主婦(夫)の間で人気の「パントリー」。キッチンに食材や食器などを詰め込みすぎると、どこになにが閉まってあるのかわからなくなります。しかしパントリーがあれば、ゆとりあるキッチンスペースにすることが可能です。しかしパントリーと聞いても分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事ではパントリーの概要と間取り、注意点などを解説します。これから住宅の建築や購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
パントリーとは?
そもそもパントリーとはどのような部屋を指すのでしょうか。ここではパントリーの歴史と種類について紹介します。
パントリーの歴史
パントリーとはキッチン横の食糧庫のことを指します。英語表記(pantry)ですが、元々はヨーロッパが起源とされています。中世のヨーロッパでは、貴族のお城や館に食料品を保管する部屋がありました。肉を保管する場所を「ラーダー」、お酒を保管する場所を「バッタリー」、パンを保管する場所を「パントリー」と呼び、使用していました。やがて戦いの時代が終わるのと同時に、中流家庭でもパントリーを設置するようになったのが起源です。現代では各家庭の主婦(夫)が、「食料を保管する場所」「普段使用しない食器などを保管する場所」として利用されてきています。もちろん使用用途は各家庭によって異なります。
パントリーの種類
パントリーの種類は大きく分けて以下の3タイプに分かれます。
- ウォークイン型・・・出入り口が一つしかない収納タイプ
- 壁面収納型・・・キッチンの壁に設置するタイプ
- ウォークインスルー型・・・出入り口が2つあり、通り抜けできるタイプ
最も多いのがウォークイン型のパントリーです。キッチン横に大きな収納を設けるタイプが人気があります。半畳から1畳ほどの大きさを設けることで、さまざまな物を収納することができます。壁面タイプは、食器棚のように収納するタイプです。可動棚を取り付ければ、物の大きさに合わせて棚の高さ調整も可能です。またキッチン横に勝手口を設けたいという方はウォークインスルー型がおすすめです。買い物した荷物を勝手口を経由してパントリーに収納できるメリットがあります。
パントリーのメリット
パントリーを設置することで、食器棚が不要となります。食器棚があると、キッチンスペースが狭くなり、料理するうえで圧迫感を感じます。さらにキッチンの通路幅が狭いと、食器棚の扉の開け閉めがしにくいというデメリットにもつながります。またキッチン周りに食器などをおくことがなくなるため、スッキリしたキッチンスペースにすることが可能であり、周りがきれいであると、家の印象も大きく変わるでしょう。物をしまうパントリーですが、キッチンスペースの有効化にもつながるメリットがあります。
パントリーとは?使い方について
パントリーはどのような使い方があるのでしょうか?ここでは3つ紹介します。
食糧庫
最もポピュラーな使用方法としては食糧庫です。冷蔵が不要な野菜や、普段使用しないトースターなどをしまう方も多いです。またキッチンはなるべくシンプルにしたいという方は、電子レンジや炊飯器などもパントリーにしまう方もいらっしゃいます。キッチンに物がないと、きれいな印象になるため、友人や知人からも好印象を受けることができます。
子どものおもちゃを収納する
キッチンではなく、リビングにパントリーに設置する方もいらっしゃいます。特に子どもが小さいときはリビングなどにおもちゃが散乱してしまいます。散乱している時に来客があった際、焦ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしパントリーを設けておけば、来客時にすぐに収納することが可能となります。また子どものおもちゃだけでなく、日用品や生活用品などをしまうことが可能となります。
インテリアスペースとして活用
おしゃれな小物やお皿などをパントリーに飾る方もいらっしゃいます。お店のように飾ることで、インテリアとして楽しむことも可能です。ただし、お皿などを置くと、地震が発生した際、物が落ちて割れてしまう可能性もあります。インテリアとして活用する際は、地震対策なども行っていたほうが良いでしょう。
パントリーとは?設置場所・間取りについて
パントリーはどこに設置するのが良いのでしょうか。ここではおすすめの設置場所と間取りについて紹介します。
キッチン横
やはりパントリーの設置場所として人気があるのが、キッチン横です。食材を使うキッチン横であれば、料理をする際に便利となります。また、買い物から帰ってきた際、キッチン横にパントリーがあれば、冷蔵庫への仕分けもしやすくなります。
リビング
リビングに余ったスペースがある方に人気の設置場所です。キッチン横とは異なり、日用品や生活用品、子どものおもちゃなどを収納する場所として利用する方もいらっしゃいます。どちらかというとパントリーより収納スペースとして活用する方が多いです。
勝手口
キッチン横に似ていますが、勝手口にパントリーを設置する方もいらっしゃいます。先ほども紹介しましたが、「ウォークインスルー型」のタイプです。買い物から帰ってきた際、玄関ではなく勝手口から家の中に入ることができ、そのまま食材などを仕分けすることができます。さらに来客がある場合などは玄関から入りにくいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。買い物袋を見られたくないという方は、勝手口があるウォークインスルー型がおすすめです。
パントリーの大きさは?
パントリーの大きさは半畳ほどから1畳ほどが一般的です。しかし5人家族、6人家族の家庭では多少狭く感じるかもしれません。とはいえパントリーを大きくすると、キッチンが狭くなる可能性もあります。キッチンを狭くしたくない方は、家全体の面積を増やすか、他の部屋を小さくするかとなってしまいます。家の面積を増やすと建築費も高くなってしまうため、注意が必要です。実際どれくらいの大きさがベストであるか、建築会社の方に相談しながら決めておきましょう。
パントリーの間取りは
パントリーには特別に定められた間取りはなく、自由に決められます。とはいえ、棚が2段ないし、3段以上あると便利です。また、お米や野菜が入った段ボールなどを収納できるように、床におけるスペースは確保しておいた方が良いでしょう。またある程度動きやすいように、広さも重要となります。
ウォークイン型・ウォークインスルー型のメリット
名前の通り歩くことができるほどのスペースにしておくと、物をたくさん置けるだけでなく、身動きがしやすいメリットがあります。例えば奥にしまってある食材や調味料を取り出す際、狭い空間ですと、荷動きがうまく取れず、他のものにぶつかってしまう可能性もあります。最悪の場合、上の棚から荷物が落ちてきて大事故にもつながりかねません。しかしウォークイン型・ウォークインスルー型にしておくと、広い空間であるため、開放的に使用できます。さらにウォークインスルー型の場合、出入り口が2か所あるため、換気がしやすいメリットがあります。例えばパントリーの中の食材が腐ってしまい、悪臭が漂うこともあります。しかし出入り口を開放しておくことで、空気の入れ替えがしやすく、臭いを外に出すことができます。
パントリーとは?注意点について
最後にパントリーの注意点について紹介します。注意点を理解しないままパントリーの設計を行ってしまうと、「思っていたのと違う」「使い勝手が悪い」ということにもつながりかねません。そのためここで紹介する7つの注意点を確認しておきましょう。
慎重に間取りを検討する
食材などを収納するだけのパントリーですが、慎重に間取りを決めなければ後悔する可能性もあります。例えば、背の低い女性であれば、上の棚の食材を取り出すことが難しいため、高さを意識した棚を造る必要があります。また、奥行きのない棚を作ってしまうと、思っていたほど収納ができないということにもなるでしょう。パントリーを設置する方は十分間取りについて検討しておきましょう。
施工例を見る
実際のパントリーを見ておくことで、自身が設置する際の間取りをイメージしやすくなります。写真や画像だけではデザイン性しか確認することができず、広さなどの感覚はつかむことができません。そのためパントリーが設置された住宅を見ておきましょう。住宅を見たい方は、相談している建築会社の方に「パントリーが付いた家を見てみたい」とお伝えすると、案内してくれます。また住宅展示場などでもたくさんの物件があるため、ぜひ足を運んで確認しておきましょう。
イメージ写真が画像を用意しておく
どのようなパントリーにしたいか決まっている方は、参考となる写真や画像を用意しておきましょう。建築会社の方に口頭で伝えても、人間同士のイメージの共有は難しいです。イメージとは違う施工をされても、契約書に署名している以上、「やり直ししてほしい」ということは通用しません。もちろん建築会社の方も、お客様のイメージ通りに造りたいと思っています。お互い相違がないよう、写真や画像を用意しておきましょう。
どこに何を収納するか決めておく
どこに何を収納するかを事前に決めておくと、間取りが決めやすくなります。例えば食材を収納BOXにしまう場所や、高さのある食材を置く場所のレイアウトを決めておくことで、どこにどれくらいの大きさの棚を設置するのかを検討しやすくなります。完成してから棚を動かすことも可能ですが、できれば事前にイメージ通りに設置できている方が良いのではないでしょうか。何を置くかを決めておくとパントリーのレイアウトも決めやすくなります。
奥行きが深すぎる
物を多く収納したいがために、奥行きが深すぎる棚を設置しないように注意してください。奥にしまったものを取り出すことが困難になります。さらに普段から見かけない場所となってしまうため、食材があることさえ忘れてしまうことにもつながりかねません。棚の奥行きはバランスが重要となります。
固定棚は控える
棚を固定してしまうと、使い勝手が悪くなってしまいます。食材や調味料などの大きさに合わせられるよう、可動棚にすると良いでしょう。可動棚は建築会社の方と図面の打ち合わせを行っているときに伝えてください。何も伝えないと固定棚のままとなってしまう可能性もあるためです。
コンセントを忘れない
建築会社の方でコンセントは取り付けてくれるケースが多いですが、自身でも忘れないように、設計段階でコンセントの設置をお願いするようにしましょう。パントリー内で使用する家電だけでなく、掃除機をかける時にも必要となります。また事前に食材や家電を置くレイアウトを決めておくと、コンセントの場所も決めやすくなります。
パントリーとは?まとめ
今回は、主婦(夫)の間で人気の高いパントリーについて紹介しました。パントリーは「ウォークイン型」「壁面収納型」「ウォークインスルー型」の3つのタイプに分かれます。もっともポピュラーなのはウォークイン型ですが、お客様の好みで選んでも良いです。また一般的にはキッチン横に設置するケースが多いですが、リビングなど、用途に合わせて設置しても問題ありません。その際は、どのようなパントリーにしたいのかを、写真や画像を持って建築会社の方と相談してください。
サティスホーム本社営業部長:小林大将
2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。