縁側と聞くと、昔ながらの和の家をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし近年の注文住宅では日当たりの良さや開放感、空間の有効活用として取り入れる住宅も増えて来ました。住宅のデザインに合わせて現代風の縁側を作ることも可能なため、おしゃれな家を作りたいという方には非常におすすめです。
そこで今回注文住宅の縁側に着目し、種類や費用相場、メリット・デメリットを紹介します。これから注文住宅の建築を検討している方は是非参考にしてください。
縁側の種類
縁側にはいくつか種類がありますが、ここでは主に新築住宅に採用されている2つの縁側について紹介します。それぞれデザインが異なるため、縁側を取り入れる方はどちらが良いか検討してみましょう。
濡れ縁
濡れ縁とは家の外壁から張り出した側柱の間との空間(床)のことを指し、雨が降ると濡れるという意味から名付けられています。
濡れ縁はウッドデッキと同じようなイメージをしていただければわかると思います。屋根はついていますが、ほとんど雨を防ぐことはできません。しかし庭を眺めたり子供たちが外で遊んでいるところを見る場所としては最適です。
くれ縁
くれ縁とは濡れ縁と外の間に壁と窓があるタイプのものです。住宅の廊下などをイメージして頂けたら分かると思います。くれ縁は日当たりも良く雨風を防げるため、洗濯物を干したりする場所として最適です。
またくれ縁を家具なども置けるほどに広くした場合は広縁とも呼ばれ、その場所で生活することも可能です。くれ縁には多種多様な用途がある特徴があります。
縁側設置にかかる費用相場
縁側の費用は「縁側の面積(坪)×坪単価」で算出でき、大きさが2坪ほどの場合、「800,000円~1,000,000円」程の費用となります。
坪単価とは、注文住宅の一坪当たりの価格を指し、下記の計算式で算出出来ます。
坪単価(円/坪)=注文住宅の本体価格÷延床面積(坪) |
坪単価は建築業界で金額を比較する際に使われる指標であり、各メーカーによって異なります。
建築会社 | 工務店 | 中堅ハウスメーカー | 大手ハウスメーカー |
坪単価 | 50万円 | 60万円 | 80万円 |
縁側を設置する場合の注意点
縁側を設置するかの判断は、費用だけに着目するのではなくメリット・デメリットを理解する必要があります。
ここでは縁側のメリット・デメリットを4つ紹介します。
縁側のメリット
縁側のメリットは以下の4つが挙げられます。
1. 開放感あるスペースとして活用できる
2. 庭を眺めながら楽しめる
3. 家族団らんできるスペースとしても活用できる
4. くれ縁は室内の温度をコントロールしてくれる
開放感あるスペースとして活用できる
縁側はリビングや洋室の隣に設置する場合が多く、扉を開ければリビングと一緒に開放感あるスペースとして活用できます。縁側だけでも十分なスペ―スとして利用でき、さらに他の部屋との扉を開放することで空間全体が広くなります。
庭を眺めながら楽しめる
せっかく立派な庭を造った際は、眺めながら楽しみたいところです。縁側は庭を眺めるスペースとしてはピッタリな場所ではないでしょうか。庭で遊んでいる子供の様子を見れることも可能ですし、来客者と庭を見ながらお茶を楽しめる場所でもあります。
家族団らんできるスペースとしても活用できる
縁側は家族団らんできるスペースにもなります。リビングではテレビがあることで家族との会話も少ないという家庭も多いでしょう。しかし縁側は他に集中する物も少ないため、家族との会話も次第と増えます。また庭でバーベキューなどを行う場合は、縁側を荷物置き場や椅子代わりに楽しむことも可能です。縁側は自然とコミュニケーションを取れる場となるでしょう。
くれ縁は室内の温度をコントロールしてくれる
くれ縁があることで夏場の暑い日差しを室内に入りにくくし、冬場は暖かい空気を逃さない効果が見込めるため、快適な生活を補助してくれる効果が見込めます。またエアコンや暖房器具の使用量を抑えることにもつながるため省エネ効果もあります。
縁側のデメリット
縁側は、空間を生かして人とのコミュニケーションを取れるメリットが挙げられる一方、デメリットも3つあります。
1. 建築コストがかかる
2. 他の部屋が小さくなる可能性もある
3. 定期的なメンテナンスが必要となる
建築コストがかかる
先ほども紹介した通り、縁側の設置には面積に応じたコストが必要となります。設置する面積によるものの、安い価格ではないため注文住宅の予算を考慮した上で検討する必要があります。縁側は大きければ見栄えよく、周りの方から開放感ある住宅・おしゃれな住宅と見られるかもしれません。一方でコストも高額になるため注意しましょう。
他の部屋が小さくなる可能性もある
縁側を意識したあまりに他の部屋が小さくなる可能性があります。注文住宅の大きさは主に以下の3つの理由から大きさが限られています。
1. 建ぺい率(敷地に対して建築できる面積)
2. 容積率(敷地に対して建築できる延床面積)
3. 建築予算
「1・2」は建築基準法上、「3」は予算または住宅ローンの借入限度額によって定められています。そのため縁側を大きくしたいから注文住宅の面積を増やすということは簡単に出来ない可能性も高いです。その場合、他の部屋を小さくして縁側を設置することになるため間取りのバランスを考えた上で縁側を設計しましょう。
定期的なメンテナンスが必要となる
濡れ縁は雨風にあたる場所であるため劣化が早いです。さらに紫外線が直にあたるため床材の色あせなども起きやすいです。縁側が劣化すると見栄えもわるくなることから定期的なメンテナンスや清掃が必要です。
縁側は増築・リフォームも可能?
縁側は増築・リフォームで設置可能です。ただし建築する住宅がツーバイフォー工法である場合は出来ない可能性もあります。
ツーバイフォー工法は面で住宅の構造を支えます。壁などを壊すと建物躯体に影響が出てしまうため、基本的には増築やリフォームができません。ただし場合によってはツーバイフォー工法の住宅でも増築可能であるため、建築士へ確認してもらうようにしましょう。
注文住宅の縁側に関するQ&A
ここでは縁側に関するQ&Aを紹介します。
今回は「縁側の費用を安くする方法」です。
縁側の費用を抑える方法はありますか?
縁側の費用を抑えるには以下の2つが挙げられます。
● 安い床材を使用する
● くれ縁ではなく濡れ縁にする
・ 安い床材を使用する
床材は木造になりますが、リビングの床材とは異なります。もちろん建築会社よって異なるため一概には言えませんが、床材を安価な商品にすることで縁側の費用を抑えることにつながります。床材に関しては建築会社へ相談してみましょう。
・ くれ縁ではなく濡れ縁にする
くれ縁は壁や窓の設置が必要なため、濡れ縁よりコストが上がります。取り付けするサッシの費用も決して安い価格ではないため、注文住宅会社と相談して決めましょう。ただし雨風を防げるため、メンテンナンス費用は安くなります。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。