傾斜地の家でよくある後悔は?費用や注意点、メリット・デメリットを解説

傾斜地の家でよくある後悔は?費用や注意点、メリット・デメリットを解説

傾斜地は平坦な土地と比べて安価に購入することができます。すこしでも土地代を抑えたいと考える方にとっては魅力的です。しかし傾斜地を聞くと「建築できるのか」「危険性はないのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。確かに平坦な土地と比べてさまざまな工夫が求められます。そのため傾斜地に建築した方の中には後悔したという意見も少なくありません。本記事では傾斜地に家を建てた方の後悔例やメリット・デメリット、注意点を紹介します。マイホームの建築・購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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傾斜地に家を建てると後悔する?

傾斜地とは斜めに傾いている土地のことを指します。不動産業界では傾斜地と呼びますが、一般的には「がけ」や「斜面」と同様です。もちろんがけや斜面のままでは建築できないため、地盤を水平にし崩れないような工事を行わなければいけません。その費用を考慮すると平坦な土地より価格が安い傾向にあります。一方で土砂災害などの危険性などもあり、建築してから後悔する方もいらっしゃいます。しかし十分な地盤補強工事などを行えば安心して暮らすことも可能です。
しかし傾斜に家を建築して後悔する方もいらっしゃいます。ここでは後悔した事例を紹介します。

土地を購入してから莫大な造成工事費がかかった

価格の安い傾斜地を購入したものの、莫大な造成工事費用がかかり、結果平坦な土地の方が安かった後悔例です。傾斜地では建築できないため、建物を建てる地盤は平坦にしなければいけません。さら平坦にする際は、基本的に切土工事を行いますが、残土処分費がプラスでかかります。さらに切土にすると、崖が生まれるため擁壁工事なども必要となるケースが多いです。全ての費用を合算すると数千万円以上することも少なくありません。結果傾斜地の土地代金と造成工事費用を考慮すると、平坦な土地で良かったという失敗事例です。

大雨や地震が起きるたびに不安になる

傾斜地での生活は大雨や地震による土砂災害の懸念は払拭しきれないため、不安な生活になったという意見もあります。地震大国である日本では、ここ数年大地震が続いております。三重県も南海トラフ地震の影響が考えられるため、傾斜地での生活は土砂崩れが起きるか不安に思いながら生活することにもなります。もちろん近年の施工技術は高いため、そう簡単に崩れる心配は低いです。しかしどれくらいの規模の自然災害が発生するかは誰も予測不能です。

傾斜地に家を建てると後悔する理由とデメリット

傾斜地に家を建てるとさまざまな後悔につながる可能性も高いです。ここでは後悔する理由とデメリットを紹介します。

後悔する理由①:建物が傾くこともある

地盤などをしっかり補強しないと建物が傾いてしまい、生活に支障をきたす可能性があります。もちろん傾斜地に問わず平坦な土地も該当しますが、特に傾斜地は土砂崩れなどの影響を受けやすいため強固な地盤にしなければいけません。とはいえ大雨などが続くと地盤が軟弱になってしまい、建物の荷重に耐えられず傾くこともあります。一度傾くと補修するのに高額な費用がかかってしまうデメリットがあります。

後悔する理由②:既存の擁壁を直さないといけなくなった

擁壁が組まれた傾斜地だと思い購入したものの、老朽化していたために新たに擁壁工事をしなければいけなくなった事例です。既存の擁壁が現在の条例などに該当しない場合は、新たに施工する必要があります。例えば「玉石の擁壁」や「建築確認申請未提出の擁壁」「ひび割れなどが多い擁壁」などが挙げられます。そのため擁壁のある傾斜地では建築士の確認が必要です。必ず建築会社に相談し、現地を確認してから購入することが大切です。

後悔する理由③:がけ条例を知らずに購入した

がけ条例とは傾斜地などにみられる崖のすぐ近くに建築する際、自治体が土砂災害や地震などの被害を防ぐために定めた条例です。がけ条例の記載内容は各自治体によって異なりますが、「崖から数メートル離れた位置に建物を配置する」「擁壁を設置しなければ建築確認申請が許可できない」「防護壁などを造って土砂災害に備える」などがあります。いずれも大規模な工事なうえ、建築費に大きな影響がでます。そのため購入する傾斜地ががけ条例に該当するか建築士に確認してもらうようにしましょう。

デメリット①:自然災害のリスクが高い

何度もお伝えしている通り、傾斜地は土砂災害のリスクが高まります。集中豪雨や地震などによってがけが崩れたり、地盤が弱まったりすることも多いです。さらに道路より低い場所に建物がある場合、洪水になる危険性もあります。

デメリット②:擁壁工事などが必要となる

擁壁工事といえ、一般的な相場価格がわからない方も多いのではないでしょうか。もちろん工事範囲にもよりますが、数百万円〜数千万円にもなります。さらに擁壁工事は生活するうえで不要な工事です。外構工事などであれば庭を楽しむ場所としての活用がありますが、擁壁工事に関しては「危険なので安全にする」という目的以外ありません。そのため出来れば行いたくない工事でもあります。しかし傾斜地の多くは擁壁工事が必要となる可能性も高く、無駄な支出となってしまうデメリットが挙げられます。

デメリット③:敷地に合わせた間取りにする必要がある

平坦な土地であれば、好きな間取りにすることができる一方で、傾斜地は高低差があるため、間取りの自由度は低くなります。道路や隣地との高低差がある場合。車の出し入れを考慮した間取りなどにしなければいけません。もちろん敷地形状によって異なるため、どの傾斜地でも該当するわけではありませんが、ある程度敷地に合わせた間取りを検討する必要があります。

傾斜地の家でも後悔しないメリットは?

もちろん傾斜地はデメリットだけではありません。ここでは3つのメリットを紹介します。

土地代が安い

傾斜地は平坦な土地と比べて価格が安いという特徴があります。主に以下の理由が当てはまるためです。
● 造成工事などに費用がかかる
● 整形地であることが少ない
● 基礎を高くするか擁壁を組むかの工事費用がかかる

傾斜地はさまざまな費用がかかるため、平坦な土地より価格が安いメリットがあります。すなわち、造成費用などの工事を抑えることができれば、総合的に見ても平坦な土地より安く建物を建築することも可能です。

日当たりが良い

南側の建物が一段下がった土地の場合、見晴らしがよく日当たりが良い家にすることができます。特に傾斜地では段々になっている土地が多いため、隣地などとの高低差がある家が多いです。そのため常に太陽が注ぎ込む家にすることができます。

地下や高低差を利用できる

敷地の高低差をうまく利用すれば、ビルトインガレージや地下スペースを作ることができます。多少建築費は割高となってしまいますが、趣味のスペースを設けることも可能です。またスキップフロアなどクリエイティブな間取りにすることもでき、個性あふれる住宅にすることも可能です。

隣地との視線が気にならない

傾斜地であれば隣地と高低差があるため、視線が気になることがありません。平坦な土地の場合、隣地の方と建物の高さも近いため、家の窓から自然と目線が合うこともあるでしょう。多くの方は「気まずい」と感じるのではないでしょうか。しかし傾斜地は南側の家との高低差があるため、目線が合うことはほとんどありません。もちろん隣地の兼ね合いになるため一概には言えないものの、平坦な土地と比べると視線が気にならないことが多いです。

傾斜地の家で後悔しないために知っておくべき費用と注意点

最後に傾斜地の家を建築して後悔しないために、知っておくべき費用と注意点を紹介します。

傾斜地に家を建築する場合の工事

傾斜地に家を建築する場合、以下の工事が必要となるケースがあります。
造成工事・・・土地を平らにしたり、雨水が流れやすいように勾配を設ける工事
擁壁工事・・・土砂崩れが起きないように崖を補強する工事
高基礎・深基礎工事・・・基礎を高くして、道路との高低差をなくしたりする工事
地盤改良工事・・・地盤を補強して建物の耐震性を高める工事

もちろん傾斜地であればすべての工事を行うわけではありません。しかしどれも数百万円単位の工事です。特に造成工事と擁壁工事は施工範囲が土地によって大きく分かれ、莫大な費用が発生します。傾斜地を探している方は、できれば2つの工事が行わなくて済む土地を探すことをおすすめします。

注意点①:建築会社の方に土地を見てもらうこと

傾斜地を購入する前に、建築会社に依頼して現地確認と役所調査を行ってもらいましょう。傾斜地で家を建築する場合は、さまざまな条例や法令をクリアしなければいけません。さらに多額の工事が必要となる可能性も高いため、事前に設計士に調査してもらうことをおすすめします。自己判断で購入すると、「そもそも建築できない」「高額な造成工事が必要」ということにもつながりかねません。最悪のケースとして、その土地を売りに出しても購入希望者がいないことです。売りたくても売れない土地を買ってしまうと、固定資産税を支払い続けることにもなるため、専門家の現地を確認してもらってから購入しましょう。

注意点②:ハザードマップで確認する

国交省が発表しているハザードマップでは、土地の災害危険エリアを確認することが可能です。「洪水」や「土砂災害」「津波」などの危険性がある場所を知ることができるため、購入前にチェックしておくことが大切です。

上記の画像は、土砂災害の危険性がある場所をオレンジ色で表示しております。さらに拡大すると、黄色や赤色など、より危険性が高い場所であるか知ることができます。

ハザードマップは誰でも無料で閲覧することができます。ぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか。

傾斜地の家によくある後悔まとめ

傾斜地で家を建築する際は、さまざまな費用が発生することが多いです。場合によっては建築できないこともあるため、事前に建築会社に土地を確認してもらいましょう。コストばかりを意識してしまったあまり、建築不可の土地を購入してしまったという方もいらっしゃいます。そのようなケースにならないためにも、ハザードマップで確認し、専門家のチェックを受けてから購入しましょう。

●この記事の監修 サティスホーム本社営業部長:小林大将
●この記事の監修
サティスホーム本社営業部長:小林大将

2級建築士と宅地建物取引士の資格を取得後、サティスホームで現場監督を10年経験。携わらせて頂いたお客様は200棟以上。その後、本社営業部長としてお客様の家づくりをお手伝いさせて頂いてます。
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