近年高い支持を得ているのがサンルームです。サンルームは日本ではあまりなじみがないですが、海外ではよく取り入れられている間取りです。とはいえ「サンルームって初めて聞いた」「サンルームってなに」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。またサンルームの内容を理解しないまま設置したため、取り付けして後悔したという事例もあります。そのため、本記事ではサンルームでよくある後悔例やメリット・デメリットを紹介します。これから住宅を建築する方はぜひ参考にしてください。
後悔する人が多い?サンルームとは?
サンルームとは
サンルームとは洗濯物を干すための空間を指します。三方の壁をガラスで覆うケースや、日当たりがある正面だけをガラスで覆うケースなど、さまざまあります。とはいえ、洗濯物を干す空間と認知されている点は共通です。近年では戸建て住宅だけでなく、賃貸住宅にもとり入れられています。ファミリーだけでなく単身者の入居者からも高い支持を受けている特徴があります。
サンルームの種類
サンルームには「床仕様タイプ」と「土間仕様タイプ」の2種類あります。床使用タイプは建物の床と同じ高さに設置されるタイプです。段差がないため、スムーズに洗濯物を干すことができます。一方土間仕様タイプは床より低い場所に設置されるタイプです。双方の違いは段差の有無です。
サンルームの大きさは
サンルームの大きさは各家庭によって異なります。異なる理由としてはサンルーム以外の用途を設ける方もいらっしゃるためです。洗濯物を干すだけであれば、2帖〜3帖前後で十分でしょう。しかしサンルームは日当たりが良いため、より広く設計し、テーブルなどを設置してお茶を楽しむ家庭もあります。サンルームには決められた広さもなければ使用用途も自由に設定することが可能です。
サンルームの工事費は
サンルームの工事費は各建築会社によって異なるものの、1坪あたり40万円~100万円前後と70数に換算して単価を掛けると以下の表の通りが目安の工事費となります。
工務店 中堅メーカー 大手ハウスメーカー
坪単価 55万円~万円 55万円~70万円 80万円~100万円以上
サンルームの工事費用 40万円~75万円 55万円~105万円 80万円~150万円
サンルームの建築費用は工務店が最も安いです。大手であるほど人件費や宣伝広告費などの費用が必要となるため、利益率が異なる場合が多いことが、価格の差が生じる要因として挙げられます。一見工務店は安いから施工技術がいまいちと思われがちですが、同じ地域であれば大手ハウスメーカーと工務店の下請け業者は同じ会社であることが多いため、施工能力に違いはありません。もちろん各社によって価格が異なれば、下請け業者も違う場合があるため、一概には言えないものの、大手ハウスメーカーに引けを取らないほどの施工技術であれば、工務店でサンルームを建築した方が安く抑えることができます。
サンルームは後付けできる?
サンルームは建物が完成してから後付けすることが可能です。もちろん建築基準法などを遵守したサンルームである必要があります。とはいえ一般的には後付けできるため、新築住宅で取り入れるか悩んでいる人は完成後に設置しても良いでしょう。ただし、後付け工事となる場合、先ほど紹介した工事費用より割高になるケースが多いです。新築住宅の工事と一緒に行った方が、安く仕上げることが可能です。もちろん依頼する業者によって異なるため、
見積もりを取ってから判断しましょう。
サンルームをおすすめする家庭とは
サンルームの設置をおすすめする家庭は、主に「日当たりが良い家庭」「天候がくずれやすい立地」「家族の人数が多い家庭」に向いています。日当たりが良い立地であれば、洗濯物が良く乾きます。また天候が変わることが多い地域であれば、雨や風から衣類を守ることもできます。さらに家族が多い家庭は洗濯物の量も多くなるため、たくさん干せるサンルームがおすすめです。もちろんサンルームを設置するかは各家庭によって異なります。しっかり家族会議を行って決めましょう。
サンルームでよくある後悔
サンルームの設置を検討している方は、事前に失敗例・後悔例を確認しておきましょう。「取り入れたものの、失敗した」ということにならないためにも、ぜひ参考にしてください。
奥行きがなくて干しにくい
サンルームの奥行きがなく、洗濯物を干すのが困難な失敗例です。サンルームの大きさは自由に設計できますが、大きくなるほど他の部屋が小さくなります。そのため最小限のサンルームを設置したものの、洗濯物を干すのが窮屈に感じるというケースも少なくありません。一般的に人が通るスペースとして幅90センチ前後はほしいです。しかし衣類のサイズに合わせた奥行きにしたため、干しにくいサンルームとなった事例もあります。洗濯物を干す際は、ある程度の広さが必要です。手を伸ばしても多少余裕のある奥行きを意識しましょう。
洗濯機から遠い位置に設置してしまった
洗濯機から遠い場所にサンルームを設置してしまい、洗濯物を運ぶのが大変だったという失敗例です。サンルームは洗濯物を干す場所として利用するため、なるべく洗濯機から近い場所に設置するのが好ましいです。特に家族の人数が多い家庭や重い洗濯機の運搬が困難な方は、サンルームの場所を意識しなければいけません。またサンルームに行くまでの動線も考慮しておくべきです。
広くしすぎて掃除が大変
サンルームでお茶を楽しむために広めに設計したものの、掃除が大変だったという失敗例もあります。もちろん広くなるほど床の掃除が大変です。さらにサンルームでお茶を楽しむということは、庭などを見ながらお茶するという方も多いです。そのため窓掃除も定期的に行う必要があるでしょう。
サンルームで後悔しないために知っておくべきデメリット
サンルームの失敗例を紹介しましたが、事前にデメリットを理解しておきましょう。
こまめな掃除が必要
サンルームは衣類を干す場所です。きれいな状態を維持する必要があります。ほこりなどが溜まると、扉を開けた時の風の勢いで、衣類にほこりがついてしまう可能性もあります。そのため常に清潔感を持つために、定期的な清掃をする必要があります。
工事費が追加となることも
サンルームを設置する場合、大きさに合わせた工事費用が追加となることが多いです。工事費用に関しては先ほど紹介した通りです。サンルームは建物の延べ床面積に参集して計算します。土地には建物が建築できる容積率が設けられており、最大延べ床面積が限られています。延べ床面積ギリギリに建築するケースはほとんどありませんが、検討しているプランにサンルームを追加した場合、工事費用が加算されるデメリットがあります。
夏場は高温になりやすい
サンルームは太陽の光を使って洗濯物を干す場所です。その分夏場は暑くなるデメリットがあります。洗濯物が早く乾く一方、干すのが一苦労と感じる方も多いです。また太陽の光を浴びる場所であるため、床が焼けて色褪せしてしまう可能性もあります。カーテンなどで対処することも可能ですが、暑さの回避は難しいというデメリットがあります。
固定資産税の課税対象となる
サンルームは建物の一部と見なされるため、固定資産税の課税対象となります。とはいえ決して高い価格ではありません。サンルームの工事費用が50万円前後の場合、新築から3年以内は2,000円前後です。とはいえ木造住宅の場合4年目以降は軽減措置がなくなるため、割高となります。さらに建物を所有している期間はずっと支払っていくことになります。
サンルームは後悔だけじゃない!メリットは?
もちろんサンルームはデメリットだけではありません。人気が高くなっている理由にはさまざまなメリットがあるからです。ここでは代表的なメリットを紹介します。
天候を気にしなくてよい
外干ししていると、急な雨や強風時には洗濯物を取り込まなければいけません。しかしサンルームで干しておけば、室内であるため、天候を気にする必要はなくなります。天候はいくらニュースで確認しても、急に変わることがあります。そのためいくら天候が良く外干ししていても、心配になる点は払しょくしきれません。サンルームで最初から干しておけば、上記の悩みは解決できます。
来客があっても困らない
サンルームで洗濯物を干しておけば、来客時でも困らないメリットがあります。リビングなどで室内干しする方もいらっしゃいますが、急な来客があった際、急いで片付けなければいけません。しかし乾いていない場合は、違うところで干し直す必要があります。一方あらかじめサンルームで干しておけば、来客者に見られることがないため、干し直す手間もかかりません。
家事効率UPにつながる
サンルームと洗濯機までの動線を考慮しておくと洗濯に関する家事効率がUPします。毎日行う洗濯の作業は大変です。できれば、洗濯物を干すまでの距離が短いと、洗濯の作業がラクになり、さらに時短にもつながります。もちろん設置場所次第では不便に感じることもあるため、しっかり建築会社と相談して間取りを決める必要があります。
衣類が花粉や黄砂の影響を受けない
外干ししないため、黄砂やPM2.5、花粉などが衣類に付着しないメリットがあります。さらに花粉などは付着しているか見てわからないため、花粉症などを持ち合わせている方にとっては不安となるでしょう。しかしサンルームで室内干しすれば、外的要因が付着する可能性はなくなります。再度洗濯する手間もなくなるメリットがあります。
冬場でも干しやすい
特に寒い冬場の洗濯は、天候だけでなく外の気温も重要です。氷点下などでは洗濯物が乾かず、場合によっては衣類が凍ることもあります。しかしサンルームで干しておけば、暖かい家の中で洗濯物を干せるため、冬場でも干すことが可能です。
電気料金が発生しない
サンルームは日当たりを多く取り入れる空間です。冬場であっても高い気温となるため、特別な電気料金は発生しません。洗濯機の隣に設置するランドリールームで洗濯物を干す方もいらっしゃいますが、日当たりがそこまで良くない場合は、乾きが悪く乾燥機や除湿器が必須になります。その分電気料金が割高となってしまいますが、サンルームでは電気を使用する必要性はなくなります。
家庭菜園も楽しめる
日当たりが良い場所だからこそ、家庭菜園をすることも可能です。もちろん庭で行うこともできますが、天候や風を考慮すると、サンルームで行った方がよいかもしれません。もちろん水を与えるために一度外に出す手間はありますが、緑を楽しみながらお茶をすることも可能です。ただし虫の発生原因にもつながりかねない点は注意してください。
サンルームの後悔 まとめ
今回はサンルームの概要と後悔した失敗例を紹介しました。サンルームは洗濯物を室内干しするためでなく、お茶などを楽しむ方が取り入れています。もちろん各家庭によってサンルームの広さは異なるため、使用用途を明確にして間取りを決めましょう。またサンルームが狭すぎると、「干しにくい」「使い勝手が悪い」と感じる方も多いです。そのため建築会社としっかり打合せし、適切な広さを意識した間取りにしましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。