オール電化の新築に後悔…失敗理由とメリット・デメリット、ガスとの比較

オール電化の新築に後悔…失敗理由とメリット・デメリット、ガスとの比較

新築で一戸建てを建てる際、ガスを利用せずに家中を電気で稼働させる「オール電化」を選択する方は多いでしょう。
しかし、実は「オール電化にして後悔した」という口コミもあり、オール電化を選ぶべきかガスを選ぶべきか迷うのではないでしょうか。

そこで本記事では、オール電化にして失敗・後悔する事例や、オール電化のメリット・デメリット、ガスとの比較など、エネルギーの供給源について多角的に解説します。

オール電化とガス、どちらを選択するべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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新築にオール電化を選んで後悔した失敗例

はじめに、オール電化を選択した場合に、どういった後悔を感じるケースが多いのか、7つの事例を紹介します。
ご自身がその場にいることを想像して、オール電化が生活スタイルに合うのか考えてみましょう。

電気代が想像していたよりも高額だった

オール電化の住まいでは、電気料金の請求が想定よりも高額であった場合に後悔を感じる可能性があります。
一般的に、オール電化とガスではオール電化の方が安価であるイメージが強いのではないでしょうか。

しかし昨今の電気料金の高騰で電気代も高額になっており、安くなると思っていた電気代が想定より高いと感じる場合もあるでしょう。
「もっと安くなると思っていたのに、こんなに高いなんて…」と後悔するパターンです。

お湯を使い切って再沸騰に時間を要した

オール電化の住まいで利用されるエコキュートは、電気代の安い夜の間に貯湯タンクにお湯を沸かし、朝から就寝までのあいだ利用する方式です。
もしもお湯を使い切ってしまった場合、再度タンク内のお湯が沸き上がるまでのあいだ、お湯を使えなくなるケースがあります。

お湯をあまり使わない生活スタイルだった

お湯を使い切ることとは逆に、お湯をあまり使わない生活スタイルである場合も、オール電化に後悔を感じる可能性があります。

先ほど説明したとおり、オール電化はお湯を夜間のうちに一気に加熱し貯めておく給湯方式です。
もしもあなたが頻繁に出張などに行き、あまりお湯を使わない場合は、お湯を沸かすだけの電気代が無駄になり、後悔を感じるかもしれません。
(期間を指定して湯沸かしを止める機能が付属している製品もあります。)

IHクッキングヒーターで使えない調理器具がある

オール電化を選択すると、キッチンのコンロはIHクッキングヒーターを利用することになります。IHクッキングヒーターは、IH用の調理器具でなければ利用できません

こだわりの調理器具を持っている人ほど「お気に入りの調理器具を買い替える必要があるのか…」と後悔を感じてしまう可能性があります。

また、ガス火と比べて火力の不足を指摘されるケースも有り、中華料理など強火での調理を求められる場合にも、後悔を感じるかもしれません。

昼間に電気を使うことが多かった

オール電化の住まいで期待される事柄のひとつは、光熱費の安さです。
実際にオール電化の住まいは光熱費が割安であることが多く、その要因はエコキュートを利用することで夜間の割安な電気料金のときにお湯を確保できることにあります。

しかし一戸建てでの新生活が始まったとき、テレワークで自宅にいる時間が長くなったり、専業主婦(夫)となって自宅にいる時間が長くなったりすると、割高な昼間の電力単価で電気を使用することになる可能性があります。

ご自身のライフスタイルを確認したうえで、オール電化の利用を決める必要があります。

ガスファンヒーターと比べて暖かさを感じづらい

寒冷な地域で使用されることの多いガスファンヒーターを利用していた方も、オール電化に切り替えることで後悔を感じることがあります。

ガスファンヒーターは燃焼によって熱を確保するため、点火してすぐに温かくなり部屋を強力に温めてくれるでしょう。
一方でエアコンを始めとする電気を熱源とする暖房器具は、徐々に温まる性質を持っています。

ガス系の暖房器具を利用した経験のある方は、暖かさを感じづらいかもしれません。

IHクッキングヒーターやエコキュートの電磁波が気になる

電子機器から発生する電磁波・高周波音が気になるケースもあります。
IHやエコキュートといった電力の消費量が多い製品は、稼働時に高い音が鳴ることがあります。

人によっては高周波音=電磁波と認識して、音が鳴るたびに電磁波による健康被害が気になる場合もあります。

「新築にオール電化はやめとけ」と言われる理由

ここまで、オール電化の導入を行った結果、どういった後悔を感じることがあるのか紹介しました。
ここからは、オール電化の家を建てたあと、将来後悔する可能性がある事柄を紹介します。

これから先も電気代が高止まりする可能性がある

1つ目は、これから先、電気代が高止まりする可能性があることです。

先ほど説明したとおり、2023年現在、電気料金は非常に高い状態が続いています。
ウクライナ問題やコロナ禍からの経済の回復、円高など様々な要因で電気代が高くなっているため、いつ電気料金が下落するのかは分かりません。

高い状態が長く続く可能性もあることから、電気一本に頼らずにガスを含めた複数のエネルギーを利用することを勧められることがあります。

停電になったときに全ての家電を使えなくなる

2つ目は、停電になった場合に全ての家電が使えなくなるからです。

オール電化の住まいは全てのエネルギーを電気に依存しており、停電が発生すればコンロも冷蔵庫も、全ての家電がストップするでしょう。

大雨や猛暑日といった極端な気象状況が多くなる中で、オール電化は1種類のエネルギーに依存することになり、災害へのリスクコントロールが不足していると指摘されます。

電気とガスの併用であれば、電気の供給がストップしてもガスコンロは使用し続けられるので、災害時のリスクを分散させることが可能になります。

エコキュートの室外機が騒音源になるから

3つ目はエコキュートの室外機が騒音源になる可能性があるからです。

エコキュートは深夜の時間帯に稼働し、室外機からは独特の低い稼働音が発生します。
特に隣家との距離が近い都市部では、エコキュートの稼働音を原因とするトラブルが発生することもあります。

室外機の方向を考慮して隣家へ音が響かないよう配慮するなど、トラブルを避ける工夫が必要になるでしょう。

新築オール電化のメリット

新築でオール電化を導入する場合に後悔を感じることや、「やめとけ」と指摘されることがある一方で、新築でオール電化を選択する場合には豊富なメリットも存在します。
主な9つのメリットは以下のとおりです。

引込工事が不要で工事費が安い

オール電化はガスの引き込み工事が不要で工事費が安い傾向にあります。

ガスを利用する場合は、電気の配線・配管とは別にガスを供給するための専用の配管を設置する必要があります。
都市ガスの場合は道路から宅内へと引き込むための工事費も別途必要です。

一方でオール電化であれば、こうした費用はかからないため、工事費を安く抑えられます。

IHクッキングヒーターは掃除がラク

IHクッキングヒーターを利用する場合、掃除がラクであることもメリットに挙げられます。
ガスを利用する場合は、調理用のコンロには五徳を置く必要があり、凹凸が多いことから油汚れの処理に時間と手間がかかります。
IHであれば、コンロの天板はフラットな形式で、汚れたときにはサッと水拭きをすれば綺麗になるため、掃除に手間がかかりません。

一酸化炭素中毒が起きない

IHを利用する場合、一酸化中毒が起きない点は安心感が得られます。

東京消防庁の調査によると、住宅やアパートなどで一酸化炭素中毒による事故の発生や救急搬送が毎年起きていることが分かります。
換気が不十分な環境でガス火を燃焼させると、酸素が不足して不完全燃焼を起こし、こうした事故が発生します。

オール電化の住まいであれば、調理中に燃焼させることがないため、一酸化炭素中毒の発生を防ぐことが可能です。

火災のリスクを低減できる

オール電化の住まいでは、一酸化炭素中毒に加えて火災のリスクを低減できる点もメリットに挙げられます。

ガス火を利用する場合は、調理中に衣服に炎が燃え移り火災になる可能性をゼロにすることはできません。
毎年100名前後の方が衣服が発火する事故で亡くなられているデータもあり、コンロの使用に注意しなければならないことが分かります。

IHであれば、高温になるのは調理器具の周囲だけで、火災が発生するリスクを低減できるでしょう。

地震や水害後の復旧が早い

主に電気を使用する住まいでは、地震や水害が発生したあとの復旧が早い点は万一の際の安心感につながります。

実際に、東日本大震災におけるライフラインの復旧状況(9割程度復旧するまでの日数)を確認すると、水道は24日、ガスは34日である一方で、電気はわずか6日で復旧しています。

日本に住んでいる以上は、どこでいつ被災するかは分かりません。
オール電化を利用することで、被災から復旧までの期間を短くできるでしょう。

災害で断水してもタンクのお湯を使える

オール電化の住まいでは、災害で断水が発生した場合でも貯湯タンク内のお湯を利用できる点は大きなメリットです。

エコキュートの貯湯タンクには、停電時でもタンク内のお湯を直接利用できるように取水栓が設けられています。
災害が発生して水道の水を利用できなくなった場合でも、タンク内にお湯があれば復旧までの応急的な水として利用できるでしょう。

支出を一元管理できて管理がラク

オール電化を利用することで、支出を一元管理できる点もメリットに挙げられます。

家計の収支を把握する場合、項目が多くなるほど管理が大変になります。
オール電化であれば、家計の光熱費管理を一本化できるため、支出管理の手間を減らせるでしょう。

不具合があった場合の連絡先を一本化できる点もメリットです。

光熱費が安くなる

一般的には、オール電化を利用することで光熱費が安くなります

ガスも電気も、契約すると使用量に応じて料金が高くなる従量制の部分と、使用量によらずに毎月発生する基本料とがあります。
オール電化に一本化することで、ガスの基本料金がかからなくなり、その分の費用を削減できるでしょう。

深夜帯に割安な料金で利用できる契約もあるため、プランの選択でオール電化はさらに安価になる可能性があります。

太陽光・電気自動車・蓄電池と親和性が高い

オール電化の住まいは、太陽光・電気自動車・蓄電池といった設備との親和性の高さもメリットに挙げられます。

太陽光発電システムを導入して電気自動車や蓄電池を充電、夜間に使用すれば、宅内で使用するエネルギーを自給自足できる可能性があります。
オール電化に加えて付帯設備を利用することで、電気料金が高止まりした場合でもノンストレスで暮らせるでしょう。

災害が発生して停電が起こっても、蓄えた電気で復旧まで電気を使用し続けられる点もメリットです。

このように、オール電化にはメリットと捉えられる点もたくさんあるため、後悔やデメリットに加えて、メリットも確認したうえでオール電化とガスを比較する必要があります。

新築オール電化のデメリット

メリットを紹介したところで、改めて新築でオール電化を選択する場合のデメリットを紹介します。
どちらの視点も正しく把握して、最も生活スタイルに合った決断をしましょう。

停電時に全ての機器を利用できなくなる

オール電化住宅では、停電が発生すると全ての機器を利用できなくなります
冷蔵庫や電子レンジなどは当然ながら、コンロや冷暖房機器も使用できなくなる点は大きなデメリットです。

商品にもよりますが、ガスコンロやガス用の煮沸器、ガスストーブといった製品は停電時でも使えるものもあり、停電が長期化しても熱源を確保できる可能性があります。

ガス給湯器と比べて水圧の弱さを感じる

オール電化の住まいで利用されるエコキュートは、一度タンクにお湯を貯める「貯湯式」であることから、水道を直接つなげたうえで加熱する「直圧式」のガス給湯器と比べると水圧の弱さを感じる可能性があります。

商品の単価は高くなりますが、水圧を高めたい場合は送水圧が高い高圧給湯タイプのエコキュートを利用しましょう。

定期的にメンテナンスを行う必要がある

エコキュートのように貯湯式の給湯器を利用する場合、タンク内に細かな汚れが溜まることがあるため、定期的なメンテナンスを求められます

年に2~3回ほどで、慣れれば時間をかけずに実施することも可能ですが、手間と時間を要する点は認識しておきましょう。
また、10年を超えると故障率が高くなり、機器の交換が必要になる点にも留意が必要です。

ガス給湯器よりも導入費用が高額に

オール電化の住まいでは、エコキュートのほかに、IHクッキングヒーターや浴室乾燥機、蓄熱式の暖房器具など様々な製品が必要になるため、ガス器具よりも導入費用が高額になりがちです。

新築で一戸建てを建てる場合、建物本体だけでも多大な費用を要するため、設備機器に高額な費用がかかる点はデメリットに数えられます。

エコキュートの貯湯タンクのスペースが大きい

オール電化の住まいではエコキュートを利用するケースが多いですが、エコキュートは貯湯タンクのスペースが大きくなる点はデメリットです。

特に都市部などコンパクトな土地に一戸建てを建てる場合は、貯湯タンクの置き場所に困るケースが出てくる可能性があります。
設置スペースがコンパクトな、省スペース用のエコキュートを選択しましょう。

新築オール電化とガスの比較

ここまで紹介したとおり、様々なメリット・デメリットや特徴のあるオール電化の住まい。
記事の終わりに、悩みやすい「オール電化とガス、どっちがいいの?」という質問に答えるため、それぞれの特徴を比較した表を作成しました。

オール電化 ガス
設置費用 比較的高額 比較的安価
ランニングコスト 比較的安価
(エコキュートで夜間電力を利用する場合)
比較的高額
暖房の快適性 部屋が暖まるまでに時間を要する 素早く部屋が暖まる
給湯の快適性 水圧が低め 水圧が高い
調理の快適性 専用の調理器具が必要
使い慣れる必要がある
既存の調理器具を利用できる
高い火力で調理可能
安全性 安全性が高い 火災・一酸化炭素中毒に注意が必要
設置スペース 貯湯タンクと室外機の分スペースを要する 比較的コンパクト
災害への対応力 被災後の復旧が早い 停電時でもコンロやガス暖房機は使用可能

それぞれの特徴は表のとおりですが、オール電化とガス併用どちらを選択するべきかはご家庭の状況によって異なります

たとえば中華鍋を使用して大火力で調理したいならガスの使用が勧められますし、火災の危険性を減らしたい場合はオール電化が勧められます。
理想とするライフスタイルに合わせて、最も適した選択を行いましょう。

新築オール電化で後悔しないための対策:まとめ

新築で一戸建てを建てる場合、オール電化とガス、どちらかを選択する必要があります。
このうちオール電化を選択した場合、様々な場面で後悔を感じることがあり、選択することに対して「やめとけ」と指摘されることもあります。

実はどちらを選択すれば正解、というものはなく、ご家庭ごとの生活スタイルや住まいにかけられる予算など諸条件によって最適な選択肢は変わってきます

記事の後半で解説した、オール電化を選択した場合のメリット・デメリットや、オール電化とガスの比較表などを参考にしながら、納得して選択することが重要です。

それでも、どちらを選択すればよいか分からなくなる場合もあります。
迷ったときにおすすめの行動は、設備機器も含めた住宅の専門家に依頼することです。
三重県周辺で注文住宅についてのお悩みを抱えている方は、株式会社サティスホームまで、お気軽にご相談ください。

 

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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