海外映画などでよく見かける半地下の住宅に憧れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
半地下は収納だけでなく、居住区間、趣味のスペースなど、多種多様に生かせる空間です。
しかし、どれくらいの施工費用が必要か分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、半地下の施工費用やメリット・デメリットを紹介します。
また、半地下と全地下の違いや、メンテナンス方法なども解説します。
これから注文住宅の建築を検討している方はぜひ検討してみてください。
注文住宅の半地下にかかる費用相場
半地下の施工費は一坪あたり、「50万円~100万円ほど」で計算できます。
つまり、半地下の面積が10坪である場合は「500万円~1,000万円ほど」の費用となります。
一坪あたりの施工費の金額幅が大きい理由は、建築会社によって本体工事の坪単価が異なるためです。
下記の表は、建築会社別坪単価費用の相場です。
工務店 | 中堅ハウスメーカー | 大手ハウスメーカー |
50万円前後 | 60万円前後 | 80万円前後 |
注文住宅の本体工事は、工務店の坪単価が最も安く、大手ハウスメーカーになるほど価格が高額となります。
上記の価格が半地下の坪単価に反映されるわけではありませんが、工務店に依頼した方が、半地下の費用を抑えることが可能となります。
一方、大手ハウスメーカーで半地下を作るとなると、坪単価が100万円近い価格となります。
もちろん建築会社によって価格が異なるため、費用は目安としてください。
また、もう一点半地下の費用で注意が必要なところは、「建物の構造」と「地盤です」
建物の構造が鉄筋コンクリート造などの場合、建物の荷重が重くなるため、半地下の構造も補強しなければいけません。
重ねて地盤が軟弱である場合は、地盤改良工事を行うか、そもそも半地下が作れないなどの可能性があります。
つまり、半地下の費用に目安はあるものの、建物と土地によって施工費用が大幅に増減する場合もあるということを理解しておく必要があります。
そのため、半地下を作る時は、注文住宅会社に土地を調査してもらい、見積もりを提出してもらったうえで検討しましょう。
注文住宅の半地下の選び方
半地下の導入を検討されている方の多くは価格に着目しがちですが、メリット・デメリットも理解する必要があるため紹介します。
また、半地下と比べられる全地下との違いについても紹介するため、地下の導入を検討される方は参考にしてください。
半地下のメリット
はじめに半地下のメリットを4つ紹介します。
1. 容積率に含まれない
2. 用途が多種
3. 遮音性が高い
4. 夏場は涼しく過ごせる
容積率に含まれない
容積率とは、敷地面積に対して建築できる注文住宅の延べ床面積割合を表したものです。
敷地面積が200㎡で容積率が80%である場合、注文住宅の延べ床面積は160㎡まで建築可能ということです。
しかし、半地下は一定条件を満たせば延べ床面積に算入されないため、注文住宅を最大限生かせる空間でもあるということです。
しかし、一定条件が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
条件は以下の通りです。
1. 住宅として使用されている地階であること
2. 地盤面から高さ1m以内に天井部分があること
3. 天井高の1/3以上が地盤面より下にあること
半地下は、地盤面の高さ1m以内に天井がなければいけません。
地下室の高さを2.4mとする場合が、地上面から深さ1.4mまで施工できるということでもあります。
地下室の天井高さが1mではないので注意して下さい。
用途が多種
冒頭にもお伝えした通り、半地下のスペースにはさまざまな用途が挙げられます。
物置としてもスペースだけでなく、趣味のスペースとしても活用できます。
半地下を設置する際は、面積によって価格が異なるため、用途に合わせた広さで考慮するようにしましょう。
遮音性が高い
地中に施工する半地下は、遮音性が高い特徴を持ち合わせています。
そのため、ある程度の音量を出しても近所への配慮は不必要となります。
半地下を施工した人は、シアタールームなどとして活用している方も多いです。
スピーカーなどを使って映画館のような臨場感でDVD鑑賞なども可能です。
夏場は涼しく過ごせる
夏場は暑く、住宅で生活するのが大変です。
エアコンがなければ暮らせないという方も多いのではないでしょうか。
しかし半地下は外の熱を吸収しにくいため、夏場は涼しく、快適に過ごせることも可能です。
半地下にはエアコンは不要という意見も多い理由も納得できます。
半地下のデメリット
もちろん半地下にはメリットだけでなく、デメリットもあげられます。
ここでは3つのデメリットを紹介します。
1. 建築コストが大きい
2. 浸水のリスクがある
3. 湿気が溜まりやすい
建築コストが大きい
先ほどもお伝えした通り、半地下の施工費用は高額です。
施工する面積によっては高級外車を1台購入できるほどの費用となるでしょう。
注文住宅の建築費はある程度予算を決めている方が多く、半地下を施工することで予算オーバーになる場合も多いです。
半地下を導入するため、注文住宅のオプションを削減しようにも、金額が高額であることから、半地下を断念している方も多いのが現状です。
浸水のリスクがある
半地下で最も懸念されるのが、浸水リスクです。
大雨が降った日は、半地下に雨水が浸水する可能性もあるでしょう。
もちろん建築会社も雨水が入らないようにしっかり施工しますが、リスク0とは言えがたいです。
湿気が溜まりやすい
半地下は湿気が溜まりやすい場所であるため、カビや結露の発生が起こる可能性があります。
定期的な空気循環が必要ですが、他の空間より換気が求められる場所です。
半地下は一部地上に出ており、窓を設置することが可能ですが、換気しないままでいると、クロスや構造が腐食する原因にもなりかねないため注意が必要となります。
半地下と全地下の違い
全地下とは、地盤面からすべて埋まっている空間を指します。
半地下と異なり、地下の床から天井まで全て地中に収まっていることを意味します。
全地下は半地下より、更に遮音性や断熱性に高い傾向になります。
そのため、楽器を使う方にとっては演奏も可能となり、ワイン好きなどの方にはワインクーラーとして利用している方もいます。
また、地中に全て埋っているということは、窓を設置できないことでもあり、換気が不十分になってしまいます。
そのため、換気機能を設けた空調設備が更に追加となるでしょう。
半地下の工期
一般的な注文住宅の工期はおおよそ4か月~5か月ほどです。
しかし半地下を設置する注文住宅となると、5か月半~7か月ほどの工期となります。
そのためおおよそ2か月前後の追加日数がかかる認識しておきましょう。
半地下の工事は、地盤の工事から始まります。
地盤調査で地盤の強度を確認し、軟弱地盤の場合は地盤改良工事を行います。
その後、掘削工事と残土処理、型枠などを作り、構造躯体の組み立てを行う流れです。
上記の工事が完成した後は、建物の工事に移り、本体がある程度完成してきた段階で、内装工事などを行い、完成します。
しかし、半地下の工事は、建物の構造や建築会社によって多少異なります。
上記の工期と工事の流れは一例として認識しておきましょう。
半地下のメンテナンス
ここでは半地下のメンテナンス方法について紹介します。
メンテナンス方法
半地下で最も注意が必要なところは、浸水です。
先ほどもお伝えした通り、建物が老朽化してくると、構造躯体から雨水などが入り、建物を腐食させてしまいます。
例えコンクリート造の住宅であっても、ひび割れなどが原因で浸水したということも良くあります。
半地下の浸水は、主に室内の壁を見て確認することができます。壁に水が流れた跡などがある場合は浸水している証拠です。そのため即座に補修する必要があるでしょう。
しかしどこから浸水しているかは、専門家でない限り見つけることは困難です。
自身で補修するのは難しいため、専門業者に依頼しましょう。
メンテナンス費用
半地下のメンテナンスを専門業者に依頼する場合、検査だけは無料で行ってくれる業者もあります。
しかし、専門業者に検査を依頼する際は、すでに何かしら補修がある段階であるため、補修費用が発生するでしょう。
費用も補修内容によって異なるため、一概には言えませんが、50,000円前後で完了する工事もあれば、数百万円にも及ぶ工事もあります。
つまり、半地下のメンテナンスは決して安い価格ではないと認識しておきましょう。
詳しい金額を知りたい方が、リフォーム会社に過去の補修事例での見積もり金額を教えてもらうようにしてください。
注文住宅の半地下に関するQ&A
ここでは注文住宅の半地下に関するQ&Aを紹介します。
半地下は費用が高額であるため、少しでもコストを抑えたいと思う方も多いのではないでしょうか。
そのため、半地下の施工費を抑える方法を紹介します。
半地下の費用を抑える方法はありますか?
半地下の費用を抑える方法は2つ挙げることが可能です。
1つ目は「施工範囲を大きくしない」、2つ目は「給排水設備を配置しない」方法です。
半地下は一坪あたりの単価が高額であるため、極力面積を抑えた方がコストも小さくなります。
そのため、用途に合わせた半地下を施工することを意識しましょう。
例えばただの収納スペースであれば、それほど大きな面積は必要ありませんが、映画観賞用のシアタールームなどであれば、ある程度の空間が必要となります。
自身がどのような目的で半地下を設置したいかを注文住宅会社に伝えることで、要望に合った面積を提案してくれます。
また、半地下にトイレなどの設備を工事しないことも、コストを抑えることに繋がります。
給排水設備工事の費用は決して安くないうえに、高低差がある給排水工事は、特殊な設備を用いることもあります。
そのため、極力水回り工事は控えるようにしましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。