住宅の窓やドアには庇を取り付けるケースが多いです。庇を取り付けるかはお客様で選ぶことが可能です。とはいえどれくらい取り付けるべきか悩ましいところでもあります。もちろん庇の設置には費用がかかります。取り付け数が多ければ注文住宅の建築コストも高額となってしまうため、あらかじめ価格は知っておきたいところでしょう。そこで今回、注文住宅の建築時に取り付ける庇の価格について紹介します。また、庇のメリット・デメリットについても解説するため、これから注文住宅の建築を検討している方はぜひ参考にしてください。
注文住宅の庇の費用と相場
注文住宅の庇はおおよそ「50,000円~250,000円」前後が一般的です。もちろん取り付けするメーカーや建築会社によって価格は異なるため目安費用となります。後ほど紹介しますが庇にもさまざまな種類があり、価格も相違があります。そのため多く取り付けすると庇の価格も高額となるため、適切な庇を選ぶようにしましょう。
注文住宅の庇の選び方
ここでは庇のメリット・デメリットを紹介します。
庇のメリット(役割・必要性)
庇にはどのような役割があるのでしょうか。ここでは庇のメリットについて紹介します。
1. 雨の吹込み防止
2. 日除け効果
3. 防汚性機能の向上
雨の吹込み防止
庇を付けていないと雨が降ってきた時に雨水が部屋に吹き込みます。雨は斜め横から降り注ぐため、窓を開けた瞬間に部屋に入ってしまいますが、庇があればある程度防ぐことが可能となります。また玄関に庇が無いと、家の鍵を開けている最中に濡れてしまうことにもなるでしょう。庇は雨を防ぐために用いられています。
日除け効果
庇がないと日光が部屋に入るため、夏場は特に室内温度が高くなりますが、庇があれば直射日光を多少防げることに繋がります。また日光からの紫外線は床材や畳の色あせが発生しますが、庇があれば防げることにつながります。
防汚性機能の向上
庇があると窓が直接雨水に晒される範囲も狭くなるため、汚れにくくなるメリットがあります。もちろん黄砂や砂埃などは防げないため、大きな防汚性効果は見込めませんが、雨水の汚れは防げることにつながります。
庇のデメリット
一方で庇にもデメリットがあります。ここではいかの3つのデメリットを紹介します。
1. コストがかかる
2. 隣地境界線を意識しなければいけない場合もある
3. 自宅の外観に影響することもある
コストがかかる
先ほどもお伝えした通り、庇の設置にはコストがかかります。庇の費用も決して安い価格ではなく、開口部すべてに取り付けするとなると、非常に大きな金額となります。そのため庇を取り付ける際は、取り付ける箇所を決め、建築予算を考慮する必要があります。
隣地境界線を意識しなければいけない場合もある
庇は家の外壁部分から数十センチ出てしまうため、隣地境界を意識しなければいけません。建築基準法上隣地境界は最低50センチ開けなければいけません。また自治体によっては1m以上隣地から離すという条例もあります。もちろん庇の長さを含んで計算するため、家全体が小さくなる可能性もあるということはデメリットの一つと言えるでしょう。
自宅の外観に影響することもある
スタイリッシュな家であれば、庇は外観の見栄えが低下することにもつながります。もちろん外観デザインはお客様の好みになるため一概には言えませんが、一般的にシンプルな住宅や縦長の住宅などにはデザイン性の観点から庇を取り付けていない家庭も多いです。
庇の種類
陸庇(ろくひさし)
陸庇とは庇の底の部分が平らになっているデザインのものであり、天板の方は雨水が溜まらないように緩やかな坂になっています。
腕木庇(うできひさし)
腕木庇は近年では使用されていませんが、昔から和風建築の住宅に使われていた工法です。柱に穴を開けて腕木で固定する庇です。
アルミ
名前の通りアルミ製の庇です。シンプルなデザインとコストパフォーマンスに優れているため、近年で人気のある庇です。
ガルバリウム
ガルバリウム鋼板を天板とした庇です。ガルバリウム鋼板は屋根材などにも使用されるほど、耐久性に優れています。また独特な色合いでスタイリッシュな印象を持ち合わせているため、自宅のデザインに対し、柔軟に合わせることが可能です。
庇の材質
木製
木製の庇としての既製品はほとんどないため、手作りとなります。新築の注文住宅時に造作大工に依頼して作ってもらいます。オリジナルの庇を作れるのが大きなメリットです。
ポリカーボネイト
ポリカーボネイト樹脂を主原料とした透明の庇です。庇の下が暗くならない一方、日当たりを防げる力は弱い点が特徴です。また強度は低いため、補強材が必須となります。
アルミ
庇の定番であるアルミは強度も高く、費用も安い特徴があります。戸建て住宅だけでなく賃貸住宅など、さまざまな建物に使用されています。
ガルバリウム
ガルバリウムとは「アルミニウム55%」「亜鉛43.4%」「シリコン1.6%」を組みあわせた銅板であり、高い耐久性を持ち合わせています。
ガラス
ガラスも庇として使用されることもあります。すぐに割れてしまうのではと思う方も多いですが、高い耐久性を持ち合わせています。ただし庇が落ちた時は間違いなく割れてしまうため注意しなければいけません。
庇を取り付ける場所
ここでは庇を取り付ける場所を紹介します。
玄関
玄関ポーチには庇が必要です。建物の構造上2階部分が玄関ポーチの上に来るのであれば不要ですが、雨を防げるものがないと玄関出てすぐに濡れてしまうため、庇を取りつける場所としてはおすすめです。
勝手口
勝手口も玄関同様庇を取り付ける場所としておすすめです。勝手口は玄関ほどではないものの、出入りが多い箇所であるため、雨を防げる環境にしておきましょう。
リビング
リビングは一番日当たりが良い場所です。家族全員が集まる場所でもあるため、快適な室温を保つためにも庇を取り付ける場所としておすすめです。
庇のメンテナンス
庇は年数が経つと劣化していくため定期的なメンテナンスが必要となります。ここでは庇のメンテナンスについて解説します。
メンテナンス方法
庇のメンテナンスは専門業者へ依頼しましょう。簡易清掃は自身で拭き掃除を行いますが、ジョイント部分やビスの状態などはプロに見てもらうようにしましょう。劣化しているからといって自身で直そうとすると、破損や倒壊してしまう可能性も高いです。そのため、DIYなどでは行わないようにしましょう。
メンテナンス費用
専門業者へメンテナンスを依頼した場合、おおよそ「5,000円~10,000円」前後の費用が発生します。もちろん専門業者によって価格は異なるため、詳しく聞きたい方はリフォーム会社へ確認してください。メンテナンスを依頼する際は、一度庇を見てもらい見積もり依頼することをおすすめします。複数社見積もり依頼するとより安い専門業者を見つけることが可能です。
注文住宅の庇を決める際の注意点
庇を取り付ける際は、自宅のデザインにあっているか十分考慮することが大切です。庇は一度取り付けると外す際も費用が発生します。思っていたのと違ったとなると無駄な費用を支払うことになるため、外観の見栄えが低下しないか十分考慮した上で決めていきましょう。
注文住宅の庇に関するQ&A
ここでは庇に関するQ&Aを紹介します。庇も数が増えると大きな金額となるため、少しでもコストを抑えたいと思う方もいらっしゃるでしょう。また予算の兼ね合いから後付けしたいと検討する方も多いです。その2点について解説します。
庇の費用を抑える方法はありますか?
庇はアルミ製の物を設置しましょう。コストが安いだけでなく、耐久性も高い特徴があります。またデザインもシンプルであり、さまざまな住宅に合わせることも可能です。一方で木製はコストが高くなります。いわばオーダーメイドになるため木製は控えるようにしましょう。
庇は後付けできますか?
もちろん可能です。基本的にはどの建物の構造であっても取り付けできます。ただし建物の柱などに干渉する箇所は庇が取り付け出来ないこともあります。そのため専門業者へ一度建物を見てもらってから後付け工事の依頼を行うようにしましょう。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。