注文住宅の建築会社はハウスメーカーや設計事務所、工務店などさまざまな会社があります。どの業者もメリット・デメリットがあるため、建築会社の選定に迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、注文住宅を工務店で建築する4つのメリットと、3つのデメリットを紹介します。
これから注文住宅を検討している方は、本記事を読んで工務店で注文住宅を建築した場合の良し悪しを、今後の注文住宅会社の選定の判断材料としてもらえればと思います。
注文住宅を工務店で建てる4つのメリット
注文住宅を工務店で建築するメリットはさまざまあります。ここでは代表的なメリットを4つ紹介します。
圧倒的なコストが安い
工務店の良さは、ハウスメーカーなどよりコストが安い特徴があります。ハウスメーカーの建築費用には宣伝広告費用が加算されますが、工務店はその費用がありません。
また社員数も少なく、人件費も安いため、コストが安くなる要因となっているケースがあります。
下記の表は工務店と中堅ハウスメーカー、大手ハウスメーカーの坪単価相場を比較したものです。
工務店 | 中堅ハウスメーカー | 大手ハウスメーカー |
---|---|---|
40万円前後 | 60万円前後 | 80万円以上 |
坪単価とは、本体工事価格÷延床面積(坪数)で算出されます。建築業界では、各社の見積金額を比較する際に用いられる単価です。
仮に40坪の注文住宅を建築した場合、工務店の本体工事価格は1,600万円前後、中堅ハウスメーカーは2,400万円前後、大手のハウスメーカーは3,200万円以上となります。
上記は一例ですが、価格を見ても工務店の安さが分かります。
融通が利きやすい
ハウスメーカーの場合、何をするにも本社の稟議を承認してから行います。例えば、サービス工事をお願いした時などです。稟議が否決されれば、サービス工事ができないうえ、稟議承認まで時間を費やすことでしょう。
一方稟議がない工務店なども多く、融通が利いてくれるケースもあります。そのため多少のお願いであれば聞いてもらえることもあるでしょう。
地域密着型の良さがある
工務店は地域密着型が多いです。そのため、地域ならではの特徴である住環境について把握している点もプラスに働きます。気候の変化や積雪具合などだけでなく、その土地ならではの特徴も理解していることでしょう。自身では気づけないことを工務店は気が付いてくれるということです。
ではハウスメーカーは異なるのかというと、一概には言えませんが営業マンが新しい場合、地域の特徴を理解していない場合もあります。そのため、注文住宅を建築する際のアドバイスなどは期待できない点が挙げられます。
設計の自由度が高い
一般的に工務店には規格化された間取りがなく、ほとんどの家は注文住宅で設計しております。施主の要望を聞き入れた家となっている場合が多いです。
もちろん構造上不可能な設計はあるものの、おおよその内容を受け入れてくれるのが工務店のメリットでもあります。
注文住宅を工務店で建てる3つのデメリット
先ほどは工務店のメリットについて解説してきました。次に注文住宅を工務店で建てる3つのデメリットを紹介していきます。
施工能力にバラツキがある工務店もいる
大手のハウスメーカーの場合、品質にバラツキは見られませんが、工務店の場合、企業によっては施工能力に差があるのも実態です。
優良工務店を選択できれば高品質な注文住宅を建築することが可能となりますが、施工能力が低い工務店の場合、最悪欠陥住宅を建築される可能性があります。
もちろん欠陥がある場合は法律上対処できますが、双方労力と時間を費やすため、避けたいことでしょう。
しかし完成後の屋根裏や界壁など、目で確認できない箇所の瑕疵や欠陥である場合はわからないため、手抜き工事をされる可能性も十分あります。
とはいえ、近年の工務店はハウスメーカー同等、もしくはそれ以上の施工能力を持ち合わせている企業も多いです。
つまり悪質な工務店もあるということを認識しておきましょう。
完成した住宅を内見できないケースもある
工務店はハウスメーカーより、展示場や見学会が少ない傾向があります。展示場代金や広告宣伝費用などのコストがかかってしまうことが要因でしょう。
また、ハウスメーカーより店舗数も少ない理由から、施工現場も多くないのも特徴です。そのため、工務店が建築した注文住宅の内見をしたくてもできないケースもあります。
しかし、近年の工務店は完成見学会、OB様見学会を積極的に開催しており、多くの方が来場されています。ハウスメーカーより価格も安いため、比較検討されている方が多いのでしょう。
ブランド力を重視していない方が工務店の見学会に参加されると、そのクオリティの高さから驚く方も多いです。
企業規模が小さすぎる工務店にはアフターフォローが無い場合もある
たまに、数名の社員しかいない工務店もあります。企業規模が小さい工務店はアフターフォロー対応を整えていない場合もあります。
ハウスメーカーの場合、1年点検や3年点検など、建築してから数年間は定期点検とアフターフォロー対応があります。
しかし企業規模が小さい工務店の場合、コストがかかることや、時間と労力を費やすことを懸念し、アフターフォロー対応をしない企業もあります。
とはいえ、近年の工務店はアフターフォローサービスに力を入れており、顧客満足度も高い傾向にあります。
定期点検だけでなく、軽微な補修など、施主のことを第一に考えている工務店が増えているのは、建築主にとっても安心でしょう。
注文住宅を工務店で建てる場合の特徴
ここでは「注文住宅を工務店とハウスメーカーで建築する場合の違い」と「設計事務所と工務店の違い」を紹介します。
ハウスメーカーと工務店の違い
ハウスメーカーと工務店の違いを下記の表にまとめてみました。
項目/建築会社 | 工務店 | ハウスメーカー |
---|---|---|
価格 | 安い(しかしオプションは高くなるケースがある) | 普通(ある程度のオプションなら高くない) |
設計自由度 | 細部までこだわることが可能 | ある程度は自由に設計可能 |
品質 | 工務店によってバラツキがある | 品質は高い |
工期 | 多少時間がかかる
(着工から引き渡しまで4か月~5か月) |
早い
(着工から引き渡しまで3か月~4か月) |
アフターフォロー対応 | 工務店次第 | 対応あり |
物件確認 | 見学会を定期的に開催しているため確認可能 | 1年中物件を見ることも可能 |
もちろん一概には言えない点もありますが、工務店とハウスメーカーの異なる点は、価格や品質、アフター対応などが大きな比較検討される個所となります。
設計事務所と工務店の違い
項目/建築会社 | 工務店 | 設計事務所 |
---|---|---|
価格 | 安い(しかしオプションは高くなるケースがある) | 高い(設計士やデザイナーへの報酬料が必要) |
設計自由度 | 細部までこだわることが
可能 |
細部までこだわることが
可能 |
品質 | 工務店によって
バラツキがある |
品質は非常に高い |
工期 | 多少時間がかかる
(着工から引き渡しまで4か月~5か月) |
多少時間がかかる
(着工から引き渡しまで4か月~5か月) |
アフターフォロー対応 | 工務店次第 | 対応あり |
物件確認 | 見学会を定期的に開催しているため確認可能 | ほとんど見ることはできない |
設計事務所に依頼する場合、設計士への設計料、デザイナーへのデザイン料などが必要となってくるため、コストは大きくなります。
しかし、設計事務所というだけ、建物デザインや品質は最上級レベルであるとも言えるでしょう。
こんな人は注文住宅を工務店で建てるのがおすすめ!
工務店の一番の強みは価格です。他の建築会社と比べてもコストに大きな差が出ます。そのため、コストを抑えた予算重視の注文住宅を建築したい方にオススメです。
予算を重視するということは、住宅ローンを借りる方にとっては非常に大切です。高額な建築代金になると、毎月の支払い額も高額となり、生活を圧迫するまでになり兼ねません。
そのため、高収入という方より、一般的な年収の方が工務店で建築した方が良いでしょう。
後悔しない工務店選びのポイント3つ
各地域の数多くある工務店から、優良会社を選ぶのは非常に難しいです。施工能力や品質が低い工務店を選んでしまった場合、後悔することにもなりかねません。
そのため、工務店を選ぶときは下記の3つを重視して選択しましょう。
1.歴史ある地元の工務店
歴史ある地元の工務店は、全国展開という企業理念より、地域の方に住まいを提供したいという気持ちが強い傾向があります。地元を長く愛し、地域性を理解しているため、さまざまなアドバイスをくれる工務店が多いです。
また、その企業の歴史が、地元から親しまれている証拠となり、安心できる建築会社であると言えるでしょう。
2.コスパが良い工務店
工務店の中には、ハウスメーカーと同じくらい価格が高い建築会社もあります。基本的には宣伝広告費などがないため、ハウスメーカーより価格は安くなる傾向がありますが、品質が良いと言って高い建築費用を提示されることもあります。
一概に悪いとは言えませんが、工務店の良さはコストパフォーマンスです。そのため、価格が同じである場合はハウスメーカーと比較検討してから選びましょう。
3.信頼できる担当者
注文住宅を建築する上で大切なのが、担当者です。理想のマイホームのイメージを担当者の方が理解しなければ、自身が想像していた家と異なる箇所が出てくるかもしれません。そのため担当者との意思疎通が非常に大切となります。
施主の意図をくみ取り、信頼できる担当者であるか見極めるようにしましょう。
工務店の注文住宅で理想の家を建てよう!
今回注文住宅を工務店建築する4つのメリットと、3つのデメリットを紹介してきました。工務店にはさまざまなメリットがあるものの、デメリットもあります。
しかし、それはどの建築会社も同様です。コストを優先するのか、品質やデザインを優先するのかを事前に決めておくことで、建築会社選びもスムーズになることでしょう。
とはいえ、建築会社によって優良企業なのか、雑な業者なのかが分かれてきます。それらを判断する方法は、自身で確認するしかないということを意識して選ぶようにしてください。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。