申請の許可があって初めて工事を着工することができます。万が一違法建築した場合、建築会社だけでなく、施主へも罰則が命じられる可能性も高いです。どの建築会社でも必ず建築確認申請は行いますが、必ず申請書類の進捗状況は確認しておきましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。