通常のクローゼットには扉が設置されています。しかし近年では扉を設置しないクローゼットも増えてきました。アパレルショップのように、あえて服を見せるようにすることで、おしゃれポイントにもなります。しかし扉を設置しなかったことを後悔したという意見もすくなくありません。そこで今回は、クローゼットの扉を設置しなかった場合の失敗例を紹介します。これから注文住宅の建築を検討している人の中で、収納選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。
クローゼットの歴史的背景
洋服タンスとクローゼットは、収納家具としての役割は同じですが、歴史的には異なる背景があります。
洋服タンスは、明治時代以降に日本に西洋式の家具が導入される中で、その1つとして取り入れられました。当時は和服が主流で、洋服はまだ一部の人々の間でしか着用されていなかったため、収納するための家具も和服用の箪笥などが主流でした。洋服タンスは、洋服の普及に伴って需要が高まったという背景があります。
一方クローゼットは、欧米で発展した収納スタイルが日本にも取り入れられた結果、普及していったものです。クローゼットは、壁に埋め込んで収納することができるため、スペースを効率よく使え、洋服を美しく整理することができます。また、クローゼットに扉を付けることで、収納物を外部から隠せるため、収納空間の美しさや、プライバシーの確保に役立ちます。
最近では、インテリアのトレンドが変化し、クローゼットの扉を外すことで、部屋全体の解放感を出すデザインが人気になっています。
クローゼットに扉なしは後悔する?
クローゼットに扉を設置しなかった場合、後悔するかは人それぞれです。そもそも扉なしのクローゼットが人気になったのはどのような理由が挙げられるのでしょうか。ここでは3つの理由について紹介します。
インテリアとしてもおしゃれ
クローゼットの扉なしは、部屋のデザインやライフスタイルなどに合わせることができます。シンプルでおしゃれな空間にしたい方は、物を少なくし、あえて洋服を数着ハンガーパイプにかける方法が人気です。収納の見せ方を変えることで、インテリアとしても利用できます。洋服が好きな人、部屋をおしゃれにしたい人に人気です。
デッドスペースの活用
クローゼットなどの扉付きの収納スペースを設けると、部屋が狭く感じてしまうため、扉をつけない方もいらっしゃいます。扉があると、部屋が小さくなりますが、扉がないと、収納スペースまで部屋の一部となります。少しでも部屋を広く見せる方法として扉なしクローゼットが採用されています。
少額だが減額につながる
ウッドショックの影響もあり、お家の総予算を抑えるために何かできることはないか…と悩む方が増え、扉を減らすということが考えられました。
クローゼットに扉なしで後悔…よくある失敗例について
ではクローゼットに扉を設置しないで後悔した事例はどのような内容が挙げられるのでしょうか。ここでは6つの失敗例を紹介します。
部屋の臭いやほこりが衣類についた
扉がない以上、部屋の臭いやほこりや衣類についてしまった失敗例です。クローゼットを設置する部屋は寝室などが多いため、料理のにおいはつきません。しかしペットを飼っている方は、臭いがついてしまいます。そのため洗濯をしても、時間が経つと臭いがついてしまっているという失敗例があります。また、部屋にあるほこりなども衣類についてしまうデメリットがあります。
レイアウトに失敗して見栄えが悪かった
レイアウトを考慮しないあまり、うまく洋服を飾ることができず、見栄えが悪かった失敗例です。クローゼットの位置だけを決めたものの、ベッドなどの家具のレイアウトを考慮しなかったため、中途半端な位置にクローゼットを設けてしまい失敗しました。大好きな洋服を飾りたかったものの、目の届く位置におけないため、結果通常のクローゼットとして利用している方もいらっしゃいます。
防虫剤・除湿剤の効果が弱まる
扉がない分、防虫剤・除湿剤の効果が弱まるデメリットがあります。外出すると、衣類にカツオブシムシが付着している可能性もあります。カツオブシムシは洋服を好んで食べてしまいます。気が付かないうちに洋服に穴が開いていたという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。さらに扉が開いているため、外に出てベッドやカーペットにも影響を及ぼしてしまいます。本来防虫剤などで対応いたしますが、扉が開いている以上効果が弱くなります。また通常は通気性が良いため、除湿は必要ありませんが、梅雨などの時期は扉がない分、除湿剤の効果は弱くなってしまったという失敗例です。
冷暖房率が下がった
クローゼットに扉がない分、冷暖房率が下がったという失敗例です。もちろん、クローゼットまで冷暖房が行き届いてしまうため、冷暖房を強くしないと部屋が暑い/寒いと感じる方もいらっしゃいます。その結果月々の電気料金が上がり、出費が増えてしまいました。クローゼットに扉を設けない場合は、冷暖房の工夫が必要となります。
入口を狭くしてしまった
扉がない分、冷暖房率が低下するため、入口を狭くしたものの、通りにくいという失敗例です。入口が狭いと出入りしにくくなるだけでなく、大きな荷物のクローゼットの中にしまえなくなります。その結果部屋に置くことにもなりかねません。部屋に荷物を置くと見栄えが低下してしまうため、入口のサイズは慎重に検討しましょう。
クローゼットの中が散らかって見える
扉がないということはクローゼットの中が見えてしまいます。家も長く居住すると物が多くなるため、クローゼットにしまう方が多いです。しかし扉がないため、クローゼットの中が見えてしまい、散らかっているようにも見えてしまった失敗例です。友人や知人を家に招きにくくなるでしょう。
クローゼットに扉なしで後悔…失敗しないためのポイントとは?
では扉なしのクローゼットを取り入れて失敗しないためにはどのような点を意識するば良いのでしょうか。扉をつければ完結しますが、デザイン性などからと扉を外したい方もいらっしゃるでしょう。とはいえ失敗はしたくないと思っている方がほとんどです。そのため以下のポイントを考慮してみましょう。
ロールカーテンなどを取り入れる
扉の代わりにロールカーテンなどを設置することで、冷暖房率の低下やほこりが衣類に付くことを防ぐことができます。夏や冬場はロールカーテンを降ろしたり、掃除のときはほこりが飛ばないようにしたりすることで扉がないクローゼットの衣類への影響を抑えることができます。ロールカーテンの費用も数千円程度で設置できるため、コストを抑えた対象法です。
施工例をたくさん見る
扉なしのクローゼットの施工例をたくさん見ることで、どのような「デザイン」「間取り」「活用方法」があるのかイメージしやすくなります。インターネットや雑誌で見ても構いませんが、広さや動線などを確認するために、実際の施工例を見ることをおすすめします。写真や画像では、大きさの感触が掴めませんが、施工例は実用性を確認することができます。「本当に扉はいらないかな」「実際どれくらいの広さがベストなの?」という疑問を解決してくれるでしょう。施工例は相談している建築会社に問い合わせるか、展示場などに足を運ぶことで見られます。ただし、モデルルームなどのクローゼットには、「荷物が置いていない」「掛けられている衣類は数着程度」というケースもあるため、鵜呑みにしないようにしましょう。
実際に取り入れた人から意見を聞く
扉なしのクローゼットを利用している方の意見を聞いてみましょう。知人や友人に居れば、簡単に聞けますが、扉なしのクローゼットを採用している方は多くありません。そのため建築会社の方へ確認し、実際に施工された方の意見はどうだったかヒアリングしてもらいましょう。実際の声を聴けば、取り入れるべきか判断しやすくなります。
建築会社のプロの意見を聞く
数多く住宅を建築してきた建築会社の方に、「扉なしのクローゼットはどう思うか」聞いてみましょう。実際使っている人は多いのか、どのような使用用途があるのかを確認することができます。プロの意見を聞けば、取り入れるべきか悩んでいる方は即座に解決できます。
また、間取りやデザインに関するアドバイスももらえます。建築会社の方は、お客様が満足いく住宅を建築することを心がけているため、積極的に相談しましょう。
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クローゼットに扉なしでも後悔しない?メリットについて
クローゼットの扉なしは後悔するのでしょうか。そもそも扉を点けないメリットはどのようなことが挙げられるのかわからない方もいらっしゃるでしょう。ここでは扉なしのメリットを紹介します。
扉の開け閉めがなくてラクになった
衣類を取り出す際や、洗濯物をしまう際は、扉を開ける必要がないため楽です。両手が塞がっている時でも荷物をもったままクローゼットに入れることができます。
趣味の洋服を眺めることができる
レイアウト次第では趣味の洋服をアパレルショップのように飾ることができます。洋服を眺めたい人、洋服もインテリアの一つとして飾りたい方に人気です。また洋服だけでなく、靴や帽子など、集めている物を飾る方も多いです。
通気性が良く湿気が溜まらない
扉のないクローゼットは通気性が良いため、湿気が貯まりにくくなります。そのため衣類のカビ防止につなげることも可能です。特にお風呂場やトイレなど、水回りが隣にある収納には湿気が溜まりやすくなります。しかし扉を設置しないクローゼットは自然と換気してくれるメリットがあります。
すこしだけ建築費用が安くなった
もちろん扉を設置しないため、建築費用は安くなります。とはいえ数千円〜数万円程度です。住宅を取得する際の費用は数千万円と高額です。扉一つでは大きなコスト削減にはつながりませんが、ちりも積もれば…ということで、扉なしを採用する方も多いです。
指を挟む心配がない
扉に指を挟んだ経験がある人もいらっしゃるでしょう。もちろん扉がないため安全です。特に子供が小さいと骨などにも影響が出る可能性があります。子どもが小さいうちは、家の中でかくれんぼや鬼ごっこなどをして遊びます。安全性を考慮するためにも扉がない方がよいでしょう。
クローゼットの未来予想
未来のクローゼットについて、以下のような変化があるかもしれません。
●スマート化
IoT技術の進化により、クローゼットがスマートフォンや音声アシスタントなどと連携し、自動で洋服を整理することができるようになる可能性があります。
●エコ化
環境に配慮した素材が注目されているので、クローゼットもリサイクル素材や再生可能素材を使用したものが開発される可能性があります。
●カスタマイズ化
現在でも自分好みの収納スペースは作れますが、3Dプリンターなどを使って、自分で部品を作ることもできるようになるかもしれません。
●モビリティ化
クローゼットがモビリティ化する可能性もあります。例えば、ユニット化されたクローゼットを別の場所に移動できるようにすることで、住宅の間取り変更などに柔軟に対応できるようになるかもしれません。
【クローゼットに扉なしは後悔する?】まとめ
今回は、クローゼットの歴史、メリット/デメリット、失敗例などについて紹介しました。少額ですが減額に繋げることができ、かつ洋服をインテリア代わりにしておしゃれポイントにすることができます。とはいえ家のほこりや臭いなどが衣類についてしまうデメリットもあります。さらに、冷暖房率が少し悪くなるため、しっかり間取りを検討しなければいけません。間取りを検討する際は、さまざまな施工例を見て、どのようなデザインな形状、用途があるのか確認しましょう。また、未来にどういったクローゼットが流行するかは分かりません。長く使うお家だからこそ、建築会社のプロにも意見を聞いて、しっかり検討しましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。