住宅ローン控除が控除しきれない場合は住民税額を控除|制度、所得税の解説(2022年の税制改正を含む)

住宅ローン控除が控除しきれない場合は住民税額を控除|制度、所得税の解説(2022年の税制改正を含む)

住宅ローンを利用してマイホームの建築・購入を行った方は、ローン残高に応じて所得税を減税できる住宅ローン控除が適用できます。しかし控除できる金額に上限がある一方、控除しきれないケースもあります。控除しきれない場合、どのような流れになるかご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では住宅ローン控除の概要を紹介し、控除しきれない場合の対処方法について解説します。これからマイホームを建築する方はぜひ参考にしてください。

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住宅ローン控除で控除しきれない場合の解説

住宅ローン控除額が所得税を上回っている場合、住民税から差し引くことが可能です。一般的に会社員の方であれば、所得税の方が上回るケースが多いです。しかし個人事業主などは経費にできる項目も多いため、所得の圧縮が可能となります。その結果年収は高いのに所得税が少ないというケースも少なくありません。上記のケースの場合、住宅ローン控除で控除しきれない場合は、住民税から差し引くことができます。

所得税から差し引かれる場合 所得税と住民税から差し引かれる場合
住宅ローン控除額<所得税 住宅ローン控除額>所得税

住宅ローン控除で控除しきれない|住宅ローン減税制度の解説

そもそも住宅ローン控除の減税制度について分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは概要と条件、上限額について紹介します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、ローン残高に0.7%を掛けた値を所得税から差し引くことができる減税制度です。例えばローン残高が2,000万円の場合、14万円の所得税の節税が可能です。住宅ローンは毎月返済するため減税額は下がりますが、新築住宅の場合、13年間控除することが可能な制度です。

住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除を受けるためには以下の条件をすべて満たす必要があります。
1. 自ら居住する住宅であること
2. 床面積が50㎡以上であること
3. 年間所得が2,000万円以下であること
4. 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
5. 引き渡しから6か月以内に入居していること
6. 居住した年を合わせた5年の間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税特例などの適用を受けていないこと
6つ挙げられますが、決して難しい条件ではありません。そのため、住宅ローンを利用している方のほとんどが住宅ローン控除を利用しています。

住宅ローン控除には上限額がある

住宅ローン控除は建物の環境性能によって以下の表のとおり上限が定められています。

住宅の環境性能 令和4年・5年入居 令和6年・7年入居
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 4,000万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 0円

長期優良住宅であれば、5,000万円×0.7%=最大35万円の所得税を控除することが可能となります。ただし、令和6年を境に上限額が変更となるため注意してください。

住宅ローン控除で控除しきれない|住宅ローン減税と所得税について

ここでは住宅ローン減税と所得税がどのような流れで計算されるのかを紹介します。住民税がいくら控除できるかの例も解説します。

所得税について

会社員の方の所得税は源泉徴収票の「源泉徴収額」に記載されています。そもそも所得税は以下のような手順で計算します。

<所得税の計算方法>
①課税対象額=年収-所得控除
②所得税=課税対象額×税率-控除

課税対象額は年収から以下の表の控除を差し引いた金額です。

<所得控除>

控除の種類 概要 控除額
雑損控除 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される 以下のいずれか多い方

・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

医療費控除 一定額以上の医療費を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円

※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5%

社会保険料控除 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される 支払った掛金の合計額
生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される 一定の方法で計算した金額
地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に適用される 一定の方法で計算した金額
(最高5万円)
寄附金控除 ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄付をした場合に適用される 「寄附金支出合計額」と
「所得 ×40%」
のいずれか少ない方-2,000円
障害者控除  納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される 一人につき、
①障害者27万円
②特別障害者40万円
③同居特別障害者75万円
寡婦(寡夫)控除 配偶者と死別または離婚して扶養家族がいる場合に適用される
※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更
27万円
(一定の要件を満たす場合35万円)
ひとり親控除 納税者がひとり親であるときに適用される
※ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用
35万円
勤労学生控除 学校に行きながら働いている場合に適用される
※ただし、前年分の合計所得金額が75万円以下
27万円
配偶者控除 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される ①一般控除対象配偶者:最大38万円
②老人控除対象配偶者:最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円以上133万円未満である場合に適用される 配偶者の所得金額によって
最大38万円
扶養控除 16歳以上の子供や両親などを扶養している場合に適用される ①一般の控除対象扶養親族:38万円
②特定扶養親族:63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満の方)
③老人扶養親族:最大58万円
基礎控除 すべての人に適用される 48万円
(所得合計が2,4000万円以下の場合)

引用:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

課税対象額を算出できた後は、税率と控除額を差し引きます。会社員の場合、勤務先で計算してくれますが、上記の控除のうちどれが適用できるかは自身で判断しなければいけません。一般的に該当するのは「医療費控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「配偶者控除」「基礎控除」です。もちろん各人によって異なるため、上記の控除で適用できるものがないかチェックしておきましょう。

税率と控除額

課税対象額が算出できた後は、以下の表の所得金額に合わせて税率と控除額を差し引きます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~194.9万円まで 5% 0円
195万円~329.9万円まで 10% 97,500円
330万円~694.9万円まで 20% 427,500円
695万円~899.9万円まで 23% 636,000円
900万円~1,799.9万円まで 33% 1,536,000円
1,800万円~3,999.9万円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

例えば課税対象額が300万円の場合、所得税は「300万円×10%-97,500円=20万2,500円」となります。とはいえ、該当する所得控除が多いほど、所得税は安くなるということです。

住宅ローン控除を差し引く

所得税を20万2,500円と仮定し、4,000万円の住宅ローンを借りて省エネ基準適合住宅の建築した場合、「20万2,500円-28万円=-7万7,500円」となります。すなわち7万7,500円を住民税から差し引けるということになります。なお、住民税も差し引いても住宅ローン控除額が余るようであっても、翌年に控除額を繰越などはできません。

住宅ローン控除で控除しきれない|2022年の税制改正について

2022年を境に住宅ローンの税制改正が行われました。詳しくは以下の表をご確認ください。

改正項目  2022年以前 2022年以降
税率 1% 0.7%
控除期間 10年 13年
控除対象額 一般住宅4,000万円まで 一般住宅3,000万円まで
所得制限 3,000万円 2,000万円
その他 ● 合計所得金額1,000万円以下であれば40㎡以上50㎡以下の住宅も適用可能
● 住宅の種類によって控除対象額が変わる

住宅ローン控除は2022年より控除額が減りました。一見控除期間に着目すると、期間が長くなったため控除額が増えたと思われがちですが、その分税率も下がったため、トータルで加味すると、控除額は減っています。今後住宅ローン控除の改正がいつあるかわからないため、これからマイホームを建築する方は動向を追っておきましょう。

住宅ローン控除で控除しきれない|まとめ

今回は住宅ローン控除の概要を紹介し、控除しきれない場合の対処方法について解説しました。控除しきれない住宅ローン控除は、住民税から差し引くことができます。会社員の方は該当しないケースが多いものの、個人事業主などは当てはまる可能性も多いです。住宅ローン控除をうまく利用すれば、大きな節税にもつながるため、これからマイホームを建築する方は、事前に所得税と住宅ローン控除額のバランスを考慮しておきましょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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