木造注文住宅の外壁はサイディングが用いられることは多いですが、近年では塗り壁を使用している方も増えています。塗り壁は一昔前の住宅に用いられた外壁ですが、最近は個性感を出し味わいある住宅を建築したい方に人気は増えています。
今回新築注文住宅の塗り壁にフォーカスをあて、費用や選び方、注意点とメリット・デメリットを紹介します。これから注文住宅の建築を検討している方はぜひ参考にしてください。
新築注文住宅の塗り壁の費用と相場
新築注文住宅の塗り壁費用は、通常のサイディング外壁と比べて「1,000,000円から2,000,000円」程高くなる傾向があります。近年では高い技術力が求められる塗り壁を施工できる専門業者が減ったため、サイディング外壁より費用は高額です。しかし業者によって価格は異なるため、上記の価格は目安としてください。
また、後ほど紹介しますが塗り壁にもいくつか種類があり、施工方法によっては価格が大きく異なります。そのため施工方法によっては上記の価格より増額することもあるため、詳しい金額は注文住宅会社へ確認するようにしましょう。
新築時の塗り壁の選び方
新築住宅の塗り壁にはさまざまな種類があります。ここでは塗り壁の種類とメンテナンス方法を紹介します。
塗り壁の種類
注文住宅の塗り壁には大きく分けて以下の5種類あります。
1. モルタル
2. ジョリバット
3. 漆喰
4. 土壁
5. スタッコ
モルタル
モルタルとはセメントと砂、水を練り合わせて作った建築材料を指します。主に基礎の上から塗るものとして認識されておりますが、外壁にも用いられることが多いです。似たようなものにコンクリートがありますが、モルタルは強度も低く荷重が軽い特徴があります。その分上から何度も塗ることもできるため、リフォームも簡単に行うことが可能です。モルタル外壁は価格も安く、自由なデザインにすることができます。さらに火災などが発生した時であっても有害物質は一切使用していないため有毒ガスの発生はありません。一方で劣化により触ると手が白くなるチョーキング現象が発生し、浮きや剥がれが発生しやすいデメリットがあります。
ジョリパット
ジョリバットとはアイカ工業から発売されている塗料の一つであり、砂を混ぜた塗料をローラーやコテで塗り付けるまたは薄めてスプレーで吹き付ける外壁工法です。
塗料の主成分は水溶性のアクリル塗料であり、粘性土も多少あることから好きな模様にすることが可能な特徴があります。防藻・防カビ効果が見込め、藻やカビの繁殖がしにくい性質を持ち合わせており、クラックなどに強いため耐久性が高いメリットがあります。一方で凹凸が多いため汚れなど溜まりやすいです。さらに清掃時は高圧洗浄が使用できません。外壁内部までに水が浸透してしまうため内部劣化を引き起こしてしまうからです。そのため塗装とメンテナンスは専門業者へ依頼する必要がある塗り壁です。
漆喰
漆喰と消石灰と糊、スサなどを加えて作った建築材料のことです。姫路城の白壁や倉敷の土蔵の白壁など歴史的な建造物に使われています。また日本だけでなく地中海に浮かぶ島々の家などにも用いられており、世界遺産登録されている建物も多くある塗り壁です。
漆喰は高いデザイン性や耐火性・耐久性に優れているだけでなく、脱臭効果なども見込める塗り壁です。また抗菌性も高いため、外壁だけでなく室内の壁などにも用いられることが多くなりました。しかし漆喰を施工できる職人が年々減少していることからコスト面が高いデメリットがあります。さらに消石灰が主原料であることからひっかきに弱い点も大きなデメリットの一つです。ペットなどを飼っている方には向いていない塗り壁でもあります。
土壁
名前の通り土を主原料とした塗り壁であり、古くから日本の主流外壁となっているものです。近年では使用される回数が減りましたが、法隆寺などの歴史ある建物には未だ用いられています。土壁の最も大きなメリットといえるのは耐火性です。主原料が土ですので燃えることはありません。しかし耐久性は他の塗り壁より圧倒的に低く大きな地震が発生した際は崩れる可能性が高いデメリットがあります。
スタッコ
スタッコとは石灰と水で出来た化粧漆喰という建築材料のことを指し、モルタル外壁の仕上げとして使用されるケースが多いです。モルタル外壁の仕上げ方法は大きく分けて5つありますが、主に使われるのが「リシン吹付」と「スタッコ仕上げ」の2つです。スタッコ仕上げとはリシン吹付と比べ塗膜が厚く、ひび割れしにくく、紫外線や雨風に強い特徴があります。また高級感と重厚感ある仕上がりになるため、住宅の見栄えにこだわりたい方にはおすすめです。ただし汚れやカビ・コケが付着しやすく、清掃も大変な点が大きなデメリットとして挙げられます。
塗り壁のメンテナンス
塗り壁で施工した住宅も築年数が経つことでメンテナンスが必要となります。しかしどのようなメンテナンスを行えばよいか分からない方も多いため、ここで紹介します。
メンテナンス方法
塗り壁のメンテナンス方法は施工方法によってことなります。さらに専門性と高い技術力が求められるため、専門業者へ依頼することがおすすめです。塗り壁の清掃というと高圧洗浄機をイメージする方も多いですが、外壁を痛めてしまう可能性も高くなります。そのため自身でメンテナンスするのは控えるようにしましょう。
メンテナンス費用
専門業者へメンテナンスを依頼した場合の費用はおおよそ「30,000円~50,000円」程の費用となります。ただし補修などがあった場合は更に追加費用が必要です。塗り壁は汚れが付くだけでなく、クラックや破損が発生します。そのまま放置すると外壁材から雨水が建物内に浸水し、腐食やカビの原因にもつながりかねません。そのため専門業者へ依頼し、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。
新築時に塗り壁を採用する場合の注意点
塗り壁を採用するか検討している方は、メリット・デメリットを理解しておきましょう。
塗り壁のメリット
塗り壁のメリットは大きく分けて以下の3つが挙げられます。
1. おしゃれな住宅になる
2. バリエーションが豊富
3. 外壁のつなぎ目がなくスタイリッシュ
おしゃれな住宅になる
塗り壁の外壁はスタイリッシュでおしゃれな住宅に仕上げることができます。近年では凹凸のない住宅人気が高く、塗り壁との相性は抜群です。シンプルな仕上がりになり高級感ある住宅にすることが可能です。塗り壁は和風住宅に合うイメージが強いですが、洋風の建物にも合わせることも可能です。自身のイメージに合わせたマイホームを建築したい方にはおすすめの外壁仕上げです。
バリエーションが豊富
先ほど紹介した5つの方法がある通り、塗り壁にはバリエーションが豊富です。さらにデザインもたくさんあるため好きな色合いと見栄えある住宅にすることが可能です。塗り壁はハウスメーカーで採用していることが少ない一方、工務店であれば施工対応してくれる業者も多いです。さらに工務店は地域密着型であるため、優秀な職人さんも多く抱えており、柔軟な対応が可能です。
外壁のつなぎ目がない
サイディング外壁の場合は外壁材と外壁材のつなぎ目にコーキングで施工しますが、塗り壁の場合はつなぎ目がありません。そのためコーキング補修も必要ありません。新築住宅時のコーキングは外壁材と合わせた色にするため気にならない方も多いですが、経年劣化によってコーキング痩せや汚れが目立ちます。そのような点は一切気にすることは不要となる特徴が挙げられます。
塗り壁のデメリット
塗り壁にもデメリットがあります。ここでは3つのデメリットを紹介します。
サイディング外壁より高くなる
外壁清掃は専門業者へ依頼しなければいけない
耐久性はサイディングより劣る
サイディング外壁より高くなる
先ほどもお伝えした通りサイディング外壁より価格は高くなる点は大きなデメリットです。木造住宅に用いられる外壁はサイディングが多いです。塗り壁は施工技術の高さと職人不足によりコストが高くなってしまいます。
外壁清掃は専門業者へ依頼しなければいけない
サイディングは高圧洗浄機で清掃できるため、自身で行うことが可能です。しかし塗り壁には使用できず、専門業者へ清掃を依頼しなければいけません。常にきれいな住宅を維持したい方は清掃回数も増えてしまうため、費用が高額となってしまうデメリットがあります。
耐久性はサイディングより劣る
塗り壁は地震などによってクラックが入る可能性が高いです。サイディングは揺れなどに強く、ひび割れする確率は低いですが、塗り壁は材質上耐久性が低くなります。さらに職人の腕によって耐久性は左右されるため、職人選びは非常に重要です。
注文住宅新築時の塗り壁に関するQ&A
ここでは新築注文住宅の塗り壁に関するQ&Aを一つ紹介します。塗り壁はサイディングより費用が高くなるため、少しでも安くする方法について解説します。
塗り壁の費用を抑える方法はありますか?
塗り壁を使用する場合は、相見積もりは必須です。施工方法によって価格は異なるため、建築会社へ相談して価格を抑えられる施工方法を見つけましょう。
ただしすべての施工方法の見積もりを依頼すると建築会社の方も大変なので、デザインやカラーのベースを決めて、それに見合った施工方法を複数決めてから見積もりを依頼するようにしましょう。建築会社の方でも2・3個の施工方法の見積もりであれば依頼を受けてくれます。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。