浄化槽と下水道どちらが良い?特徴や役割などの違いとメリット・デメリットを解説!

浄化槽と下水道どちらが良い?特徴や役割などの違いとメリット・デメリットを解説!

田舎などの地域に家を建築するとなると、前面道路に下水道が埋設されていないため、浄化槽で処理する場合もあります。浄化槽と下水道の排水処理の方式は、自ら選ぶことはできず、各市町村で地域ごとに排水処理方式が定められています。しかし購入した家が浄化槽である場合、下水道とどちらが良いか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では浄化槽と下水道工事の違いや特徴、メリット・デメリットについて紹介します。これからマイホームを建築する方はぜひ参考にしてください。

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浄化槽と下水道どちらが良い?

ここでは浄化槽と下水道のどちらが良いかを判断するために、双方の比較を行っていきます。

年間の料金は下水道の方が安い

1年間の料金は以下の表の通り下水道が安い傾向にあります。

下水道の費用 浄化槽の費用
費用 月2,500円~3,000円前後 ● 法定点検(1年に1回)で5,000円
● 保守点検(1年に4回)で26,000円
● 清掃料金(1年に1回)で19,000円
● 汚泥処理手数料(1年に1回)で20,000円
合計 30,000円~36,000円前後 70,000円前後

もちろん家族の数や地域によって料金が異なるため、一概に上記の金額になるわけではありませんが、一般的には下水道の費用の方が安いと言われています。

工事費用も下水道が安い

前面道路に埋設されている下水道の方が、浄化槽の設置より安い傾向にあります。下水道は埋設されている前面道路までの距離によって価格は異なりますが、30万円〜50万円前後の工事費用となります。一方浄化槽の設置費用は、5人家族で80万円〜100万円の費用となります。もちろん工事費用は施工業者や地域によって価格が異なるため、一概には言えないものの、一般的には下水道の方が安いと言われています。

ランニングコストの比較

浄化槽は点検費用や清掃費用とは別に「ブロアの電気代」と「修理費用」が発生する場合があります。ブロアとは浄化槽内の水の浄化を行う微生物へ酸素を送り込むポンプのことを指し、酸素がないと浄化する微生物が死んでしまうためです。そのため常に稼働させておく必要があります。また浄化槽は経年劣化などによって故障する場合もあります。浄化槽の本体の耐久年数は30年と言われていますが、周辺機器は故障する可能性も高いです。一方下水道の場合は公共設備となるため、自ら負担することはほとんどありません。しかし浄化槽は下水道の使用料がかからないという特徴があります。

浄化槽と下水道の違いとは?

では浄化槽と下水道にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは大きく分けて4つの違いを紹介します。

点検の有無

浄化槽は年1回の清掃と年4回の点検が必要となりますが、下水道は一切不要です。点検自体は1日で完了しますが、その期間はトイレやお風呂などが使用することができません。さらに点検費用などもかかりますが、下水道に関しては点検などを行う必要がない特徴があります。そのため管理などが不要な下水道の方が使い勝手も良いとされています。

処理能力

下水層のBOD除去率は90%以上となりますが、下水道の場合は99%となるため、下水道の方が処理能力は高くなります。BOD除去率とは水の汚れを表す数値であり、高いほどきれいな水にすることができます。浄化槽は自宅で処理することになりますが、下水道は下水施設で処理するため、圧倒的に下水道の方が高い性能を持ち合わせています。

臭い

浄化槽は自宅で処理するため、場合によっては悪臭を感じることもあります。一方下水道の場合、下水管を経由して下水処理施設まで流れるため、臭いを感じることがほとんどありません。

下水のにおい

浄化槽は災害に強いと言われ、下水道は災害に弱いと言われています。浄化槽は東日本大震災の時では72%が応急処置をしなくても使用が出来たと言われています。災害が起きた時はライフラインが止まりやすいですが、浄化槽にしておけば水道さえ復旧すればトイレなども問題なく使用することができます。

浄化槽の特徴と役割

そもそも浄化槽とは下水道管が埋設されていない地域において、自宅の汚水を処理する設備のことです。日本では未だ50%近くの地域に下水道が埋設されておらず、浄化槽を利用している家庭も多く見受けられます。浄化槽はトイレやキッチン、お風呂などの生活汚水をきれいにしますが、その場で浄化して放流するため、下水道のように排水を収集するための排水管網を必要としない特徴があります。さらに浄化槽は生活排水を少量ずつその場で処理して放流します。河川に放流するまでに、小水路などを通り、河川などの流域に流れ込む間に、植生などの自然環境を介して自然浄化作用を効率的に利用されるため、河川に放流するとなっても大きな変化を与えることがありません。すなわち、集落や村全体が浄化槽であっても河川への影響は大きくないことを意味します。

浄化槽のメリット・デメリット

ここでは浄化槽のメリット・デメリットを2つずつ紹介します。

メリット①:下水道料金がかからない

浄化槽の場合、下水道料金がかからないメリットがあります。下水道は、使った水道の使用量に応じて掛かりますが、浄化槽の場合は浄化槽内で処理して放流されるだけなため、月々の水道料金を抑えることができます。そのため水道水をたくさん使用する家庭では、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②:下水道設置にかかる工事費用よりも安いケースがある

前面道路に下水道管が埋設されていない場合、本管から引き込む工事費用より浄化槽を設置した方が安くなる可能性も挙げられます。住宅地などでは前面道路に下水管が埋設されているため、引き込み距離も短く工事費用を抑えることができます。しかし前面道路に埋設されていない場合、下水管が埋設されている本管から引き込む必要があり、なおかつ距離が長くなるほどコストも割高になります。場合によっては数百万円の工事費用になることもよくあることです。そのようなケースの場合、下水道より浄化槽の方が工事費用を抑えることもできます。

デメリット①:ランニングコストが高い

先程もお伝えした通り、浄化槽は「定期清掃」や「保守点検」、「法定点検」などを行う必要があるため、ランニングコストが割高となってしまいます。下水道の水道料金と比較しても、非常に高い金額であり、なおかつブロアの電気代もかかります。そのためコストが高いと感じる方も多く見受けられます。

デメリット②:ほとんどのケースで修理費用が発生する

浄化槽は経年劣化によって設備が破損するため、必ずと言えるほど修理費用が発生します。おおよその目安として10年から15年となりますが、定期清掃や点検を怠ると、さらに寿命は短くなるでしょう。いずれにせよ、浄化槽はほとんどのケースで修理費用が掛かるデメリットが挙げられます。

下水道の特徴と役割

下水道の役割は大きく分けて以下の3つ挙げられます。

● 街を清潔にする
下水道が整備されてから汚水が河川などに流れることがなくなり、街を清潔にしてくれるようになりました。悪臭や害虫などの発生を防ぐことになり、直接街に流れることがなくなります。

● 浸水を守る
近年では大雨が降る「ゲリラ豪雨」だけでなく、1時間50mmを超える集中豪雨の年間発生数がここ数年増えてきています。下水道は汚水だけでなく、市街の雨を処理してくれるため、街への浸水を守ってくれる役割があります。

● エネルギー・資源を創る
下水道は下水処理施設で汚水をきれいにし、再生水としても利用することができます。さらに下水処理によって生まれるバイオガスや自動車燃料などとしても利用されるため再生エネルギーとして資源を創る役割も持ち合わせています。

下水道は自宅の汚水を処理するだけでなく、街全体を浸水から守ったり、エネルギーへの変換などの役割を持ち合わせています。そのため各家庭だけでなく、日本全体に必要不可欠な存在であると言えるでしょう。

下水道のメリット・デメリット

ここでは下水道のメリット・デメリットを2つずつ紹介します。

メリット①:設置コストが安い

下水道は浄化槽と比較すると工事費用を抑えられるメリットが挙げられます。先程もお伝えした通り、浄化槽の設置費用は80万円〜100万円前後の費用が発生します。しかし家族の人数が多くなると、より大きな浄化槽が必要となり、導入コストも高くなります。一方浄化槽は家族の人数に関係なく、全面道路までの距離で工事費用がかわります。家の前の道路に下水道が埋設されていれば、30万円〜50万円前後で設置できるため、コストが安いというメリットが挙げられます。

メリット②:メンテナンスなどは不要

基本的に下水管のメンテナンスなどは不要なため、浄化槽のように維持費用や清掃費用などがかかりません。もちろん大地震などによって下水管が破損する可能性もありますが、通常生活している分には、メンテナンスなどが不要なため、コストを抑えて維持することができます。

デメリット①:水量増加によって下水料金が変わる

下水道は毎月の水量によって下水料金が変わるため、家族が増えた場合などは料金が高くなる可能性も高いです。結果として浄化槽の方が安くなったという事例もあるため、一概に下水道料金の方が安いとは言い切れません。

デメリット②:災害時に弱い

下水道は災害時に弱い傾向にあります。大地震などが発生すると自宅の下水管だけでなく、街の下水管も破損してしまう可能性も高いです。実際に東日本大地震では多くの下水管が破損し、汚染されたこともありました。もちろんその結果もあって近年での下水管は強化されておりますが、自然災害の規模はどれくらいかわからないため注意しなければいけません。

浄化槽と下水道どちらが良い?その選び方と注意点まとめ

浄化槽と下水道はそれぞれ工事費用とランニングコストが異なります。一般的には下水道の方が安い傾向にありますが、前面道路に埋設されていない場合などは浄化槽の方が導入コストを抑えることになる可能性もあります。さらに家族の人数が多く、水道の使用量が増えると下水道の方が月々の料金を抑えることもできるでしょう。とはいえ浄化槽と下水道は各地域によって決まっているため、事前に確認しておきましょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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