オーダーメイドの家具は、価格が高いイメージも強く、取り入れるか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年の注文住宅では、造作家具(オーダーメイド)を取り入れている家庭も増えてきています。
従来と比べると、こだわったデザインより、シンプルでスタイリッシュなデザインの方が人気は高いため、費用も抑えることが可能です。
しかし、実際どれくらい費用がかかるか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、造作家具の費用相場を紹介します。
また、造作家具のメリット・デメリットも解説します。
注文住宅の家具で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
注文住宅の造作家具の費用相場
注文住宅の造作家具を作る場合、「大工工事」と「家具工事」に分けることができます。
ここでは2つの工事方法の特徴と、費用相場を紹介します。
大工工事の費用相場
大工工事とは、造作大工が家具を作る方法です。
費用に関しては、相場価格がなく、職人によって異なります。
一例の価格としては下記の表を目安としてください。
造作家具 | 費用相場 |
下駄箱 | 50,000円~100,000円前後 |
本棚 | 100,000円~200,000円前後 |
食器棚 | 150,000円~250,000円前後 |
詳しく金額を知りたい方は、注文住宅会社へ確認しましょう。
造作大工とは、注文住宅の壁や床、天井や建具以外の工事を施工する大工を指します。
注文住宅を建築する際は、既製品を使わずに現場で施工することもあり、その工事は造作大工が行います。
例えば既製品の下駄箱ではなく、造作で作り上げる場合などが挙げられるでしょう。
しかし先ほどもお伝えした通り、大工工事は大工によって価格帯が異なります。
また、造作した家具も、大工によってクオリティに差があります。
近年の大工は繊細で高い技術力を持ち合わせている方が多いですが、万が一下手な大工にあたった時は、思っていた家具と違ったというケースもあるでしょう。
大工の人選は建築会社が選択しますので、施工技術が高い注文住宅会社へ依頼することが大切です。
そんな大工工事で作る家具はシンプルな家具がおすすめです。
基本的には注文住宅の造作を工事する人であるため、デザイン性や色合いは家具大工の方が優れていることが多い特徴を持ち合わせています。
家具工事の費用相場
家具工事の造作家具は、大工工事よりデザイン性が高い特徴があります。
素材から色あいなどのバリエーションも豊富で、自身の思い描いた家具を作ることが可能です。
しかし、造作大工より費用は高額となり、納期も遅くなる傾向があります。
もちろん家具工事専門業者によって異なるため、一概には言えません。
しかし造作大工と比べて、デザイン料や設計料なども発生するため、価格は高くなるでしょう。
家具工事も大工工事同様、相場価格がなく、作る家具によって費用は異なるため、詳しい金額を知りたい方は、家具工事専門業者に見積もりを依頼して見ましょう。
注文住宅の造作家具の選び方
ここでは造作家具の導入を検討されている方へ、造作家具のメリット・デメリット、造作家具の種類や工期などを紹介します。
家具選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
造作家具のメリット
はじめに造作家具を作るメリットを5つ紹介します。
1. 間取りに合わせた家具を造ることができる
2. 思い通りのデザイン家具を作れる
3. 地震にも強い
4. ホコリが溜まりにくい
5. 家具を購入する手間がなくなる
間取りに合わせた家具を造ることができる
造作家具の一番のメリットともいえるでしょう。
住宅の間取りに合わせた家具を作ることで、デットスペースを無くすこともできます。
例えば、既製品のTVボードを設置した場合、壁から数センチほどの隙間ができた経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
造作家具の場合は、壁や床などと繋がっているため、デットスペースを無くすことができます。
家の一部として家具を造ることができるため、間取りを最大限に生かすことが可能となるメリットがあります。
思い通りのデザイン家具を作れる
注文住宅が完成した後の家具選びで、気に入った家具が見つからないこともあるでしょう。
しかし造作家具は自身が思い描いたデザインの家具を造ることが可能です。
アンティーク調や北欧風など、さまざまな部屋のデザインに合わせた家具を造ることができるメリットがあります。
地震にも強い
造作家具は、壁や床、天井などに施工するため、地震で倒れてくる可能性は極めて低くなります。
既製品の家具は、部屋やキッチンなどに配置するだけであるため、大きな地震が発生した時は、倒れる可能性も高いでしょう。
もちろん突っ張りボールやビス止めで対応することも可能ですが、見栄えは低下してしまうでしょう。
しかし造作家具は、見栄えの良さだけでなく、耐震性にも優れているため、安全性が向上するメリットがあります。
また、注文住宅の建築と同時に造作家具を造る場合、あらかじめ設置位置を決め、注文住宅会社と打合せしておくことで、より強固に設計してくれます。
日本は地震大国であるため、可能な限り耐震性は高めておく方が良いでしょう。
ホコリが溜まりにくい
既製品の食器棚や、本棚は上に隙間があるため、ホコリが溜まりやすくなります。
さらに高さのある家具である場合は、女性の手が届きにくく、掃除するのも一苦労ではないでしょうか。
しかし造作家具を造り、天井との空間を無くすことで、ホコリはおろか、掃除する手間もなくなる特徴があります。
家具を購入する手間がなくなる
注文住宅が完成した後は、家具選びをする方が多いのではないでしょうか。
気に入った家具を見つけるため、たくさんの家具屋に足を運ぶ方が多いです。
しかし、気に入った家具が見つからなければ何度も違う家具屋に行かなければいけません。
一方、造作家具を造ることで、オリジナルの家具にすることができ、家具屋に行く手間もなくなるでしょう。
造作家具のデメリット
造作家具のメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。
ここでは造作家具のデメリットを5つ紹介します。
1. 造作家具費用がかかる
2. 既製品より価格は高くなる
3. 家具の移動ができず、解体費用もかかることも
4. 納品に時間がかかる
5. 模様替えには適さない
造作家具費用がかかる
造作家具を造る場合、費用がかかります。
注文住宅の建築費用は安くはなく、さらに造作家具を造るとなった場合、大きな費用となるでしょう。
場合によっては注文住宅の建築予算をオーバーしてしまうことにもなりかねないため、注文住宅会社と造作家具の相談は必須です。
既製品より価格は高くなる
一般的には既製品の家具より造作家具の方が、価格は高くなります。
造作家具はデザイン料だけでなく手間代なども発生するため、既製品より高額です。
例えば、食器棚を家具屋にて100,000円で購入した場合、同じ大きさの商品を造作家具で作った際は150,000円以上にもなる可能性があるでしょう。
もちろん一概には言えませんが、価格の安い家具屋と比較すると、値段の差額は歴然です。
家具の移動ができず、解体費用もかかることも
造作家具は壁や天井などに取り付けするため、一度設置した後は動かすことは出来ません。
つまり、既製品の家具などを配置できないことも意味します。
造作家具も使用年数が増えることで劣化や破損がおこるため補修が必要です。
補修しないで新たな既製品の家具を配置したい場合は、造作家具の解体が必要となり、費用もかかります。
造作家具は家具の移動ができないだけでなく、新調する場合は、商品の費用だけでなく、解体費用もかかることは理解しておく必要があります。
納品に時間がかかる
注文住宅の設計段階で造作家具の工事内容が確定している場合、家の引き渡しに合わせて家具も完成しているでしょう。
しかし、注文住宅が着工していても、造作家具の設置場所やデザインが確定していない場合、完成までに間に合わない場合もあります。
造作家具は一から作り上げていくため、素材集めから制作までに時間を要します。
家具によって異なりますが、複雑なデザインの場合は、完成まで半年以上かかるというケースもめずらしくありません。
そのため、造作家具を設置する場合は、工事が着工する前までに決めておく必要があるでしょう。
模様替えには適さない
家の模様替えを行いたい場合、造作家具は変更できません。
先ほどもお伝えした通り、造作家具の移動はできないため、大幅な模様替えには適していません。
もちろん塗装などで色合いを変えることは出来ますが、造作家具本来の味を消してしまうことにもなるでしょう。
造作家具の種類
造作で作れる家具にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは代表的な造作家具の種類を紹介します。
・ 本棚
・ 収納棚
・ テーブル・デスク
・ 食器棚
本棚
最もポピュラーな造作家具です。
読書好きにとっては嬉しい家具ではないでしょうか。
本棚を造作することで、既製品の本棚より多く収納することも可能です。
また、好きなデザインにすることも可能であるため、インテリアとしても活用できます。
収納棚
近年人気の高い傾向にあるのは、収納棚を造作家具として造ることです。
部屋の隅や階段下などさまざまなところに造ることができ、小物を置いてインテリアにしている方も多く見受けられます。
また、物を見せたくない方は、開き戸式や引き出し式にすることで対処も可能です。
複雑なデザインよりシンプルなデザインの方が人気は高いです。
そのためコストも大きな費用ではないケースも多い特徴があります。
テーブル・デスク
テーブルやデスクは、部屋を大きくしようとするため、既製品を置いておくと部屋が狭くなってしまいがちです。
しかし、造作家具で作り、収納できるようにすれば、部屋も大きく使うことができるでしょう。食事や勉強の時だけに使うようにする家庭も増え、人気が高いです。
食器棚
既製品の食器棚は地震で倒れてくる可能性が高いです。
そのため、造作家具で食器棚を造る家庭も多いです。
また、既製品の小さい食器棚を設置した場合、将来家族が増えた際は交換する必要もあるでしょう。
もちろん一概には言えませんが、造作家具であらかじめ大きい食器棚を造っておくことで、交換する必要はなくなります。
造作家具の工期
造作家具の工期は、造る家具やデザインによって異なりますが、おおよそ「3か月~4か月」を想定しておきましょう。
造作家具はデザインの設計から始まります。
設計後打ち合わせをする時間が長くなるほど、工期は長くなるでしょう。
おおよそ打ち合わせは1か月ほどで完了しますが、こだわりが強い方は、3か月や4か月、半年以上かかるという方も多くいらっしゃいます。
打ち合わせが完了した後は、家具作りに移行しますが、注文住宅の本体工事の進捗に合わせて工事を行います。
そのため詳しい工期を知りたい方は注文住宅会社へ確認しましょう。
ただし、住宅の完成と同時に造作家具の工事を完了させたい場合は、着工前までにデザインなどを決めておくことをおすすめします。
造作家具のメンテナンス
ここでは造作家具のメンテナンスについて紹介します。
造作家具も経年劣化により、痛みが生じてきます。
そのためメンテナンス方法は理解しておきましょう。
メンテナンス方法
造作家具のメンテナンスが必要なケースは「破損」「色あせ」などが挙げられます。
造作家具は木製で出来ているケースが多く、破損した場合はささくれなどが発生します。
ささくれを放置したままにすると、気が付かない間にケガしていることにもつながりかねません。
すぐに補修しましょう。
簡易的な補修であれば、紙やすりなどで磨けばささくれ部分はきれいになります。
しかし本格的に補修をしたい場合は、リフォーム会社などへ相談するようにしましょう。
色あせに関しては、塗装することで解消できます。
ただし、造作した当初の色合いへ戻すことは非常に難しいです。
使用している材質によって塗料が変わってくるためです。
DIYで補修することも可能な色あせですが、当初の色に戻したい方は、専門業者へ相談するようにしましょう。
メンテナンス費用
造作家具のメンテナンスをDIYで行う場合、ホームセンターで2,000円もあれば、必要な道具を揃えることができます。
もちろんメンテナンス内容によって異なります。
しかし、上記の「破損」や「色あせ」程度であれば、大きな費用はかかりません。
一方、リフォーム会社などの専門業者に依頼した場合、メンテナンス内容にもよりますが、5,000円~20,000円前後の費用となります。
DIYでのメンテナンスの方が費用を抑えることができますが、確実度は専門業者の方が圧倒的でしょう。
コストを優先するか、確実に直せるほうを優先するかで、メンテナンス費用は変わってきます。
注文住宅の造作家具に関するQ&A
造作家具の費用は既製品より高い傾向にあります。
しかし、造作家具を取り入れたいと検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは造作家具の費用を抑える方法を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
造作家具の費用を抑える方法はありますか?
造作家具の費用を抑えたい方は以下の3つを意識しましょう。
1. 必要最低限の造作家具にする
2. 自分で作れるところを見極める
3. シンプルなデザインにする
・ 必要最低限の造作家具にする
造作家具を多く発注すると、もちろん費用が増えます。
世界に一つだけの家具を造れる魅力がありますが、多く造ることでコストもあがるでしょう。
多く造作家具を造ることで、一つあたりの施工費用は安くなりますが、トータルの費用は上がってしまいます。
最終的には注文住宅の建築費にも影響がでてくるため、必要最低限にするようにしましょう。
・ 自分で作れるところを見極める
例えば、デスクなどの棚は自分で施工できるほど簡単です。
インターネットやYouTubeなどで造り方が載っていますので、参考にしても良いです。
専門業者の方が確実性は高まりますが、簡易的な造作家具で、DIYで造れるかどうか検討してみましょう。
・ シンプルなデザインにする
造作家具を造る際に手間なのが、材料の加工です。
複雑なデザインであるほど、加工にも時間がかかり、手間代金がプラスされます。
そのためシンプルなデザインの造作家具を造るようにしましょう。
もちろん、家にデザインに合わせた家具を造りたい方も多いはずです。
こだわったデザインの造作家具を造りたい場合は、先ほどもお伝えした通り、必要最低限にしましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。