注文住宅会社との打ち合わせを重ねていき、想像以上の見積金額となったため、キャンセルしたいというケースもあるでしょう。
その際、「契約はしていないもののキャンセルしたら違約金などが発生しないのだろうか」「何か手数料は発生しないのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
親身に打ち合わせをしてくれた注文住宅会社に申し訳ない気持ちも芽生えてきて、断るに断れない環境にもなっているかもしれません。
そこで今回は、注文住宅会社との契約前にキャンセルする方法について解説します。また契約後にキャンセルしたい方もいらっしゃると思いますので、契約後のキャンセルでの注意点も説明します。
これから注文住宅の建築を検討している人や契約を控えている人は、この記事を読んで契約キャンセル時の費用と対応方法について学びましょう。
(2023年8月23日 記事内容確認・更新)
注文住宅の契約前にキャンセルする方法
注文住宅会社との契約前にキャンセルする方法としては、口頭でお断りをお伝えすれば完了となります。工事請負契約を締結していないので、手続きなども不必要です。
しかし、もちろん注文住宅会社も大事な顧客に対して、すぐにわかりましたと受け入れる業者は少ないでしょう。
そのため、一概にお断りしても、すぐに何度も連絡をしてくる注文住宅会社が多いのも契約前の特徴でもあります。
キャンセル料(違約金)
工事請負契約前段階にキャンセルの申し出をしても違約金は発生しません。しかし、プランニングをするために行った測量費用や、地盤調査費用などの実費は請求されることがあります。
そのため、プランニングを依頼する際は、事前に測量費用の負担先を注文住宅会社と打合せして決めておきましょう。念のため、口頭での確認だけでなく、書面に記録して残しておくことをおすすめします。
注意点
契約前にキャンセルの申し出をした場合、キャンセル理由を明確に注文住宅会社に伝えましょう。「予算が合わない」などの曖昧な答えではなく「後、何円安かったら検討できる」、「他社の方が良かったので、違う注文住宅会社に決めた」など相手が納得する答えを出しましょう。
中途半端な断り方をすると、注文住宅会社もまだチャンスがあるのではないかと勘違いをしてしまい、何度も家に来られたり、電話がかかってきたりしてしまいます。
相手も精一杯プランニングしてくれましたので、誠意を持ってキャンセル理由を伝えるようにしましょう。
注文住宅の契約後にキャンセルする方法
これまでは注文住宅会社と契約する前にキャンセルする方法について解説してきました。ここでは、注文住宅会社と契約した後にキャンセルした場合について説明します。
注文住宅会社との契約後のキャンセルでは違約金が発生します。
そのため、契約後はキャンセルしないことをオススメしますが、どうしてもキャンセルせざるを得ない理由がある方もいるでしょう。以下、キャンセルした場合の違約金について解説していきます。
キャンセル料(違約金)
注文住宅会社によって異なるものの、一般的には請負代金の3%から10%前後でキャンセル料(違約金)を設定している企業が多いです。
例えば2,500万円の請負代金である場合、75万円から250万円になります。これらのキャンセル料は、工事請負契約書に明記されているので、契約時にはかならず確認するようにしましょう。
また、契約時に契約金(手付金)を支払った場合、申込者の都合でキャンセルした際は、契約金の返金がありません。
一般的に契約金は、請負代金の10%に設定している注文住宅会社が多いため、上記請負代金である場合は250万円を支払います。つまり、違約金を支払うだけでなく、250万円の手付金が返ってこないということでもあります。
また、測量費用や地盤調査費用なども請求されるのが一般的です。
それだけ注文住宅会社とのキャンセルをするのには高額な金額を失うということでもあるということを認識しておきましょう。
契約直後のキャンセル料(違約金)
例えば契約した翌日に、他社の注文住宅会社が良い提案を提示してきて、そのメーカーに変えたいといった際は、契約した注文住宅会社にキャンセルの申し出をしなければなりません。
注文住宅会社は2重契約といって、同じ土地に2つの契約は出来ません。新たな注文住宅会社と契約したい場合は、先に契約した注文住宅会社と解約をする必要があります。
また、契約直後にキャンセルした場合でも違約金が発生します。ただし、後ほど説明するクーリングオフを利用することにより、違約金を支払わなくてもよくなることもあります。
工事開始前のキャンセル料(違約金)
工事開始前にキャンセルした場合は、違約金と契約金の返金がないだけでなく、工事開始前までに要した設計費用などを支払う必要があります。
注文住宅の建築をする際は、建築確認申請や建物の構造計算、給排水計算などさまざまな計算を外注します。もちろん発注先である注文住宅会社で計算することもありますが、作業が細かく手間や労力を費やすため、大手などの住宅メーカーは外注先に依頼するでしょう。その外注した費用を支払う必要も出てきます。
建物の規模にもよりますが、数十万円から数百万円と高額な金額になる場合が多いです。
工事途中のキャンセル料(違約金)
施主の都合で工事期間中のキャンセルを申し出た場合、一般的には、建築代金を全額支払う必要があります。
建物が完成していても引き渡しを受けるまではキャンセル可能となりますが、建築代金の全額だけでなく、違約金なども支払うことになるため、非現実的になります。最悪、引き渡しを受けた後に売却するなどの方法も検討しておきましょう。
注意点
注文住宅会社と契約した後は、一般的には違約金を支払う事でキャンセル可能ですが、決して安い金額ではない上に、注文住宅会社としても解約されたくないでしょう。
注文住宅会社が工事を遅延したり、全く違う注文住宅を建築した場合は、違約金を支払わずキャンセルできることもあります。
しかし、双方労力と費用、時間を費やしてしますので、キャンセルすることにならない注文住宅の契約をすることが大切です。そのためにも契約時はかならず工事請負契約書を一から全部読み、説明を受けるようにしましょう。
サティスホームでは…
サティスホームでは、契約後かつ工事開始前(着工前)のキャンセルについては違約金等は設定しておらず、手付金の10万円で清算させていただくことがほとんどです。
工事途中(着工後)のキャンセルについては、契約書に記載してある通りですのでご確認ください。
注文住宅の契約にもクーリングオフ制度が適用される
注文住宅の契約でも事例は少ないですが、クーリングオフ制度を適用して解約することが可能です。クーリングオフ制度を利用すれば、施主にも被害がなく解約できるので、ここで覚えておきましょう。
クーリングオフ制度とは
平成22年12月1日施行の特定商取引法により、クーリングオフが新築住宅の請負契約にも適用となりました。
クーリングオフとは、施主が注文住宅会社と契約をした後であっても一定期間なら解約できる制度を指します。消費者を保護する制度となり、法律によって定められています。
条件さえ満たせば、キャンセル時の違約金はおろか、契約金の返金を受けることも可能です。
クーリングオフ適用の条件
新築注文住宅の請負契約のクーリングオフの適用条件として下記の3つが条件となります。
1 申込者(施主)が宅地建物取引業者ではない
クーリングオフは消費者が注文住宅の知識がないというのが大前提です。宅地建物取引業者である方はプロという扱いになるため、該当しません。
2 冷静な判断ができない状態の場所での契約であった
注文住宅会社の営業担当マンが自宅に来て契約を締結した場合であったり、喫茶店やホテルで契約した場合は、冷静な判断が出来なかった状態となるので適用となります。
ただし、申込者が注文住宅の方を呼んだ場合は適用外です。
3 契約日から8日以内に手続きする
クーリングオフは契約してから8日以内に手続きを行うことが必須条件となります。ただし、クーリングオフの説明を受けないで契約した場合、8日以上を経過しても適用となります。
クーリングオフが適用されない場合
以下に該当する場合は、クーリングオフが適用されないので注意しましょう。
1 自身から契約の依頼をした
クーリングオフの大前提として、訪問販売による契約です。実際訪問販売をしている注文住宅会社は少ないでしょう。
そのため、自身から契約の申し出をした場合はクーリングオフの対象外となります。
2 注文住宅会社で契約をした
さきほどの「冷静な判断ができない状態の場所での契約であった」でお伝えした通り、契約をする際は冷静な判断が出来る場所という条件があります。
注文住宅会社や事務所で契約した場合は、専門家などの意見を受け取れるなどの見解となるため、適用外となります。
クーリングオフの手続き方法
クーリングオフの適用条件を満たしたうえで、手続きを開始したい方は下記の手順で行いましょう。
契約書のクーリングオフに関する事項を確認
まず初めに工事請負契約書に記載されているクーリングオフについての内容を確認しましょう。クーリングオフは赤字で記載されているケースが多いため見つけやすいと思います。
↓
消費者センターへ相談
クーリングオフのやり方がわかっている方は、次の「内容証明郵便でクーリングオフの通知」に進んで良いですが、わからない方は消費者センターへ相談してみましょう。
消費者センターではクーリングオフのやり方だけでなく、相談にも乗ってくれます。相談することで気持ちの面でも多少楽になる事でしょう。
↓
内容証明郵便でクーリングオフの通知
クーリングオフは必ず書面で行います。口頭では「聞いていなかった」など言い逃れをされてしまうからです。
そのため通知書や契約解除申込書などを書面で作成し、相手に届いたことがわかる内容証明郵便でお送りします。クーリングオフは必ず相手に通知が届くことが大切となります。
注文住宅の契約に関するトラブルの相談先
注文住宅の契約に関するトラブルがあった際は下記の窓口に相談して見ましょう。
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
ここは国土交通省から認定を受けている住宅専門の相談窓口です。一般的には電話相談となり、建築士や弁護士が話を聞いてくれます。
本来は建物の瑕疵担保責任についてであったり、違法建築についての相談窓口ですが、近年では契約に関するトラブルも相談に乗ってくれる機関です。
弁護士
弁護士は法律のスペシャリストです。工事請負契約約款に基づき、対処方法を教えてくれるでしょう。
料金も最初の30分は無料相談を受けてくれる弁護士が多いため、気軽に連絡して見ることをおすすめします。
ただし、残念ながら弁護士にも良し悪しがあります。裁判に発展した際に勝てないと判断した場合は、すぐに「どうしようもありませんね」などいう弁護士もいます。そのため、1社の弁護士だけでなく、2社3社と複数社に相談して見ることをオススメします。
消費者センター
消費者センターでもある公益社団法人全国消費生活相談員協会は契約に関するトラブルやクーリングについての相談窓口です。相談したから解決するという機関ではありませんが、アドバイスなどをしてくれます。消費者に親身になって話を聞いてくれるので、迷わす問い合わせしてみましょう。
宅地建物取引業保証協会
大手の注文住宅会社は、不動産取引をしている会社も多いため、宅地建物取引免許を取得している企業が多いです。この協会に入っている注文住宅会社が違法や詐欺を行った場合、国土交通省などへ告発してくれる場合もある機関です。
また、違法内容によっては免許はく奪などもあり得ます。大きなトラブルであった場合のみ相談してみる機関と認識しておきましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。