注文住宅を建築するのであれば、多くの部屋にサッシを設置して明かりを取り入れたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。サッシは換気や明かりだけでなく、開放感ある空間にするためにも必要です。とはいえ建物の構造によって設置できる箇所は限られています。時に木造2×4工法の場合、サッシを多く設置すると耐力壁がなくなり、構造にも影響を及ぼしてしまいます。そのためサッシを取り入れる際は設計士と十分打ち合わせを行ったうえで決めなければいけません。しかしサッシにもたくさんの種類があり、商品によって価格やデザインが異なるため、どの種類を設置すれば良いか分からない方も多いでしょう。本記事では注文住宅のサッシの費用と種類、メンテナンス方法を解説します。これから注文住宅の建築をする方はぜひ参考にしてください。
注文住宅のサッシの費用と相場
注文住宅のサッシはサイズにもよりますが、おおよそ「20,000円~300,000円」前後です。もちろんメーカーやグレードによって価格は異なるため上記の価格は目安としておきましょう。一般的にリビングのサッシが一番大きいため価格が高いです。
注文住宅のサッシの種類と選び方
サッシにもいくつか種類があります。ここでは以下の3種類を紹介します。
1. 樹脂サッシ
2. アルミサッシ
3. 木製サッシ
樹脂サッシ
樹脂サッシとは窓枠が樹脂(プラスチック)でできているサッシであり、断熱性と気密性に優れている特徴があります。樹脂サッシは塩化ビニール樹脂とも言われており、日常生活でさまざまなものに使用されていますが、日本ではアルミサッシが主流であるため、まだまだ普及されていません。とはいえ樹脂サッシには以下のようなメリットがあります。
メリット
樹脂サッシのメリットは以下の3点が挙げられます。
1. 断熱性能が高い
2. 結露防止になる
3. 省エネにつながる
● 断熱性能が高い
樹脂サッシは断熱性能が高いという点が1番のメリットです。冬場は暖かく、夏場は暑さを遮ることが可能となります。アルミサッシと比較して2.6倍の断熱性があり、熱伝導率を1/1000抑えることが可能です。
● 結露防止になる
寒い時期になると、外気と部屋の温度差が大きくなり結露が発生します。結露を放置するとカビやダニが発生し、建材が腐食します。しかし樹脂サッシは断熱性能が高いため、冬場の外気が伝わりにくく、結露防止につながります。
● 省エネにつながる
断熱性能が高いということは、外の空気を取りいれないで済むため、省エネにつながります。冬場は家の中の暖かい空気を放出しないため暖房性能が高まり、電気料金を抑えることも可能です。
デメリット
樹脂サッシの一番のデメリットは価格です。アルミサッシと比べて性能も良いため価格も高価となります。そのため注文住宅のサッシを全て樹脂サッシにすると、窓だけで数百万円近い価格にもなりかねません。樹脂サッシを採用する場合は、設置する部屋を決めておくことが望ましいです。実際の費用は次の項で紹介します。
費用
樹脂サッシの費用はおおよそ「50,000円~150,000円」前後になります。こちらの価格は2枚セットの場合です。もちろんサイズやメーカーによって価格は異なります。以下の表は樹脂サッシの価格一例です。
サイズ | W800ミリ×H900ミリ 2枚 | W800ミリ×H1800ミリ 2枚 |
価格 | 50,000円~80,000円前後 | 100,000円~150,000円前後 |
一般的に高さがある窓(H1800)はリビングに使用されるケースが多いです。また特注サイズの樹脂サッシを設置する場合、更に費用は高額となります。
アルミサッシ
アルミサッシはアルミニウム合金で作られたサッシであり、日本で最もポピュラーな商品です。住宅で一番使われています。
メリット
アルミサッシのメリットは圧倒的な費用です。詳しい費用は後ほど紹介しますが、樹脂サッシと比べて大幅なコストダウンが可能となります。その理由から日本で一番シェアが高いです。しかし、近年の住宅では使用される方が増えてきました。理由としては次の項で紹介するデメリットが関連してきます。
デメリット
アルミサッシのデメリットは性能の低さです。先ほどの樹脂サッシと真逆で結露が発生しやすく、断熱性能が低いです。そのため住宅に使われるケースが少しずつ減ってきました。賃貸住宅などには未だ用いられていますが、住みやすさが重視されている近年ではアルミサッシを取り入れている建築会社も減っています。もちろんコストが安価というメリットが挙げられるため、デメリットだけで判断するのは控えるべきでしょう。
費用
では実際どれくらい樹脂サッシと比べて安価なのでしょうか。同様に一例を紹介します。
サイズ | W800ミリ×H900ミリ 2枚 | W800ミリ×H1800ミリ 2枚 |
価格 | 20,000円~40,000円前後 | 40,000円~60,000円前後 |
上記の表を見てわかる通り、樹脂サッシと比べて1/2ほどになります。さらにアルミサッシの設置数が増えれば一つあたりの単価を抑えることも可能です。
木製サッシ
名前の通り、木製で造られたサッシです。アルミサッシや樹脂サッシと比べて味わいを家のデザインに合わせ出すことも可能です。和風の住宅だけでなく、洋風、アンティーク調の家にもよく合います。サッシまでこだわりたい方にはおすすめです。
メリット
木製サッシは樹脂サッシ同様断熱性能が高いです。木はアルミに比べて約1/1200と言われているため、結露の発生防止にも繋がります。さらに木製サッシは劣化しにくく、定期的なメンテナンスを行うと100年以上持つとも言われています。実際にヨーロッパなどの歴史ある住宅では木製サッシが多数設置されており、今もなお昔のままを維持しているものも多いです。物持ちが良く高性能サッシとも言えるでしょう。
デメリット
一方木製サッシはサッシの中で最も高額です。費用は次の項で紹介しますが、加工するのに大きな手間がかかります。そのため全部屋の窓を木製サッシとするとかなりの高額になります。デザイン性は高まるものの、予算をオーバーしないように注意しましょう。
費用
木製サッシの費用は以下の通りです。
サイズ | W800ミリ×H900ミリ 2枚 | W800ミリ×H1800ミリ 2枚 |
価格 | 100,000円~150,000円前後 | 200,000円~300,000円前後 |
木製サッシの中でも加工素材や天然素材などによって価格は異なります。さらにメーカーによっても価格差が大きいです。そのため木製サッシを取り入れる際は建築会社と予算面を相談しながら検討することをおすすめします。
注文住宅のサッシのメンテナンスについて
サッシは使用頻度や設置位置によって劣化していきます。そのため長持ちさせるためにも定期メンテナンスが必要となります。基本的にメンテナンスは自身で行いますが、場合によっては専門業者へ依頼することも大切です。ここでは自身でできるメンテナンス方法と、業者に依頼する場合の費用を紹介します。
メンテナンス方法
自身でメンテナンスする箇所としては、サッシレールです。レールは汚れが溜まりやすく、窓の開閉にも影響します。さらに汚れを放置したままにすると、色あせや腐食につながりかねません。そのため割り箸や使い古しの歯ブラシなどに布を巻いて掃除するようにしましょう。汚れが落ちない時は金属ベラなどで取り除くように掃除します。ただしサッシを傷つけないように注意して下さい。
リフォーム・修理費用
サッシのリフォームは基本的に交換です。費用に関してはサッシの種類によって異なり、先ほど紹介して費用が発生します。一方部分修理の場合、修理箇所によりますが、おおよそ「10,000円~30,000円」前後の費用になります。もちろん依頼する会社によって異なるため詳しくはリフォーム会社へ確認しましょう。
注文住宅のサッシに関するQ&A
ここではサッシに関するQ&Aを紹介します。サッシも複数枚取り付けるとなると高額になります。そのため少しでも安くしたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここではサッシの費用を抑える方法を紹介します。
サッシの費用を抑える方法はありますか?
コストを重視したい場合、アルミサッシが最も安価となります。しかし樹脂サッシや木製サッシを取り入れることで省エネ基準を満たすこととなり、国からの補助金に該当する可能性もあります。例えば新築住宅の建築の場合、以下の補助金があります。
ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業(一般社団法人 環境共創イニシアチブ) | 55万円~ |
地域型住宅グリーン化事業 | 90~140万円前後 |
こどもみらい住宅支援事業(新築・購入) | 60~100万円 |
上記の補助金は省エネを基準とした補助金です。サッシを変更したからと言って必ず該当するものではありません。そのため制度が適用できるか建築会社へ確認しましょう。補助金が利用できればサッシの費用を抑えることにも繋がります。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。