海外の住宅ではよく見かける地下室ですが、近年の日本の住宅でも少しずつ需要が増えて来ました。地下室は隠れ家的な要素だけでなく、映画鑑賞や収納スペースなど用途はさまざまです。しかし地下室と聞いてもどのような間取りが好ましいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では注文住宅の地下室の間取りに着目し、決める際の3つのポイントと成功例・失敗例を紹介します。これから注文住宅の建築を検討している方はぜひ参考にしてください。
地下室の間取りの決め方 3つのポイント
注文住宅の地下室の間取りは3つのポイントを意識して決めていきましょう。
機能性・デザインで決める
地下室の用途をベースに決めても良いでしょう。地下室をシアタールームにする場合は、音響・映像設備の他に防音機能なども導入します。またワイン貯蔵庫とする場合は、ワインセラーなども必要となるでしょう。地下室の用途を明確にすることで、機能やデザインも変わってきます。
費用で決める
地下室は面積が大きくなると費用も高額となります。特に地下室は一般的な住宅より高額となるため、ある程度施工範囲を決めておかないと見積もり段階で非常に大きな金額となります。地下室が10坪程の大きさである場合は、「800万円~1,200万円」となるため、範囲を決める際は予算から逆算するようにしましょう。もちろん上記の金額は目安であり、建築会社や施工方法によって金額は異なります。詳しく知りたい方は建築会社の方へ相談してみても良いでしょう。
施工例を見て決める
実際の地下室施工例を参考に決めるのも一つのポイントです。とはいえ日本ではまだまだ地下室を建築している住宅は多くはありません。特にモデルルームや展示場などの住宅は予算の兼ね合い上地下室を設置したものではないため、なかなか実物を見るのは難しいでしょう。その場合、ネットなどで住宅の地下室を参考に見ても良いかもしれません。念のため、相談している建築会社へ地下室がある住宅を見ることができないかの確認はしておくことをおすすめします。
地下室の間取りの成功例
ここでは地下室の間取りで成功した事例を3つ紹介します。
地下室の成功例①:映画を見る空間として利用出来た
リビングで映画を見るとなると、他の家族がいるため集中できない方や、映画館のように臨場感を出せる音にすることができないなどが挙げられますが、地下室であればある程度の音は地中に届くため、周りを意識せず映画を楽しむことが可能です。家とはいえ、リビングで音を出せば近所の方へ届いてしまい、迷惑をかける可能性もあります。しかし地下室であれば上記の不安を払拭でき、さらに防音室にすることで音は全く届かなくなるでしょう。
地下室の成功例②:収納スペースとしても利用できた
家に長く住むほど荷物が増えて行き、クローゼットなどに収まらない家庭も多いです。しかし地下室があれば収納スペースとしても利用することが可能で、荷物置き場に困らなかったという成功例もあります。一度住宅が完成すると収納スペースを増やしたいけどできないケースが多いです。そのためあらかじめ収納スペースは多く取っていた方が良いでしょう。しかし多く取りすぎるあまり、部屋が小さくなってしまいがちです。しかし地下室であればデットスペースを有効活用でき、他の部屋への干渉も最低限に済ませることができ、収納スペースを確保することにつながります。
地下室の成功例③:趣味のスペースとしても利用できる
旦那様が書斎を設置する際は、他の部屋が小さくなるデメリットがあるため、十分な空間スペースが取れなくなるケースも多いですが、地下室であればその悩みは払拭でき、書斎代わりとして設けることができたという声もあります。特に在宅ワークが主流となりつつある現代では、自宅でも仕事をするスペースは必要でしょう。リビングなどではテレビの音や子供たちの声などで集中できない方も多いです。しかし地下室であれば音を遮ることができるだけでなく、仕事をする空間としても有効です。
よくある地下室の間取りの失敗例
一方で地下室ならではの失敗例もあります。ここでは3つの事例を紹介します。
地下室の失敗例①:日当たりがなく、じめじめした空間
全地下室の場合、窓を取り付けることができず、湿気が溜まる空間となり、長居できる状況でなかったという失敗例です。もちろん地域によって湿度は異なるため、どの家庭でも当てはまるわけではありません。しかし地下は湿気が溜まりやすいのは事実です。そのため半地下などにして窓を設置し、空気の入れ替えができる状態にしておきましょう。
地下室の失敗例②:利用用途が明確でなかった
地下室に憧れて作ったものの、何に使用するかを決めておらず、ただの物置となったという失敗事例です。地下室の用途を明確にしていない家庭の多くは物置になっています。一般的な物置であれば庭に10万円程で購入できるでしょう。そのため地下室の費用が無駄となったという方もいらっしゃいます。
地下室の失敗例③:メンテナンスを怠ったために雨水が浸水した
地下室は定期的なメンテナンスを行わないと雨水が浸水し、腐食する原因にも繋がりかねません。もちろん近年の施工技術は高く、浸水するケースは少ないものの、家も老朽化していくと分からないものです。メンテナンスを怠り、建物に亀裂が入ったままにすると地中から雨水が浸水する可能性もあるため、専門業者による定期点検を行う必要があります。
地下室の間取りが決まらない場合のコツ
地下室の間取りで悩んでいる方はこれから紹介する3つのコツを意識してみましょう。
使用用途を明確にする
地下室は費用が非常に高額です。そのため「本当に必要なのか」「何に使うのか」などをしっかり考えてみましょう。仮に映画鑑賞をする空間として地下室を作るとなっていても、年に1回や2回程度であれば本当に必要であるかを見極めなければいけません。後で使わなくなったということにならないためにも、建築前に使用用途を明確にすることが一つのコツです。
建築予算と相談する
地下室は大きさにもよるものの、高級車や外車などの自動車を1台購入できるほどの価格帯です。そのため地下室を取り入れた余りに住宅ローンの借入限度額をオーバーし、多く自己資金を捻出することになった方もいらっしゃいます。もちろん自己資金が減れば生活費にも影響を及ぼすため、建築予算と相談しながら決めていきましょう。
プロの意見を参考にする
相談する建築会社の方へ地下室の間取りについて相談してみましょう。住宅のプロの意見は貴重です。実際施工されたお客様がどのようにしようしているのか。実際使っているのかなどを把握しています。またどのようなレイアウトや機能を導入しているのかなども分かっているため、参考に意見を聞いてみましょう。
地下室の間取りの注意点
何度もお伝えしている通り、地下室を作るときは使用目的を明確にしていることが大切です。後で失敗したとならないためにも、何をする空間であるか明確にしておきましょう。地下室の施工費も非常に高額であるため、十分な費用対効果が見込めるかを検討してから設置を考えるようにしましょう。
【地下室】間取りの決め方まとめ
今回地下室の間取りについて紹介してきました。地下室にはさまざまな用途がある一方、費用も高額となってしまいます。また将来的に使わなくなった方も多くいらっしゃるため、間取りを決める際は使用用途を明確にしておくことが大切です。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。