地盤調査は安全な住宅を建築するために必須です。日本は地震大国だけでなく軟弱地盤である土地も多いため、住宅を建築する際は土地の地盤調査を行い地盤の強度を確認します。地盤が軟弱である場合は地盤改良工事を行わなければいけません。
仮に軟弱地盤でかつ改良工事を行わない住宅に住んだとしても、不安に思いながら生活しなければいけないでしょう。例え自分の土地の周辺地盤が固いと聞いていても地盤調査は必ず行う必要があります。本記事では地盤調査費用相場を紹介します。これから注文住宅の建築を検討している方はぜひ参考にしてください。
注文住宅新築時に行う地盤調査とは?
始めに地盤調査の概要について紹介します。「地盤調査は何のために行うのか」「どのようなタイミングで行うのか」「どのように依頼するのか」など分からない方も多いため、ここで地盤調査について理解しておきましょう。
地盤調査の目的
地盤調査は安全な住宅を建築するため行います。地盤が軟弱である場合は地盤改良工事を行い、地盤の強度を上げる必要があります。軟弱な地盤であるかは地盤強度や地盤支持力などを判断され、改良方法は以下の通りです。
地盤強度:強、地盤支持力:強 → 直接基礎(布基礎・べた基礎)など
地盤強度:弱、地盤支持力:強 → 支持杭 地盤強度:弱、地盤支持力:弱 → 地盤改良・摩擦杭 |
地盤改良工事は必須ではありません。地盤調査により固い地盤と判断されれば布基礎やベタ基礎といった通常の基礎で問題ないということです。ただし地盤が弱くなってくると改良工事などが必要となります。
新築時に地盤調査を行うタイミング・流れ
地盤調査は着工前に行います。本体工事の着工前に地盤調査を行い、改良判定がでた場合は地盤改良工事を行ってから本体工事に入ります。ただし着工前と言っても本体工事の前日や3日前ではなく、おおよそ1か月から2か月前に地盤調査を行うのが通常です。地盤調査をして地盤改良工事が必要となった場合、改良工事の見積もりとお客様との契約を行う期間が必要であるからです。
地盤調査は建物の配置が確定できた段階で行うことができます。そのため注文住宅会社と工事請負契約後、建物の配置を変更しなければすぐに地盤調査を行う流れとなります。
また土地を購入する前に地盤調査を行うケースもあります。購入した土地が軟弱地盤であり多額の地盤改良費がかかるとなると購入を悩むでしょう。そのため建築会社へ地盤調査を依頼し、判定結果が出てから購入しても問題ありません。
地盤調査の方法
地盤調査は注文住宅会社の方で業者に段取りを取ってくれます。そのためお客様が地盤調査会社へ連絡する必要はありません。
ただし地盤調査する際は調査しやすい土地の状況にしておかなければいけません。草が生い茂っている場合や既存建物がある場合は地盤調査できませんのでお客様の方で除去や解体を行う必要があります。なお解体工事を注文住宅会社へ依頼している場合は、解体着工してから地盤調査を行います。
注文住宅新築時の地盤調査費用と相場
ここでは地盤調査の種類と費用相場を紹介します。
調査方法は大きく分けて3つありますが、戸建て住宅の調査には「スクリューウエイト貫入試験」が最も用いられます。そのほか2つの調査方法も紹介するため、費用も踏まえて理解しておきましょう。
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験,旧スウェーデン式サウンディング試験)
スクリューウエイト貫入試験は地盤のロッドを突き刺し、沈み方や支持層までの距離を測る調査方法です。スムーズにロッドが沈むと軟弱地盤と判断でき、沈みにくい場合は固い地盤と判断できます。調査ポイントは建物の四隅と中央です。そのため地盤調査後に建物の配置を変えると再度地盤調査が必要となり追加費用がかかります。調査費用はおおよそ1回「30,000円~100,000円」前後です。
表面波探査法
表面波探査法とは起振機を用いて敷地の地面に振動を与え、地面へのゆれの速さにより地盤の強度を判断する方法です。
振動が早く伝わった場合は固い地盤と判断でき、振動が遅い場合は軟弱地盤と判断できます。調査ポイントはスクリューウエイト貫入試験同様、4隅と中央です。費用に関しては「50,000円~150,000円」前後となります。
ボーリング調査
ボーリング調査とは標準貫入試験とも呼ばれ、8センチほどの穴を開けてサンプラーと呼ばれる鉄の筒状を挿入し、上からハンマーで叩いていきます。叩いた回数で地盤の強度を測定できます。ボーリング調査は戸建て住宅の地盤調査ではほとんど使われることはなくマンションや商業施設などに用いることが多いです。調査費用は「100,000円~500,000円」です。また大規模な建設の場合はさらに費用は高額となります。
地盤調査の結果について
ここからは地盤調査結果の概要について紹介します。
地盤調査結果が出るまでの日数
地盤調査を行ってから地盤調査結果が出るまでの日数は3日~1週間ほどです。もちろん地盤調査会社によって異なるため目安の日程となります。
地盤調査結果の見方
ここでは地盤調査結果の見方を紹介します。
貫入深さ | 貫入の深さは地表面からの震度を表します。スクリューウエイト貫入試験(SWS試験,旧スウェーデン式サウンディング試験)では支持層までの深さが分かるようになります。 |
荷重Wsw | ロッドに荷重をかけて沈み方を想定します。荷重は「5・15・25・50・75・100㎏」であり、Wswはかけた荷重を表します。 |
半回転数Na | 半回転数Naは25cm貫入するのに要した半回転数です。半回転を数えることにより地盤の固さが判断できます。 |
1mあたりの半回数Nsw | 1mあたりの半回転数を置き換えたものであり、Nsw=Na×100/L(L=貫入量)で算出出来ます。 |
荷重のグラフ | Wswをグラフ化したものであり、ロッドが沈んだ荷重がどれくらいか分かります。グラフ内で荷重が止まっている場合は軟弱地盤であることを意味します。 |
1mあたりの半回転数のグラフ | 1mあたりの半回転数グラフまで伸びている場合は100㎏の荷重であっても沈まないことを意味します。そのため地盤の強度は高いと判断できます。
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換算N値 | N値とはスウェーデン式サウンディング試験の換算式に当てはめて算出された数値です。N値が大きいほど地盤が固いことを意味します。 |
地盤改良が必要なケース
簡単にいうと建物の荷重に耐えられる地盤でない時です。地盤改良は軟弱地盤である場合に行いますが、ある程度の地盤でも行うケースがあります。理由としては建物が関連します。木造住宅の場合は地盤改良工事不要であっても鉄筋コンクリート造の建物であればより荷重がかかり、地盤改良工事をしなければいけないということです。つまり地盤改良は地盤の強度と建物の荷重に関連するためケースバイケースと認識しておきましょう。
地盤改良にかかる費用
地盤改良費はおおよそ「80万円~200万円」です。住宅の規模や構造、建物の強度だけでなく、地盤改良工事内容によっても金額が異なります。
地盤改良工事は主に以下の3つに分かれ、費用もそれぞれ異なります。
工法 | 内容 | 目安費用 |
表層改良工法 | 地盤を掘削しセメントなどと混ぜて地盤を固める工法です。ある程度の固さがある地盤に用いられる工法です。 | 800,000円~1,200,000円前後 |
柱状改良工法 | 地盤面に穴を開けてセメントなどの凝固剤を流し込む工法です。軟弱地盤に用いられるケースが多いです。 | 1,000,000円~1,500,000円前後 |
鋼管杭工法 | 鋼管杭を地盤に入れる工法です。最も軟弱な地盤に用いられますが、新築住宅ではそれほど多く採用されてはいません。 | 1,500,000円~2,000,000円前後 |
地盤調査の注意点
地盤調査を行う時の注意点は3つ挙げられます。
1. 地盤調査できる土地の状態であること
2. 地盤調査してから建物の配置をずらさない
3. 地盤調査は建築会社へ依頼する
● 地盤調査できる土地の状態であること
既存建物がある場合は解体してからでないと地盤調査はできません。簡易調査として建物が建っていない敷地の一部を調査することは可能ですが、あくまで目安の地盤となります。また草などが生い茂っていると調査ポイントがわからないため、必ず整地されている土地にしておきましょう。
● 地盤調査してから建物の配置をずらさない
地盤調査は建物の配置が決まってから行います、配置に合わせたポイントを調査するため、調査後に建物の配置を変更すると再調査となります。つまり地盤調査費用が2回かかることになるため、建物の配置はずらさないようにしましょう。
● 地盤調査は建築会社へ依頼する
地盤調査を行った会社が建築会社の下請けとして地盤改良工事を行い、建築会社が5年または10年間の保証を付けます。しかし自身で地盤調査を依頼したものの、建築会社と取引がない会社であれば、再度建築会社が指定する地盤調査会社で調査しなければ保証という点が変わってきます。そのため地盤調査の依頼は建築会社へ相談するようにしましょう。
地盤調査に関するQ&A
ここでは地盤調査に関するQ&Aを紹介します。
地盤調査の費用を抑える方法はありますか?
地盤調査の費用は自身で依頼するより建築会社へ依頼する方が安いケースが多いです。建築会社は年間の地盤調査依頼数が多いため、一回あたりの調査費用が安くなっていることも多いです。もちろん建築会社や地盤調査会社によって異なるため、詳しい費用は建築会社へ確認しましょう。また地盤調査会社へ依頼し、調査方法が分からないことを理由にお任せで依頼すると、調査の中で最も価格が高いボーリング調査などを進められるかもしれません。戸建ての地盤調査はスクリューウエイト貫入試験(SWS試験,旧スウェーデン式サウンディング試験)で十分ですので、建築会社へ相談するようにしてください。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。