注文住宅のガス管工事の費用と相場

注文住宅のガス管工事の費用と相場

近年はオール電化住宅が普及してきましたが、都市ガスやプロパンガスを利用している住宅もあります。オール電化よりガス工事の方がイニシャルコストを抑えることが可能なためどちらにするか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、ガスの中にも都市ガスとプロパンガスに分かれます。みなさん一度は聞いたことあると思いますが、どのような工事内容であるか分からない方も多いでしょう。そこで今回、「都市ガス」と「プロパンガス」にフォーカスをあて、工事内容とメリット・デメリット、設置費用を紹介します。これから注文住宅を建築する方はぜひ参考にしてください。

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注文住宅のガス工事とは?

そもそも注文住宅のガス工事とはどのような工事なのでしょうか。ここでは「都市ガス」と「プロパンガス」の概要について紹介します。またメリット・デメリットも解説するため、ライフラインで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

都市ガスの場合

都市ガスは前面道路の敷地内に埋設されている都市ガス管を自宅敷地内へ分岐し、ガス栓ラインを経由してメタンを主とする天然ガスを住宅設備へ取り付ける方法です。そのため前面道路に都市ガス管が埋設されていない場合は採用することはできません。都心部や副都心のエリアは埋設されている場合が多いですが、地方には無いというケースも多いです。注文住宅を建築する家の前に都市ガス感が埋設されている地方を管轄するガス局で確認することが可能です。

メリット

都市ガスのメリットとして以下の項目が挙げられます。

1. 料金が安い
2. 環境にやさしい
3. 設置スペースが不要

● 料金が安い

都市ガスのメリットはプロパンガスより料金が安い点です。ガス料金には「基本料金」と「従量料金(単位料金)」の2つが発生します。基本料金はガスを使用しなくても毎月必ず発生する費用です。従量料金とは1㎡あたりの単価と使用量に応じて支払う料金です。都市ガスとプロパンガスは基本料金と従量料金が大きく異なり、一例を挙げると以下のような料金差額になります。

ガスの種類 基本料金 従量料金
都市ガス 760円 170円/㎡
プロパンガス 1,760円 580円/㎡

上記の表を比較して分かる通り、単価が大きく異なります。ただし、都市ガスはプロパンガスの熱量より2倍近く低くなります。正確な比較をする場合は同じ熱量で計算しなければいけません。つまり従量料金を2倍と仮定し340円と設定して比較すると以下の表の通りとなります。

  5㎡の場合 20㎡の場合
都市ガス 760円+170円/㎡×2×5㎡=2,460円 760円+170円/㎡×2×20㎡=7,560円
プロパンガス 1,760円×580円/㎡×5㎡=4,660円 1,760円×580円/㎡×20㎡=13,360円
差額 2,200円 5,800円

同じ熱量で比較しても都市ガスの安さが分かります。もちろんプロパンガス会社や都市ガス会社によって料金は異なります。またプロパンガスは後ほど紹介する貸与品によって基本料金が大幅に異なるため注意して下さい。

● 環境・人体にやさしい

都市ガスは液体化して輸送し、塵の除去と硫黄酸化物の除去を行うため、火をつけても有毒ガスが発生しにくい特徴があります。さらに二酸化炭素の排出も少ないため、環境に配慮したガスとも言えます。また近年の都市ガスは一酸化炭素も含まれていないため、安全に使うことができ、人体への影響も低いとされているメリットがあります。

● 設置スペースが不要

都市ガスはプロパンガスのように建物横にボンベを設置する必要はありません。注文住宅の設計時でも設置スペースを確保しなくても良いため、敷地をフル活用することが可能です。基本的に都市ガスの工事は地中に埋設され、メーターくらいしか地表に出て来ません。そのため建物をスッキリ見せることが可能となります。

デメリット

都市ガスのデメリットは以下の3つ挙げられます。

1. 初期費用が高い
2. 火力が弱い
3. 設置できない場所もある

それぞれについて紹介します。

● 初期費用が高い

都市ガスは初期導入費用が高いです。プロパンガスはほとんど料金が発生しない一方、都市ガスは「200,000円~300,000円」程の費用が発生します。さらに都市ガスが埋設されている本管から敷地までの距離が長いと配管工事費用が増えるため、より高い価格が発生するデメリットがあります。

● 火力が弱い

一般的に都市ガスはプロパンガスより火力が弱いです。そのため飲食店で都市ガスを使用するお店はほとんどありません。料理をする人の中には火力を気にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。火力が弱い分思った料理が作れないという人もいるかもしれません。ただし都市ガスを使用していけば火力に慣れていく方も多いため、気が付かないほどになるという場合も多いです。

● 設置できない場所もある

先ほどもお伝えした通り、前面道路に都市ガス管が埋設されていない場合は設置できません。前面道路ではなく、少し先の道路に都市ガス管が埋設されている場合、工事費用だけで数百万円にもなりかねないため、その際、予算の兼ね合いから都市ガスを断念しなければいけなくなるでしょう。どの土地でも都市ガスができるとは限りません。事前にガス局で埋設管図を確認するようにしましょう。また、都市ガスが入っている土地の場合、敷地内に杭のようなものが建っています。土地を見ても確認することが可能です。

プロパンガス(LPガス)の場合

プロパンガスはプロパンとブタンを主成分とする液体石油ガスです。自宅横にプロパンボンベを設置し、自宅へ供給する仕組みです。プロパンガスはプロパン会社が使用量の確認を行い、不足していた場合は新たなボンベを設置する仕組みです。

メリット

プロパンガスのメリットとしては以下の項目が挙げられます。

1. 貸与品の設備が利用できる
2. 災害時に活用できる
3. 初期費用がかからない

● 貸与品の設備が利用できる

プロパンガスにした場合、給湯器やエアコンを貸与品として貸してくれます。そのためエアコンを設置する必要もなければ、故障した際は交換してくれるメリットがあります。都市ガスの場合は設置費用の他にエアコンなどを購入する必要があります。しかしプロパンガスにすることで設備費用を抑えることが可能です。もちろんプロパンガス会社によって貸与してくれる商品も異なります。各部屋にエアコンを設置してくれる会社もあれば、一切貸与しない会社も存在します。そのためプロパンガスを使用する場合はプロパンガス会社へ貸与可能品を確認しておく必要があります。

● 災害時に活用できる

災害時都市ガスは止まる傾向にありますが、プロパンガスは利用できるメリットがあります。実際に東日本大震災でプロパンガスにしている家庭は火を使うことができ、料理ができたために食事に困らず生活できた方が多くいらっしゃいました。一方都市ガスは地域にもよりますが、普及するのに1週間以上かかったという場所も存在します。そのような面ではプロパンガスは災害時に強いとも言えるでしょう。

● 初期費用がかからない

都市ガスは初期費用がかかる一方プロパンガスは費用が発生しません。具体的な理由は後ほど紹介します。しかし依頼するガス会社によって異なるものの、費用請求されることはほとんどありません。

デメリット

プロパンガスの初期費用がかからないという点は非常に大きなメリットです。都市ガスのように数十万円の費用を圧縮できるのであれば、他の住宅設備などのグレードアップも可能です。しかしプロパンガスにもデメリットがあります。ここでは3つのデメリットを紹介します。

1. ランニングコストが高い
2. 貸与しすぎると従量料金単価が上がる
3. 料金が不透明なケースがある

● ランニングコストが高い

先ほどの都市ガスメリットで解説したとおり、月々のランニングコストはプロパンガスの方が高いです。2倍近くの価格が異なるため、長期間で設置費用を含めて計算するとプロパンガスの方が高くなるケースが多いです。もちろんエアコンなどの貸与品の数によって異なるため一概には言えませんが、トータルの費用もプロパンガスの方が高い傾向にあります。プロパンガスと都市ガスで悩んでいる方は先ほどのイニシャルコストとランニングコスト、エアコン費用などを踏まえ、どちらが安いか検証してみましょう。

● 貸与しすぎると従量料金単価が上がる

プロパンガス会社の方から貸与品を受けすぎると、従量料金の単価が上がるデメリットが挙げられます。プロパン会社によってはエアコンや給湯器の他に、キッチンやユニットバスを貸与するケースもあります。その分建築費用を抑えることが可能ですが、貸与した設備費用は従量料金に加算されるのが一般的です。そのため無料だからと言って貸与しすぎると月々のランニングコストが高額になりかねないため注意する必要があるでしょう。

● 料金が不透明なケースがある

プロパンガスの料金は会社によって価格は異なり、公開義務はありません。そのため住んでからガス料金が思っていた以上に高かったというケースも多いです。会社によってはガス料金を公開してる場合もありますが、一般的にはホームページなどには掲載していません。ホームページに掲載すると、他社がさらに料金を安く設定してしまうからです。プロパンガスは全国にかなりの会社数が存在します。高い料金設定の会社もあれば、安く提供してくれる会社もあるため、相場価格が無いというのも実態です。

都市ガスの引き込み工事の費用と相場

先ほどもお伝えした通り、都市ガス工事の費用は「200,000円~300,000円」前後です。さらに各部屋にエアコンを設置するとなった場合サイズにもよりますが、1台「50,000円~200,000円」近くになるため、トータルの費用が「400,000円~500,000円」、それ以上にもなりかねません。さらに私道に都市ガス管が埋設されているケースが多くはありません。個人や法人が所有している私道である場合は掘削許可が必要となります。もちろん土地を購入する際、前面道路が私道であれば持分を購入しますが、他の所有者から許可をもらわなければいけません。許可をもらうために、他所有者へ金銭を支払う場合もあります。費用に関しては、相場価格はなく、場合によっては数十万円、数百万円の費用が請求される場合もあります。

ガス引き込み工事が高くなるケース

前面道路に都市ガス管が埋設していない場合、埋設されている道路から敷地まで配管を引き込む工事を行わなければいけません。道路の掘削から引き込み工事、道路復旧工事も距離が長くなると費用も高額となります。

ガス引き込み工事の工期

ガス引き込み工事の工期は注文住宅の工期と同様で3か月から4か月となります。都市ガスは基礎下の配管工事を行い、その後前面道路から敷地内に引き込みした都市ガス管の配管を接続します。最後にメーターを取り付けして完了となります。注文住宅のガス工事は、ガスだけに特化して工事を行うことはありません。基本的に注文住宅の着工と完成までが工期となります。

プロパンガス(LPガス)設置工事の費用と相場

プロパンガスの設置費用は0円です。ほとんどのプロパン会社が無償で工事してくれます。プロパン会社は日本で数万社近くあり競合他社が多い業界です。そのため少しでも設置コストを抑え価格競争する流れができ、最終的には設置費用はガス会社の方で負担する風習となりました。今となってはどの会社も導入費用を0円で設置しています。そのため都市ガスと比べて導入費用を抑えることが可能です。

プロパンガス(LPガス)設置工事の詳細

ガス工事は注文住宅の建築工期と同じになります。プロパンガスは建物の基礎下に配管工事を行い、ボンベの設置予定位置に繋げます。足場が弱くならないように土間コンクリートなどで土台を作り、建物配管と繋げる流れとなります。

プロパンガス(LPガス)設置工事の工期

ボンベの設置は30分ほどで完了します。プロパンガス会社の担当者が土台に設置し、配管を繋ぎます。最後にボンベが地震などで倒れないようにストッパーなどを取り付けすれば完了です。もちろんプロパンボンベの交換時も同様な作業となります。

ただし新築住宅の場合は都市ガス同様、住宅の着工から完成までが工期となります。建物を建築していく中での作業となります。完成時にガス点検を行い、問題なく使用できる状態を確認出来たら完成となります。

注文住宅のガス工事に関するQ&A

ここではガス工事に関するQ&Aを紹介します。都市ガスとプロパンガスの料金についてのポイントを紹介しているため、ライフラインをガスにする方はぜひ参考に

都市ガスの引き込み工事費用を抑える方法はありますか?

都市ガスの費用は土地選びの段階で決まっていると言っても過言ではありません。「前面道路に本管が入っていない」「前面道路が私道だった」という土地は、通常の都市ガス費用より高額になります。そもそも都市ガス工事は建築会社に委託するため、建築会社が安くなければ費用を抑えることは難しいです。施主と都市ガス会社が直接契約すれば建築会社の利益が乗ることがないため安くできますが、工事の内容の打ち合わせや段取りは施主が行わなければいけません。非常に手間もかかる作業であり、他の工事にも干渉してしまうため必ず建築会社へ相談するようにしましょう。そもそも前面道路に都市ガス管が埋設されていない場合は、費用を考慮すると都市ガスは諦めた方が得策です。注文住宅を建築する場合は、事前に建築会社へ土地を見てもらうか、ガス局で埋設されているか確認してから購入するようにしましょう。

プロパンガス(LPガス)設置工事費用を抑える方法はありますか?

プロパンガスの設置工事費用は0円です。そのため設置工事費用を抑えるということはありません。しかし月々のガス料金はプロパンガス会社や貸与品の商品によって異なります。ガス料金について詳しく聞きたい方は、注文住宅会社へ相談し、各社ランニングコスト料金表をもらうようにしましょう。月々の料金は公開義務がないものの、プロパンガス会社で定めている料金は存在します。公開してくれる会社であれば、「価格に自信がある」「信頼できる会社である」と判断できるでしょう。一方で価格帯を教えてくれない業者であれば、不信感を抱いた方が良いです。料金が高く設定される場合もあるため、必ず口頭ではなく書面でもらうようにしましょう。プロパンガスは初期費用が不要な点、月々の料金が高額となってしまいます。今後長く住む住宅ですので、少しでもランニングコストを抑えたい方は各社相見積もりをすることをおすすめします。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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