建築会社と屋根を決める際は、「ガルバリウム鋼板」や「瓦」などで悩む方もいらっしゃると思いますが、実は屋根形状も決めることが可能です。一般的には建築会社の設計士が間取りに合わせた屋根形状を選びますが、もちろんお客様でも選択することは可能です。注文住宅の屋根は外観からの見栄えにも影響が出るため、デザインに合ったものを採用したいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回、住宅屋根の種類を紹介します。どのようなデザインがあるのかを本記事で理解しておきましょう。また屋根の形状によっても費用が異なります。それぞれの費用相場を紹介するため、これから注文住宅の建築を検討している人はぜひ参考にしてください。
注文住宅の屋根の費用と相場
注文住宅の屋根はおおよそ「3,000,000円~5,000,000円」前後となります。もちろん屋根面積によっても価格は異なるため、一概には言えません。さらに屋根には構造材や骨組み材の他に、屋根材が必要です。現在の日本の住宅屋根にはガルバリウム鋼板や瓦が多く採用されていますが、他にも「ストレート」「銅板」などもあります。そのため屋根材によっても費用は大きく異なります。
注文住宅の屋根の種類と選び方(屋根の形状別)
建売住宅や中古住宅は既に屋根形状が決まっておりますが、注文住宅の屋根形状は自身で選ぶことが可能です。もちろん設計上や法令・条例上によって施工できない場合もありますが、屋根を選べるのも注文住宅の魅力の一つです。理想のマイホームを建築するためにもここでは、屋根形状別の特徴や費用相場を紹介します。
屋根の種類 | 特徴 | 費用 |
切妻屋根 | 最もシンプルな屋根形状であり、本を開いた状態のようなデザインです。「へ」の字になる屋根です。 | 3,000,000円~3,500,000円前後 |
寄棟屋根 | とんがり帽子のような形状からとんがり屋根とも呼ばれています。和風住宅・洋風住宅のどちらにも合わせることができるため、住宅で最も採用されている屋根形状です。 | 3,500,000円~
4,000,000円前後 |
片流れ屋根 | 板一枚を屋根に設置したようなデザインであり、片方に傾斜を設けたような屋根形状です。 | 3,000,000円~3,500,000円前後 |
入母屋屋根 | 寄棟屋根の上に小さな切妻屋根を設置したようなデザインです。屋根裏に窓を設ける場合に採用しますが、アジア圏以外では見かけることはありません。 | 3,500,000円~
4,000,000円前後 |
陸屋根 | 片流れ屋根のように1枚板のようなデザインで、ほとんど傾斜の無い屋根です。海外のコンドミニアムなどに利用されるケースが多いです。雨水が流れるように最低限の傾斜はありますがほとんどないため、水平屋根とも呼ばれています。 | 4,500,000円~
5,000,000円前後 |
方形屋根 | 方形屋根は寄棟屋根の正方形バージョンです。真上から見るとピラミッドのような形状をしています。建物が正方形の場合は採用されますが、ほとんど使われることはありません。 | 3,000,000円~
4,000,000円前後 |
招き屋根 | 切妻屋根の片方を低くし短くしたパターンの屋根です。2面の屋根が段違いになっている特徴があり、近年では人気が上がっています。 | 3,000,000円~
4,000,000円前後 |
はかま腰屋根 | はかま屋根とは妻屋根の妻側に屋根途中から寄棟屋根のように屋根面を設けた屋根の事を指します。袴のような形をしていることからはかま屋根と呼ばれています。 | 3,500,000円~
4,000,000円前後 |
切妻屋根(きりづま)
切妻屋根はシンプルなデザインでありながら人気の高い屋根形状です。ここでは切妻屋根のメリットデメリットを紹介します。
メリット
切妻屋根のメリットは以下の2点挙げることができます。
1. コストを抑えることができる
2. 換気性能が高い
それぞれ詳しく紹介します。
● コストを抑えることができる
切妻屋根の一番のメリットはコストが安いところです。シンプルなデザインであり、他の屋根と比べて施工範囲も少ないため、費用を抑えることが可能です。コストパフォーマンスを重視したい方が良く取り入れる屋根形状です。
● 換気性能が高い
切妻屋根は屋根裏スペースを確保でき、軒天と棟換気を行うことが可能です。また妻側の換気もできるため、建物全体の換気性能が高くなります。
デメリット
切妻屋根は住宅だけでなく賃貸住宅でも多く採用されている屋根形状であるためオリジナリティはほとんどありません。コストを抑えることができる一方、どの家でも採用されているため、他の住宅との差別化は難しいデメリットが挙げられます。屋根も個性的にしたい方には向いていない屋根形状です。
費用
費用に関しては3,000,000円~3,500,000円前後となります。
寄棟屋根(よせむね)
寄棟屋根は住宅の多くに採用されています。昔の住宅から現代の住宅まで、長年人気のある屋根形状です。ここでは寄棟屋根のメリットデメリットを紹介します。
メリット
寄棟屋根のメリット風に強い点が挙げられます。四面全て屋根で囲まれるため、頑丈で耐久性と耐風性が高いとメリットがあります。台風が多く発生する沖縄県の住宅のほとんどが寄棟屋根です。屋根が破損するというということも少なく、補修する可能性を抑えることにつながるメリットがあります。
デメリット
寄棟屋根は4面が屋根となり、ソーラーパネル設置可能範囲が狭まるデメリットが挙げられます。ソーラーパネルを設置するには切妻屋根や片流れ屋根の方が最大限生かせるでしょう。また寄棟屋根は切妻屋根より施工範囲が大きいため費用が高額となります。
費用
寄棟屋根の費用は3,500,000円~4,000,000円前後となります。
片流れ屋根(かたながれ)
片流れ屋根は1枚板のような形であり片方だけに傾斜したデザインのものです。シャープなデザインからスタイリッシュな住宅に合わせている方も多いです。また他の屋根と比べて凹凸もないためソーラーパネルの設置に適している特徴があります。
メリット
シンプルなデザインであるためにコストは圧倒的に安い特徴があります。他の屋根形状と比べ施工も簡単です。さらにソーラーパネルの設置にも適しています。
デメリット
片流れ屋根のデメリットは雨漏れ事例が多い点です。片流れ屋根の上部と建物外壁の間から伝い水が建物内に入る可能性が高いです。もちろん新築時は建物も劣化していないため、雨漏りする可能性は低いものの、築古になると構造材も腐食し、雨漏りが発生します。そのため定期的にメンテナンスが必要となります。
費用
片流れ屋根の費用は3,000,000円~3,500,000円前後となります。
入母屋屋根(いりもや)
入母屋屋根とは寄棟屋根の上に小さな切妻屋根を設置したデザインであり、日本瓦との相性も良いです。複雑なデザインであり重厚感ある見栄えから、和風建築に合う特徴があります。
メリット
入母屋屋根は耐風性能が高く、通気性や断熱性に優れているメリットがあります。さらに高級感があるため住宅の見栄えを向上させることが可能です。
デメリット
複雑な施工となるため、コストが高額な点が大きなデメリットとなります。また複雑がゆえに施工技術が低いと雨漏りのリスクも高いです。
費用
入母屋屋根の費用は3,500,000円~4,000,000円前後です。
陸屋根(ろくやね)
陸屋根とは片流れ屋根の傾斜がほとんどない形状のものです。海外の高級住宅に使われることも多く、近年の日本の高級住宅や大手ハウスメーカーの賃貸住宅などにも用いられています。
メリット
陸屋根は屋上のスペースを有効活用することが可能です。もちろん屋根の下の階層と階段を設置しなければいけませんが、屋上で洗濯物を干すこともでき、バーベキューすることも可能です。
デメリット
陸屋根は傾斜がほとんどないため水はけが悪いデメリットがあげられます。傾斜が少ない分雨水が流れず、さらに雪が残ったままとなり、水溜まりができて屋根材を腐食させることにもつながりかねません。
費用
陸屋根の費用は4,500,000円~5,000,000円前後です。
方形屋根(ほうぎょうやね)
方業屋根は建物が正方形の形をしている場合のみ用いられますが、近年の建物は正方形のデザインがほとんどないため採用されることはほとんどありません。
メリット
方業屋根は寄棟屋根同様耐風性能が高い特徴があります。そのため破損しにくいメリットが挙げられます。
デメリット
方業屋根は建物が正方形でなければ取り入れることはできません。長方形の場合は寄棟屋根となるため、採用できる可能性は低いです。
費用
方業屋根の費用は3,000,000円~4,000,000円前後です。
招き屋根(まねきやね)
招き屋根は切妻屋根の片方を短くした形の屋根であり、アシメントリ―な構造が特徴です。
メリット
切妻屋根と同様にコストが安く、換気性能が高いメリットが挙げられます。また片流れ屋根ほどではないものの、ソーラーパネルの設置がしやすい特徴があります。
デメリット
一見切妻屋根との違いがわかりにくいうえに、オリジナリティが低い点が大きなデメリットとして挙げられます。また招き屋根は横からの風に弱く、妻側や破損板が破損しやすい特徴があります。
費用
招き屋根の費用は3,000,000円~4,000,000円前後になります。
はかま腰屋根(はかまごしやね)
はかま腰屋根は、はかまのような形状でありながらも別名「隅切り半切妻」「ドイツ屋根」とも呼ばれています。
メリット
屋根の下に広いスペースを確保することができるため、小屋裏収納を設置することが可能となるメリットが挙げられる。
デメリット
はかま腰屋根は他の屋根形状と比べて複雑な構造であるため、施工技術が重要となります。技術力がある人でないと耐久性が低く雨漏りが発生する可能性が他の屋根より高くなります。
費用
はかま腰屋根の費用は3,500,000円~4,000,000円前後となります。
注文住宅の屋根の種類と選び方(屋根材別)
ここからは屋根の種類について紹介します。
屋根の種類 | 特徴 | 費用 |
ストレート屋根 | 粘土板岩を使用した屋根素材の屋根です。コロニアル屋根やカラーベストとも呼ばれています。 | 4,000円/㎡~5,000円/㎡ |
瓦屋根 | 粘土やセメントなどが主な原料とし、昔から日本家屋に用いられている屋根仕様です。 | 6,000円/㎡~8,000円/㎡ |
金属屋根 | 屋根材の表面にアルミニウム・亜鉛・シリコンのめっき(膜)を施したものです。 | 6,500円/㎡~7,500円/㎡ |
ストレート屋根
近年では少なくなりましたが、ストレート屋根はコストを含めたメリットがあげられます。
メリット
● コストが安い
● 色やデザインのバリエーションが豊富
● 施工業者が多い
デメリット
● やすく耐久性が低い
● メンテナンス回数が多くなる
費用
ストレート屋根の費用は4,000円/㎡~5,000円/㎡であり、40㎡の屋根面積の場合、160,000円~200,000円となります。
瓦屋根
和瓦だけでなく、洋瓦の人気も高いため、和風住宅と洋風住宅のどちらも合わせることが可能です。
メリット
● 丈夫で長持ち
● 塗装が不要
デメリット
● 価格が高い
● 高重量、建物に負担が大きい
費用
瓦屋根の費用は6,000円/㎡~8,000円/㎡であり、40㎡の屋根面積の場合、240,000円~320,000円となります。
金属屋根
金属屋根の代表としてガルバリウム鋼板が最も人気が高く、近年の住宅で良く取り入れられている屋根材です。
メリット
● 軽量で耐震性が高い
● 防水性が高い
● メンテナンス回数が少ない
デメリット
● 断熱性が低い
● 通気性がない
● 雨音が大きい
費用
金属屋根の費用は6,500円/㎡~7,500円/㎡であり、40㎡の屋根面積の場合、260,000円~300,000円となります。
注文住宅の屋根を決める際の注意点
屋根形状は建物の構造によってできる施工方法が限られています。そのためどの屋根形状であったとしても、すべての建物にできるとは限りません。また建築基準法の道路斜線制限や北側斜線制限によっては採用できる屋根に限りがあります。屋根を決める際は設計士と十分打ち合わせを行い決めるようにしましょう。
注文住宅の屋根に関するQ&A
ここでは注文住宅の屋根に関するQ&Aについて紹介します。屋根の費用は形状によって異なるため、ここではコストを抑える方法を一つ紹介します。
屋根の費用を抑える方法はありますか?
注文住宅の屋根の費用を抑える方法としては複雑な施工を行わないデザインとすることです。屋根にはさまざまな形状があるものの、シンプルなデザインがもっともコストが安くなります。とはいえ好みのデザインがある方もいらっしゃると思いますので、設計士と打合せしながら屋根形状を決めていきましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。