新築注文住宅を建築する際に建築会社から「浄化槽工事が必要です」と言われる場合があります。浄化槽工事は公共下水設備が整っておらず、過去に浄化槽が設置されていない土地である場合が該当します。特に田舎や山岳部などの土地に見られることが多く、事前に下水調査を行う必要があります。
もし浄化槽が必要と言われた場合は別途費用が必要です。どれくらいの費用が必要となるか分からない方も多いため、本記事で紹介します。これから注文住宅を建築する方で浄化槽工事が該当する方はぜひ参考にしてください。
新築注文住宅の浄化槽の費用と相場
はじめに新築注文住宅時の浄化槽設置費用と維持費を紹介します。浄化槽の費用は決して安い価格ではありません。そのため事前に把握しておきましょう。
設置費用
浄化槽には複数のサイズがあり価格も変わります。詳しくは下記の表を見ましょう。
浄化槽のサイズ | 本体&工事費用 |
5人槽 | 400,000円~600,000円 |
7人槽 | 500,000円~900,000円 |
10人槽 | 600,000円~1,300,000円 |
一般的な家庭であれば5人槽となるケースが多く、費用は本体費用と工事費を含め「40万円~60万円」程の費用となります。ただし「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理 対象人員算定基準」によって浄化槽のサイズが以下のように定められております。
延床面積 | 浄化槽のサイズ |
130㎡未満 | 5人槽 |
130m以上 | 7人槽 |
台所が2か所以上でかつ浴室が2か所以上(2世帯住宅など) | 10人槽 |
居住する予定の家族数ではなく、延床面積が39.3坪を境に、設置する浄化槽のサイズが異なります。2世帯住宅などの場合は10人槽となります。浄化槽は目安汚水排出量によってサイズが定められているため、計画している住宅の延床面積がどれくらいか確認してみましょう。
維持費
浄化槽の維持費は約50,000円です。
浄化槽工事は1年に一度清掃が必要となり、約30,000円前後の費用が必要となります。また浄化槽の保守点検と水質検査も必要となり、2つ合わせると20,000円前後の費用がかかるため、トータルで50,000円ほどの維持費がかかると理解しておきましょう。ただし清掃業者などによって価格は異なるため、詳しくは専門業者へ確認してみましょう。
注文住宅に導入する浄化槽の選び方
ここでは「浄化槽が必要なケース」と「浄化槽の仕組み」について解説します。どの住宅でも浄化槽が必要というわけではないため、浄化槽が必要かの判断方法も紹介します。
浄化槽が必要なケースとは?
冒頭にもお話した通り、浄化槽が必要なケースは下水設備が整っていない土地です。どのエリアが該当するかは各地域を管轄する下水道局の埋設管図で確認できます。だれでも数百円支払えば埋設管を確認できるため、土地を購入する前に確認してみましょう。
浄化槽の仕組み
浄化槽は家の汚水を一か所に集め、バクテリアによって分解したのち、「汚泥」と「上汲み液」に分けます。汚泥は浄化槽の清掃を行う時に取り出します。1年に1度、清掃が必要な理由は汚泥を取り除くためです。また上汲み液は塩素消毒を行い、河川へ放流される仕組みとなります。そのまま河川に流すと環境汚染につながるため、分解してから処理します。
浄化槽の種類
浄化槽には「単独処理浄化槽」と「合併処理浄化槽」の2種類あります。それぞれの特徴について解説します。
単独処理浄化槽
単独処理浄化槽とはトイレの汚水のみ処理する浄化槽のことを指し、キッチンやお風呂などの汚水は道路の側溝へ流す仕組みです。環境汚染への影響が大きいことから現在使用されることはありません。住宅の建築でも使用されることはないため次に紹介する合併処理浄化槽を理解しておきましょう。
合併処理浄化槽
単独処理浄化槽と異なり、トイレやキッチン、お風呂などすべての汚水をまとめて処理する浄化槽です。側溝を経由して川に流れることがないため、環境汚染につながることはありません。現在の住宅では合併処理浄化槽以外の設置は認められていません。
浄化槽のサイズ
5人槽の浄化槽のサイズは1.5㎡程の面積です。高さ1.5m横幅1m前後が一般的です。もちろんメーカーによってサイズは異なります。また7人槽10人槽となると更におおきくなります。ただし全て地中に埋設するため、工事完成後はお客様が見かけることはほとんどありません。
浄化槽の管理メンテナンス
先ほどの維持費でお伝えした通り、浄化槽は1年間に1度清掃が必要となり、数万円の費用が必要となります。
ただし経年劣化により、ブロアと呼ばれる空気ポンプが破損しやすくなります。その場合修理費用として「70,000円~100,000円」程の費用が発生します。基本的に浄化槽は定期的なメンテナンスをしておけば破損することはありません。しかし空気ポンプだけは別なので注意して下さい。
新築注文住宅に浄化槽を設置する場合の注意点
基本的に浄化槽の設置は建築会社と設備会社が計算した上で設置するため、お客様が注意することはありません。ただし以下の点は理解しておきましょう。
1. 補助金の有無
2. 浄化槽の設置場所は決められている
3. 浄化槽は30年を目処に交換
補助金の有無
浄化槽の設置に対して補助金を設定している自治体もあります。下記地域によって異なるものの、大きな金額です。例えば松阪市では5人槽の浄化槽に対し「332,000円」の補助金を出しています。もちろん細かな条件はあるものの、建築前に自治体のホームページで検索するようにしましょう。
浄化槽の設置場所は決められている
浄化槽はトイレやお風呂など汚水の排出が近い場所に設置しなければいけません。そのため浄化槽を設置できるスペースを確保する必要があります。敷地ギリギリに建築できないため、間取りに影響する可能性もあるでしょう。必ず設計士と配置場所を打合せしてから間取りを決めていきましょう。
浄化槽は30年を目処に交換
浄化槽の寿命は30年と言われています。その際新たな機器設置費用だけでなく、既存撤去費用も必要です。既存撤去費用はおおよそ「50,000円~100,000円」程度です。さらに新規の浄化槽設置期間はトイレなどの使用は出来なくなります。おおよそ2日ほどで工事が完了しますが、その期間が自宅で生活することは出来ないため注意して下さい。
浄化槽の設置費用を抑える方法
浄化槽の設置費用を抑える方法としては補助金が最も有効ですが、5人槽で納めることも一つの手段です。つまり39.3坪以内の延床面積を意識してみましょう。もちろんご家族の人数によって部屋の大きさは決まりますが、3人家族4人家族であれば上記の延床面積で4LDKほどの住宅を建築できます。5人槽と7人槽では費用も10万円近くあがります。少しでも安くしたい方は住宅の面積を考慮して間取りを検討してみましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。