こんにちは!くわばらです!☺
チョット季節外れですが・・・
女優の室井滋さん作。
沢山の作品を描いている
長谷川義史さんの絵です。
『しげちゃん』
昨・室井滋
絵・長谷川義史
私、しげちゃん。ピカピカの小学一年生。
ウキウキの入学式の日、もう嫌な事があった。
机には名前の書いた紙。
男の子は水色の紙、女の子はピンクの紙。
私は女の子なのに水色の紙だった。
『しげる』っていう男の子みたいな名前のせいだ。
私、『しげる』って言う男の子みたいな
名前のせいで嫌な目にしょっちゅうあう。
小学校に入って友達沢山作りたかったのに。
『しげる』じゃあ無理かも
…だんだん焦って来てお母さんに頼んだ。
『ねぇ、お母さん、私、自分の名前、キライ!
もっと可愛い名前に変えてよ!』
お母さんは名前は二度と変えることは出来ないと
キッパリ言った。
しばらく我慢してたら
いつか名前って変えられると思ってた。
サユリちゃんとかモモコちゃんとか
スミレちゃんとか…私、練習してたのに…
とうとうベソをかいたらお母さんが
優しく抱っこしてくれた。
『しげちゃん、親が子供に名前を付ける時ってね、
そりゃあ一生懸命なのよ』と話し始めた。
そして、私の知らない話も。
私が生まれる前に男の子の赤ちゃんがいたのだそうだ。
でも、体が弱くてその赤ちゃんはすぐに
亡くなってしまった。
『だから『しげる』って
名前にはお兄ちゃんの分まで
生きてほしいって言う願いが込められているのよ。』
と、お母さんは言った。
私はその話を聞いてちょっぴり
『しげる』が嫌でなくなった。
もっと、もっと好きになるぞ
と、思った。
あとがきで室井滋さんは
女優でも芸名を付けず名前は『しげる』のまんま。
両親にもらった名前が一番好きになっていた。
と、結んでいます。