近年の注文住宅の階段は安全性だけでなく、デザイン性も重視されてきました。2階への上り下りするためでなく、インテリアとしても活用されています。
階段はシンプルなデザインから洋風なデザインなど、階段の種類もさまざまです。また階段の種類によって、施工費用も大きく異なるため、どの階段のデザインにするか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、階段の種類や費用相場を紹介します。また階段の費用を安くする方法も解説します。これから注文住宅を検討されており、階段のデザインで悩んでいる方は是非参考にしてください。
注文住宅の階段の費用相場
階段デザインは以下の5種類に分けることができます。
1. 直接階段
2. らせん階段
3. カネ折れ階段
4. 折り返し階段
5. スケルトン階段
一般的には直接階段が採用されるため、直接階段と見比べて費用を紹介していきます。ただし、階段の大きさやデザインによって価格は異なるため、これから紹介する費用相場は目安として下さい。
直線階段の費用相場
注文住宅で最も採用されている階段です。多くの方が見たことがあることでしょう。直接階段の費用としてはおおよそ15万円から25万円が相場です。
一般的な階段の寸法は建築基準法によって定められており、蹴上(高さ)23cm以下、踏面(横幅)は15cm以上です。また踊り場を設ける場合、75cm以上の幅が必要となります。その大きさである場合、0.75坪ほどの面積です。注文住宅の全国平均面積は37坪であるため、2%ほどの大きさと認識しておきましょう。
0.75坪の大きさである場合の費用は先ほど紹介した金額となりますが、3階建てなどの注文住宅のように、階段の施工面積が増えれば、50万円近くになる可能性もあります。しかし、他の階段より費用相場は安い特徴を持ち合わせています。
らせん階段の費用相場
デザイン性の高いらせん階段ですが、費用としては30万円から40万円の費用相場となります。しかし、さまざまなデザインもあるため、数百万円を超えるらせん階段も存在します。
さらにらせん階段の面積は直接階段より空間を広く使う場合もあるため、間取りに大きく影響します。デッドスペースなどに階段を設置するのではなく、らせん階段をベースに、周りの空間を設計するのが一般的です。
そのため、注文住宅の面積も広く、資金に余裕のある方が採用しているケースが多いです。
しかし、近年では吹き抜けにしたリビングにらせん階段を設置するデザインも人気があります。リビングルームの大きさを十分確保できる場合は検討してみましょう。
階段横の壁を施工する必要がないため、工務店によっては施工費が安くなるケースもあります。らせん階段を検討する際は、工務店に相談してから検討することをおすすめします。
カネ折れ階段の費用相場
カネ折れ階段は、階段途中で90度向きが変わる、L字をした階段です。費用相場としては25万円から35万円前後です。階段途中に踊り場を設けたり、階段の段数を多くしたりするため、直接階段より多少価格は高くなります。
折り返し階段の費用相場
折り返し階段とは、マンションや商業施設のような階段のように、途中踊り場を経由して2階にあがる階段です。通称この字階段や箱階段とも呼ばれます。費用相場としては、20万円から30万円前後です。カネ折れ階段にも似ている形ですが、片方の壁を設けない形が多いため、価格は多少安くなります。
近年ではシンプルなデザインであることから人気の商品です。しかし、階段の横幅が大きいデザインも多いため、直接階段と比べると、多少価格は高くなります。
スケルトン階段の費用相場
スケルトン階段とは、横壁が無く、骨組みと足場を乗せるだけの階段です。デザイン性としては、直接階段のように踊り場を設けず、一直線のデザインからこの字などさまざまです。
費用としては、壁がない分、材料費を抑えることができるため、規格商品である場合は20万円前後で施工可能です。しかし、大きさや骨組みの構造、造作の有無によって金額は異なるため、目安としてください。
注文住宅の階段の選び方
注文住宅の階段選びは間取りをベースに考えるのが通常です。リビングの大きさやトイレなどの水回り位置、収納スペースなどを考慮した上で配置を検討するようにしましょう。
階段の種類
先ほど紹介した5種類の階段のメリット・デメリットを紹介します。価格的には直接階段が一番コストを抑えることができますが、それぞれの良い点・悪い点を紹介しますので、階段選びの参考にしてください。
直線階段のメリット・デメリット
直接階段は施工のしやすさだけでなく、他の部屋や収納など、レイアウトとマッチしやすい特徴があります。シンプルでありながらも施工面積が少ないため、間取りへの影響を加味すると、一番使い勝手が良いでしょう。
しかし、階段の勾配が急になる点は、子供や高齢者にとっては非常に危険です。万が一階段の上部で転んでしまった場合、踊り場がないため、下まで落ちてしまう可能性が高くなります。
さらに間取りを優先するがあまりに、階段の幅が狭くなり、2階へ荷物を運ぶのが困難と感じる方も多いです。そのためコストを重視する方や、お子さんが大きい方は直接階段に向いています。
らせん階段のメリット・デメリット
高級住宅によく見かけるらせん階段にすることで、一つのアドバンテージになるかもしれません。住宅をよりおしゃれで高級感を出したい方はらせん階段がおすすめです。
近年ではコンパクトな設計のらせん階段も多く、狭小の注文住宅であっても取り入れることができるメリットがあります。一方で、階段の段数も直接階段より多くなる場合もあり、回りながら上り下りするのが大変と感じる方もいらっしゃいます。
さらに、階段の手すりを使用しないと上り下りは危険なため、両手が塞がれた状態で上り下りしなければなりません。そのため大きな荷物をもって2階に上る際は注意を払う必要があるというデメリットがあります。
カネ折れ階段のメリット・デメリット
カネ折れ階段は直接階段と比べると、施工面積は多少大きくなる傾向にあります。その分傾斜を抑えることができるため、直接階段より安全性は多少高くなります。更に家の隅に配置することで、空間のデッドスペースを有効活用することも可能です。
また、配置場所をうまく設置すれば、窓を2面設置することもでき、採光を確保することにもつながります。
しかし、価格は直接階段、安全性であれば折り返し階段が選ばれやすいため、カネ折れ階段を採用している方は多くはありません。
折り返し階段のメリット・デメリット
折り返し階段は大きな踊り場を設けるため、階段から一気に落ちる可能性は低くなることから、危険性は一番低いというメリットがあります。そのため小さな子供がいるご家庭には人気が高いです。
しかし、先ほどもお伝えした通り、直接階段より価格は高くなります。また折り返し階段は直接階段より幅が大きい特徴があるため、施工面積は増え、他の部屋が圧迫される可能性もあります。
スケルトン階段のメリット・デメリット
スケルトン階段は横壁がない分、声が通りやすくなります。吹き抜けなどがあるリビングに取り入れることで、家族とのコミュニケーションがより円滑になるでしょう。さらに骨組みだけの構造が多いスケルトン階段を採用することで、解放感が広がることでしょう。
一方で、スケルトンであるあまりに、階段下に収納を置くと目立つため、収納スペースは別で確保しなければならないデメリットがあります。また規格商品ではなく、造作したスケルトン階段である場合は、費用は高額になる可能性も高いです。場合によっては50万円~100万円近くになることでしょう。
階段の工期
階段の工期は、規格商品を用いる場合と、造作工事で作成する方法によって日数は異なります。規格商品である場合は、2日から1週間前後で取り付け可能です。しかし、取り付け作業後の手直し作業を含めると、更に日数が必要です。
造作工事の場合は家の工事途中で階段を設置するため、注文住宅が着工してから完成するまでの日数となります。
注文住宅の場合、階段の作成工事は、建物の構造や工法、工務店や階段の種類によって異なるため、明確な日数はありません。
階段のメンテナンス
階段は日常生活で利用することが多い場所であるため、汚れが溜まりやすいです。定期的な清掃をしておかないと、黒ずみや汚れが溜まります。きれいな階段を維持するためにも、次で紹介するメンテナンス方法を用いて清掃を行うようにしましょう。
メンテナンス方法
階段は毎日住居人が行き来する場所であるため、ホコリやごみが溜まります。簡単に取れる場所であるため、簡易清掃で問題ありません。
ここでは3つの汚れに清掃方法を紹介します。
1. 階段の汚れ
主な清掃方法は「ドライシート付きのフロアワイパー」で拭き掃除を行いましょう。また掃除機でも簡易の掃除をすることが可能です。
2. 階段隅の汚れ
階段の角や隅にもゴミが溜まることもあるでしょう。その場合は、割り箸など細い形状のものにウエットシートなどを巻き付け、拭き取るようにしましょう。
3. 手すりの汚れ
手すりも普段使用していると、人の皮脂が染みつくため、黒ずみが付くことがあります。その場合は、アルカリ性の重曹や洗剤を利用しましょう。人の皮脂汚れは酸性の性質を持ち合わせています。アルカリ性のもので拭くことで、きれいになることでしょう。
また黒ずみが気になる方は、手すりの色を暗めにすることで、汚れを目立たなくさせることも可能です。階段のデザインなどを考慮した上で検討してみましょう。
メンテナンス費用
自身で階段の清掃を行う場合、数百万から数千円で清掃道具を揃えることが可能です。一般的には業者に頼むことはなく、自身で行う方が多いです。仮に業者へ依頼する場合は5,000円前後が通常です。
しかし、既製品の鉄骨階段がさびや劣化によって塗装などが必要となった場合、塗装などへ依頼する必要があります。もちろん自身でDIYを行い、塗装することも可能ですが、鉄骨部分の不具合はプロでなければ判断できないでしょう。つまり階段の構造に合わせてメンテナンス方法や業者へ依頼するべきかどうかは変わってきます。
注文住宅の階段に関するQ&A
階段の費用を抑える方法はありますか?
階段の費用を抑える方法として以下の3つが挙げられます。
1. 既製品の階段を使用する
既製品の階段は造作する階段より安く仕上げることができます。すでに完成している商品を取り付けるだけであるため、コストを抑えることに繋がります。既製品の階段と言われるとデザイン制が低いと思われがちですが、各社階段を作る建材メーカーの方で改良を加えているため、おしゃれな階段が多いです。
また、デザイン性だけなく、機能性に優れた階段も豊富に揃っています。
2. 直接階段でシンプルなデザインにする
直接階段は階段の中では一番価格が低い傾向にあります。もちろん階段の面積によって費用は異なるため一概には言えません。しかし、直接階段は一番施工面積が少なくなるため、コストを抑える要因になるでしょう。
3. スケルトン階段で仕切り壁を無くす
スケルトン階段の多くは既製品を使用しているため、階段造作の手間代金を抑えることができます。また、蹴込板をなくしているため、材料費も安い特徴があります。シンプルなデザインが魅力であるスケルトン階段ですが、コスト的も抑えることが可能なため、近年人気となっています。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。